講義No.04955 歯学

義歯が「補い、綴る」、豊かな暮らし

義歯が「補い、綴る」、豊かな暮らし

歯は暮らしの豊かさを左右する

虫歯や歯周病が命を直接脅かすことはありませんが、歯のあるなしは、QOL(Quality Of Life:生活の質)を大きく左右します。あなたも、乳歯が永久歯に生え変わるとき、歯が抜けている状態を経験したことがあるはずです。そんなときは、口の中が気になって、おいしくものを食べられなかったでしょう。大人も同じことです。「何らかの理由で歯を失った人のQOLを維持すること」、それが、義歯(入れ歯)の役割です。

失った歯を「補い、綴る」

義歯を扱う学問を「補綴学(ほてつがく)」と呼びます。補い、綴(つづ)る、その文字が表すように、義歯には、失われた歯を「補う」だけでなく、織物や文章を「綴る」ように、義歯を口の中で有機的につなげることが求められます。歯は、上下14本ずつ(親知らずを入れると上下16本ずつ)が緊密に噛み合わさって機能します。噛み合わせが悪ければ、ものを噛むことも、力を入れるときに踏ん張ることもできません。そうした機能を「補綴」するのが、義歯の役目で、さらには、見た目の美観への配慮も必要です。

本当は、入れ歯安定剤は必要ない

補綴には、いくつかの方法があります。1本の歯が部分的に欠けた場合は、歯に金属やプラスチック、セラミックスを被せる「クラウン」、歯が1本あるいは数本抜けた場合は、両隣の歯の間を橋渡しする「ブリッジ」という方法や、最近では、顎の骨に人工的な歯を埋め込む「インプラント」という方法があります。すべての歯が失われた場合は、「全部床義歯(ぜんぶしょうぎし)」、いわゆる総入れ歯で対処します。これは、そのほかの方法とは性質が根本的に異なり、顎の粘膜に義歯を吸盤のように吸い付けます。全部床義歯を精密に作れば、入れ歯安定剤は必要ありません。コツは、口の中の動く部分と動かない部分の境を見極めることです。ただ、高度に専門的な技術が必要で、全部床義歯補綴学は、その方法の研究・開発に取り組んでいます。

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東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 教授 水口 俊介 先生

東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 教授 水口 俊介 先生

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メッセージ

東京医科歯科大学は、関東圏唯一の国立大学歯学部として、附属病院には一日2千人の患者さんが来院されます。臨床実習の機会に恵まれ、在学中に多くの経験を積むことができます。また、医学部の学生と合同で講義や実習に臨む医歯学融合教育も、日本唯一の医歯学系総合大学院大学ならではのカリキュラムです。また、学生に対する教員数が多く、一人の教員(研究室)に配属される学生は一名から数名と、密度の濃い少人数教育を行っているのも特徴です。その分、入試も入学後も大変かもしれませんが、学び甲斐のある大学です。

東京医科歯科大学に関心を持ったあなたは

東京医科歯科大学は、医学・歯学・保健衛生・口腔保健からなる医系総合大学であり、高い倫理観を備えた医療人を養成します。社会の要請に応え得る医師、歯科医師、コ・メディカルスタッフの養成は勿論、世界の第一線で活躍し得る研究者、指導者の育成を目指しています。したがって、大学は勉強するところではなく、勉強する方法を自ら学び、自律するための場であるとの認識を学生諸君に徹底しています。