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農学・農芸化学の
学問分野解説
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植物にとっても善玉菌って存在するの?

農学・農芸化学

人の場合は、「身体にいい菌」って聞くけど、植物は菌の力で病気に強くできないの?

  • 先生、植物とか農作物って菌で病気になるんだよね?
  • そうね。植物が病気を起こす原因は主に4つあり、バクテリア、ウイルス、菌類、微少昆虫よ。そのうち菌類による病気が約7割を占めているわ。
  • 7割も! うーん。私、身体にいいって聞いて、毎日ヨーグルトを食べているんだけど、植物は乳酸菌と同じように菌で病気に強くしたり、健康にしたりできないの?
  • 良い視点ね! 実は、植物に影響を与えるバクテリアにも善玉菌・悪玉菌があってね、善玉菌を使って病気を防ぐ方法「生物的防除法」が研究されているのよ!
  • わ! そうなんだ! どれぐらい効果があるものなの?
  • 「イチゴ炭疽(たんそ)病」という病気が大流行して、イチゴ産地が存亡の危機にひんしたときがあったの。そのとき、イチゴの組織から病原菌を分離したところ、病原菌とともに普通では見られない菌が見つかったわ。
  • この随伴分離された菌を培養し、先にイチゴに接種し、その後病原菌を接種したところ、なんとイチゴは病気にかからなかった! 善玉菌がイチゴを病気にかかりにくくした上、ほかの菌を食べてくれたのよ!
  • すごーい。善玉菌を入れるだけで病気にならなくなったんだ!
  • ほかにも土中の塩分を吸収することで植物の成長をよくし、塩害に対して強くしてくれる菌がいたり、植物の生育にとって必須であるリンの利用効率を上げてくれる菌もあるのよ。塩害は発展途上国では特に深刻な問題で、塩分に強い作物を遺伝子操作で作ろうとする研究が盛んだけど、菌を利用する研究も始まっているの。
  • え! 遺伝子操作と同じくらいすごい効果を発揮できるかもしれないんだね。
  • 遺伝子操作だと、ナトリウムの吸収を抑えるようにする手法があるけれど、それだと植物の生育に必要なカリウムも吸収できなくなってしまうので、あまり上手くいかない場合もあるのよ。
  • そうなんだー。
  • そうね。さらに視点を変えると、マメ科の植物は「根粒菌」というバクテリアが根に棲みついて共生しているの。この菌が空中の窒素ガスをアンモニアに変換しているから、マメ科の植物は、栄養に乏しい荒れた土地でも育つことができるわ。これも、「菌が植物を強くしている」と言えるわね。
  • 自然に植物が菌を利用しているんだー! でも、植物の病気の原因はほとんど菌だから、良いことばかりじゃないのは悲しいね。
  • その通り! 病気の原因は、病原菌の作り出す毒素にあるの。毒素は、特定の条件が満たされた場合に作り出されるから、病原菌が毒素を出す前に、化学的にコントロールして毒素を止める研究が進んでいるわ。
  • 病原菌は特定の植物にしか感染できない特異性という性質があるし、生きている植物にしか寄生できないから、感染の仕組みの解明には、宿主となる植物と病原菌を同時に育て、観察する必要があるの。
  • ふーん。菌がいるからすぐに病気になるってわけじゃないんだね。研究も難しそうだね。
  • そうね。「植物を強くする方法」でいえば、植物自身に強くなってもらう方法もあるのよ。
  • どういうこと?
  • 植物は生育に適さない環境(ストレス環境)に遭遇すると、免疫が活性化して、自らさらに病気に強い植物になろうとするの。イチゴ栽培では高温ストレスが免疫活性化に大きな成果をあげているわ。
  • イチゴに60度前後のお湯を直接かけて葉の温度を20秒間50度にすると、葉は軽い火傷を負った状態になって、その熱ショックが免疫活性を高めるというものよ!
  • えー! 植物自身の力も、バカにできないね!
  • ふふふ。1943年の台湾で、黒斑病という病気にかかった、苦くて食べられないサツマイモを病理学者が調べると、「イポメアマロン」という毒物が見つかったの。
  • サツマイモがもともと持っている物質ではなく、サツマイモが黒斑病菌を感知して、これを撃退するために生成した抗菌性物質なんだけど、サツマイモを食べた牛を中毒死させてしまったのよ……。
  • えぇ……。し、植物には、優しくするようにします。
  • ふふふ。いい心がけね。

46 農学・農芸化学

作物の生産から環境分野まで幅広く学ぶ「農学」

農学は、作物の品質の向上や生産量の増加などに寄与してきた長い歴史を有する学問です。伝統的な品種改良だけではなく、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーの導入による農産物の生産量の拡大や品質向上の探究も行われています。研究分野は幅広く、遺伝、育種、園芸作物、果樹栽培、土壌などの基礎研究のほかに、環境保全や都市計画分野、農業関連ビジネスや農産物の流通システムの開発なども対象となります。

化学の力を農学分野で生かす「農芸化学」

農芸化学は、農学系の学問の中の一分野で、農作物の機能や栄養成分の研究、栽培土壌や肥料・農薬の研究、食品の加工技術の開発などの研究分野があります。その成果は食糧(食品)、医療、環境などの分野にも応用されています。生物学や生命科学とも関係が深く、環境保全や食糧問題に貢献できる学問です。

将来 農業、造園、園芸・種苗のほか、農業資材や食品関連の企業に就職する人も多く、教職に就く人もいます。農芸化学系の就職先は、飲料・酒造、食品加工、医薬品分野が代表的です。バイオ産業の発展で、金融やコンサルタント業界でも需要が高まっています。
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