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応用化学の
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光る分子って何の役に立つの?

応用化学

最近いろんなことが化学で解明されてきている。そんな化学の知識を使って実際何ができるようになっているの? 例えば実験動物を緑色に光らせて医学研究が行われているけれど、なぜ動物が緑色に光るの?

  • 先生、この間テレビで実験動物が緑色に光っているのを見たけど、なぜそんなことができるの? 
  • 蛍やクラゲなど、一部の生物が自ら光を放つことができるのは知っているよね? 蛍の場合はルシフェリンという有機化合物と触媒となるルシフェラーゼという酵素たんぱく質が体内で反応することで、発光しているんだ。
  • なるほど。体内で自然に化学反応が起こっているわけですね。ならば、実験動物が光るのも、そのルシフェリンによるんですか?
  • そうではないんだ。蛍の場合はエネルギー(ATP)を使ってルシフェリンとルシフェラーゼの反応を起こさなければならない。実験動物が光るのは、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士のオワンクラゲの発光メカニズムの研究から生まれたんだ。
  • オワンクラゲの光る仕組み?
  • 下村博士は、オワンクラゲからイクリオンという発光たんぱく質とGFP(緑色蛍光たんぱく質)とを発見したんだ。発光タンパク質はカルシウムイオンが付着すると青く光る性質を持つので、試薬として用いれば体内のカルシウムイオンの増減を探ることができる。
  • へ~。GFPってどういうものなんですか?
  • 下村博士はGFPが紫外線を当てることでも緑色の蛍光色を発することを発見したんだ。そして、別の研究者によってさらにGFPを作る遺伝子が解明されると、GFPを特定のたんぱく質分子にくっつけて細胞内に組み込んで、対象となるたんぱく質や細胞の動きを観察することが可能となったんだ。
  • 例えば、予めがん細胞に組み込んでおくと、転移先で発光する。
  • すごいな! でも、さまざまな発光物質があるのなら、他にも何か有用な発光物質はないんですか?
  • 人工的な化合物だと、例えば「イリジウム錯体(さくたい)」という化合物は、常温で強いりん光を発するまれな化合物なんだ。錯体というのは、金属と非金属の原子が結合した構造を持つ化合物のことで、りん光は蛍光よりも発光寿命が長く、低酸素下において紫外線をあてると発光するという特徴を持つ。
  • このイリジウム錯体によって、病巣で血流が悪くなり酸素量も少なくなるようながんや脳卒中、心筋梗塞(こうそく)などを探すことができるんだ。
  • そうなんですか! 潜入操作みたいな感じですね!
  • それにね、そもそも人間も含めて全ての生物や物質が光を放っていて、それを活用した病気の診断技術も開発されているんだよ。
  • え~!? 人間も発光しているんですか? 
  • そうなんだ。目に見える光ではなく赤外線なんだけれどね。赤外線は分子運動によって発生するから、絶対零度(約-273℃)でない限り、物体は光を発しているといえるんだ。生物の体内では、血液によって運ばれる酸素が絶えず化学反応を起こしているため、赤外線を使って体内の状態を調べることができるんだよ。
  • へ~。赤外線では、どんなことがわかるんですか?
  • そうだね。既に実用化が進んでいるのが網膜の断層測定を行う技術だ。血管や皮膚の断層測定を行ったり、脳の血流を調べたりする技術も開発されている。
  • また、胃や腸に照射すれば、その組成の変化からがんの早期発見も可能となるよ。医療以外の活用法としては、果物の糖度の検査や食品の鮮度の検査にも使われているんだ。
  • それにしてもいろいろな形で光を使って体の中の状態を調べられる技術が進歩しているんですね。私も光を使った医療技術を研究してみたくなりました!
  • でもね、光を使った化学反応に関する研究は、まだまだ奥が深いんだよ。次は、光を当てると分子が変形するという研究の話をしようか?
  • はーい…ってええっ? それはまた今度の機会にお願いしま~す。
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