誰もがプログラムを書けるようになるツール

誰もがプログラムを書けるようになるツール

複雑で膨大なプログラムを簡単に

世の中にはたくさんのコンピュータ・ソフトウェアが使われています。そのプログラムはますます複雑になり、プログラム・コードの量も数百万行から数億行と膨大になっています。こうした複雑なプログラムの開発を迅速に行うため、プログラム開発を支援するツールや、プログラマの教育ツールが求められています。そこで、難しいプログラムを理解しやすくし、プログラミングを支援するプログラム解析ツールの研究が行われています。

プログラムの「あらすじ」を説明

プログラム開発では、既存のプログラムを解析して内容を理解しながら、プログラムを書くことが必要です。それは「読書」や「作文」に似ています。正確に伝わる文章を書くためには文法をよく理解することが必要なように、プログラム解析にも深い知識が必要です。慣れないプログラマにとってプログラム解析は、古語で書かれた源氏物語の全文を理解するくらい大変なことなのです。
そこで、古典の源氏物語のあらすじを書き起こすような仕組み、つまりプログラムを解析して、その命令の実行の経路を図で表す「制御フローグラフ」などの概要を出力するツールが開発されました。また、古典を現代語訳に書き直すように、プログラム内の命令語をやさしく書き換えるツールも開発されています。

プログラムの添削をして教育に役立てる

プログラマ教育ツールの研究も重要です。例えば、日本人でもわかりにくい日本語の文章を書くことがあるように、プログラマも必ずしも正確なプログラムを書けるとは限りません。そこで、文章の添削をするように、出来上がったプログラムを正解のプログラムと比較して解析し、正しくない部分を指摘する訓練ツールも開発されました。
将来、誰もがプログラミングをすることが必要となる時代が来ると言われています。技術系が得意でない人向けのプログラミング教育で画期的なツールになると期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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南山大学 理工学部 ソフトウェア工学科 教授 吉田 敦 先生

南山大学 理工学部 ソフトウェア工学科 教授 吉田 敦 先生

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ソフトウェア工学

メッセージ

近い将来、誰もがプログラミングを行う必要に迫られる時代が来ると思います。プログラミングには論理的に物事を伝える力が必要なので、本をたくさん読んで、理路整然とした話し方や、文章を書く訓練をしましょう。たくさん読むうちに、文章の構成や文脈を理解する力がつき、プログラミングに役立ちます。おすすめは、ジャーナリストが書くルポルタージュ、小説ならSFです。私も、本多勝一の本やロバートAハインラインなどのSFを読んできました。漫画や詩的な文章ではなくて、物事を客観的に理路整然と説明している本を選びましょう。

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南山大学は、人文学部、外国語学部、経済学部、経営学部、法学部、総合政策学部、理工学部、国際教養学部の全8学部18学科を擁する、中部地区を含む西日本唯一のカトリック総合大学です。海外からの留学生も多く、国際性豊かなキャンパスです。
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