新材料「メタマテリアル」を3Dプリンタでつくる!

CFRPを3Dプリンタで造形
プラスチックに炭素繊維を加えた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、軽いのに固いという特性があり、自動車や航空機などによく使われています。このCFRPを材料に3Dプリンタで部品を作る技術が近年登場し、複雑な形状を作り出すことが可能になりました。
3Dプリンタは、溶かしたプラスチックをノズルから射出して、設計した形に積み上げていくものです。この技術では、2つのノズルでプラスチックと炭素繊維の束を積み重ねていきます。ノズルは線を描くように動かせるので、複雑な形状の部品を作ることができます。以前は平たい板状や円筒状に成形するしかできず、これは画期的な技術なのです。
振動を抑える機能を持った材料
3Dプリンタで、「軽い、固い」という特性だけでなく、振動を抑える機能をCFRPに追加する研究が行われています。この材料は「弾性波メタマテリアル」と呼ばれ、形状や寸法を工夫することで特定の周波数帯の振動を透過させないという特性が備わっています。
「メタマテリアル」とは、材料が自然界では得られない性質を持たせた人工材料のことです。部品の形状や寸法、繊維の通る道筋などの構造を工夫して設計することで、特定の周波数帯の振動を抑える機能を持つ材料が誕生しました。こうした設計は、シミュレーションによって行われます。
壊れにくい宇宙機器ができる!
従来、「軽い、固い」という特性と「振動が少ない」という特性は両立が難しかったのですが、弾性波メタマテリアルの登場はこの難問を解決したとも言えます。ゴムやばねなど柔らかい材料で振動を低減するのではなく、部品の構造によって、特定の周波数帯の振動を存在できなくするという原理が用いられているところが画期的です。
現在、注目されているのが、ロケットや人工衛星の構造材料としての用途です。弾性波メタマテリアルを使えば、打ち上げ時の振動でも搭載機器が壊れにくいロケットや人工衛星が作れると期待されています。
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