理学系統

数学
  • 奥深い数学の世界を究める
  • 数学の知識を社会の中で生かす
数学
奥深い数学の世界を究める
数や図形の性質・関係を研究して、公式・証明などの法則化を図る論理的思考の学問です。純粋数学と応用数学に大別されます。純粋数学は抽象的な概念を論理的に考える理論体系を主とし、数の性質や関係、定理や方程式の解法などを研究する「代数学」、図形や空間の性質を研究する「幾何学」、微分・積分をベースに物理学とも関わる「解析学」などがあります。
数学の知識を社会の中で生かす
応用数学は、コンピュータを積極的に活用してさまざまな問題を数値化するなど、自然科学、社会科学や工業分野と関連しています。プログラム理論や確率論、社会科学系の分野でも応用されるゲーム理論なども応用数学の領域です。プログラミング理論や計算法のアルゴリズム、情報通信に欠かせない暗号理論、社会科学の諸問題の効率を最大限に高めるオペレーションズ・リサーチなども研究対象となります。

製造業やIT関連企業、金融・保険業などに就職する人や、システムエンジニア、プログラマーなどの専門職として活躍する人、教員免許を取得して数学の教員になる人が大半です。大学院へ進学する人も比較的多くいます。

物理学
  • 素粒子から宇宙まで自然界の法則を解明する
  • 実験やシミュレーションで理論の構築をめざす
物理学
素粒子から宇宙まで自然界の法則を解明する
自然界の物理現象の観測と実験的検証を通して、その法則を証明し、理論的解釈を与えることを目的とする学問です。対象は非常に幅広く、ミクロの世界の素粒子・原子・分子から地球・宇宙まで、自然界のすべての事象が研究対象となります。科学技術全般への応用範囲が広い学問です。
実験やシミュレーションで理論の構築をめざす
「原子・素粒子物理学」では物質を構成する原子や物質の究極の構成単位である素粒子を探究します。「物性物理学」は電子や原子の運動から物質の性質を解き明かし、半導体や超伝導の研究につながっています。「宇宙・天体物理学」では宇宙の誕生の謎やブラックホールなどを研究します。研究手法としては、現象の実験的検証を行う場合と、数式やコンピュータシミュレーションをもとに理論構築をめざすものがあります。

大学院への進学率が半数に近く、修士課程の後に企業の研究部門への就職を見据える例が一般的です。大学や国の研究機関に就職する人もいます。一般企業では、電子機器、機械、ソフトウェア、システム、情報の分野が主な就職先となります。

化学
  • 生活に役立つさまざまな物質を作り出す
  • 物質の合成・反応・変化のメカニズムを解明する
化学
生活に役立つさまざまな物質を作り出す
固体・液体・気体など、あらゆる物質の性質や化学変化の仕組みを調査・分析し、暮らしに役立つ新しい物質を作り出す学問です。薬品や新素材、半導体、セラミックなどの開発につながる物質研究をはじめ、バイオや光通信など多彩な分野とも関連します。物質と環境の関係を分析し、環境保全技術を開発する研究も行われています。ナノテクノロジーや高分子ポリマー、有機ELなど、新しい機能や性質をもった素材や物質により、生活は大きく進歩しています。
物質の合成・反応・変化のメカニズムを解明する
その研究分野は、炭素を含む物質の合成・反応・変化を研究する「有機化学」、金属やガラスを扱う「無機化学」、物質の構成や状態変化のメカニズムを探る「物理化学」、物質の計量や解析を行う「分析化学」、タンパク質などの生体に関する化学反応を対象とする「生化学」などに分かれています。

化学メーカーのほか、金属・医薬品・食品などの製造業、流通・サービス業、専門書を扱う出版業界など、就職先は多岐にわたります。教員や公務員になる人もいます。大学院へ進学して、企業や研究機関での研究開発職をめざす人も多くいます。

生物学
  • 生命と生物の仕組みの不思議を解き明かす
  • 生物に迫るためのさまざまなアプローチ
生物学
生命と生物の仕組みの不思議を解き明かす
人間・動物・植物・微生物などの生命体を対象に、自然界での活動や、個々の生体現象を解明する学問です。遺伝子レベル、細胞レベル、内部器官の機能や構造、生物の行動や生態など、顕微鏡の中のミクロの世界から野生の動植物の生息地域の現地調査までもが研究対象です。生態と環境の関係など、生物を取り巻く環境との関わりもテーマとなります。
生物に迫るためのさまざまなアプローチ
生物を対象に、系統的に分類する「分類学」、進化を研究する「進化学」、生態を解き明かす「生態学」、行動を分析・研究する「行動学」。生体を対象に、その仕組みを解明する「生化学・生理学」、生命の誕生や器官形成を探る「発生学」、遺伝子の役割を解明する「遺伝子学」、細胞を対象とする「細胞生物学」や「分子生物学」などの分野があります。クローンやゲノム、再生医療などの研究分野とも深い関連があります。

企業に就職する場合にも高い専門性が求められるので大学院に進む人が大半です。医薬品・食品・化粧品・醸造などの分野で商品開発という進路が開けています。研究者として大学に残る人や、公的な研究機関に入る人もいます。

地球科学
  • 地球と自然について学ぶ
  • 地球の不思議に壮大なスケールで挑む
地球科学
地球と自然について学ぶ
46億年前に誕生した地球の謎を解き明かし、さらに温暖化やオゾンホール、エネルギー問題など、地球の未来を左右する自然現象の問題解決をめざす学問が、地球科学です。地層や化石、気象、生物を手がかりに、地球という存在そのものに焦点を当てます。また、地震・津波・火山噴火・竜巻などの自然災害の現象の解明や防災にも寄与することをめざします。
地球の不思議に壮大なスケールで挑む
研究のスケールは大きく、地球の誕生から現在までのすべての事象が対象となります。基礎科学の分野としては、地質学、岩石学、鉱物学、気象学、地震学、地球物理学、自然地理学などがあります。また応用分野としては、地球環境科学、天然資源開発、防災地学、さらに、太陽や月、宇宙空間を対象とする地球惑星科学などがあります。研究では実験のほか、現地での野外調査や観測によるデータ収集なども重視されています。

多くの人が大学院へ進学した後に、環境計画・都市計画関連、エネルギー関連、土木・建設関連企業などで専門職に就きます。IT関連企業や製薬会社への就職も目立ちます。公務員になり、国土交通省や気象庁などで働く人もいます。

工学系統

機械工学
  • ものづくりの基礎を支える技術や理論を学ぶ
  • 研究対象のスケールも種類も多種多彩
機械工学
ものづくりの基礎を支える技術や理論を学ぶ
「ものづくり」の基盤を支えている重要な学問領域で、ものをつくるための技術やその原理・方法論を系統立てて研究し、機械や生産のためのシステムを構築するためのテクノロジーを学ぶ学問です。材料の強度や特性、新素材の開発などを行う「材料系」、エンジンや発電プラントを研究する「熱・流体系」、部品の設計や製作・加工について学ぶ「設計・製作系」、機械の制御技術などを開発する「計測・制御系」の4つの分野に大別されます。
研究対象のスケールも種類も多種多彩
研究対象は自動車やロボット、工作機械、精密医療機器、人工臓器、マイクロマシンなど、そのスケール・種類ともに多彩なことと、異分野の研究と連携が進んでいることが特徴です。研究成果はものづくりだけでなく、医療福祉、環境問題、エネルギー分野などで幅広く活用されています。

自動車や造船、家電といった機械関連、重工業などが挙げられますが、機械工学の知識は各方面の生産技術で生かせるため、食品・繊維など多様な製造業でも活躍できます。研究開発職としての就職を希望し、大学院へ進学する人もいます。

航空・宇宙工学
  • 空と宇宙を舞台に描く壮大な夢とロマン
  • 「速くて、安全で、環境にやさしい」をめざす
航空・宇宙工学
空と宇宙を舞台に描く壮大な夢とロマン
航空機やロケットの開発、宇宙ステーション計画、人工衛星の利用などに必要な先端科学技術を生み出す、スケールの大きな学問です。小惑星探査機「はやぶさ」の帰還や、日本人宇宙飛行士の宇宙ステーションでの活躍などに見られるように、宇宙の謎を解明し、人類の宇宙への進出を実現することをめざしています。
「速くて、安全で、環境にやさしい」をめざす
空気の流れや抵抗などの問題を研究する「流体力学」、機体の設計やその材料などについて研究する「構造力学」、航空機やロケットのエンジンなどの開発を行う「推進工学」、機体の姿勢や軌道制御などのシステムについて研究する「制御工学」の4分野があります。航空機は安全性はもちろんですが、環境に配慮した燃料効率などが課題となっています。未知の領域も多く、常に新たな課題に取り組める学問分野です。

航空機メーカーや航空会社、電機メーカーの宇宙・ロボット部門、精密機器メーカー、鉄道関連企業などへ就職する人や、航空機整備、パイロットの資格取得を見据えて就職する人が大半です。航空・宇宙関連の研究所、関連官公庁などで働く人もいます。

電気・電子工学
  • 電気をめぐる新しい技術を開発する「電気工学」
  • コンピュータや通信技術を支える「電子工学」
電気・電子工学
電気をめぐる新しい技術を開発する「電気工学」
電気・電子工学は、エネルギーと情報伝達媒体という、電気の2つの側面を研究の軸とする学問分野です。電気工学は、電気の流れをエネルギーとしてとらえ、主に発電、電力輸送、電動機の制御などについて学びます。効率のよい発電や蓄電、輸送を研究するとともに、超伝導やプラズマ、太陽光発電や風力発電なども研究対象とします。
コンピュータや通信技術を支える「電子工学」
電子工学は、電子を情報伝達媒体として考える学問で、コンピュータや半導体、LSI(大規模集積回路)、電子機器などの製作の基礎となります。ソフト・ハードやネットワーク技術の開発といった、電子の性質の応用に関わる研究開発を行います。回路やシステムの設計から、情報通信、デバイスや材料の開発など、幅広い領域を研究します。電気・電子工学の技術を医療分野などの他分野と融合させた研究も行われています。

家電製品や情報通信機器などのエレクトロニクス関連、IT関連、エネルギー関連はもとより、通信、ソフトウェア開発、材料関連の企業などに就職する人や、金融・保険業などのシステム開発に携わる人が大半です。大学院へ進学する人も少なくありません。

通信・情報工学
  • 情報化社会の要、通信技術の進歩をめざす
  • 情報とは何か、情報をどう生かすかを学ぶ
通信・情報工学
情報化社会の要、通信技術の進歩をめざす
コンピュータ、情報、通信などに関するあらゆる技術を研究する学問です。インターネットの普及と、通信技術やモバイル端末の進歩により、情報のネットワークが一気に拡大し、情報の高速化、大容量化、モバイル化は生活の利便性を高めています。こうした技術開発を担っているのが通信・情報工学です。
情報とは何か、情報をどう生かすかを学ぶ
主要な研究分野は、以下の3つに分かれます。1つ目はコンピュータのハード・ソフトと通信・情報処理を総合的な観点から学び、情報伝達技術の向上や環境について考える分野です。2つ目は情報とは何かという問題から情報の扱い方を考え、それを確率・統計、情報理論、ソフトウェアの研究に生かす分野です。3つ目は情報の産業部門への応用を図る分野で、管理工学・経営工学などと関連が深く、産業分野で情報を利用するためのシステムや機器の開発なども行います。

システムエンジニアのような直接情報に関わる職業に就く人や、家電・音響機器などの電気・電子機器メーカー、各種製造業、流通・サービス業、金融・保険業などに就職する人が大半です。研究開発職での就職を希望し、大学院へ進学する人もいます。

建築学
  • どの時代にも、どの地域にも「建築」はあった
  • デザインだけではない、建築学の学び
建築学
どの時代にも、どの地域にも「建築」はあった
建築学は、芸術と融合した科学として、機能性・快適性・強度・安全性、環境に合ったデザイン性などをそなえた建物を造る知識と技術を研究する学問です。建物の設計やデザイン面が注目されがちですが、最近では防災という観点から、耐震性・耐火性・耐久性など、その構造の強度や安全性も特に重要な要素となっています。
デザインだけではない、建築学の学び
「計画系」は、建築設計を軸に、建築史や建築計画、都市開発など、建築物や街のあり方などを研究します。「構造系」は、防災の観点から建物の耐震構造や建築材料の性質や強度などの具体的な技術や材料について学びます。「環境系」は、建築物と光、音、空気、自然環境などとの関係を研究します。建築物の設計には、これらのそれぞれの分野の総合力に加えて、空間表現力、デザイン力などが求められます。

ゼネコンや設計事務所に就職して、設計や構造計算、現場での施工・管理に携わったり、官公庁の都市計画に関わる職種などでの活躍が期待されています。実務に関わりながら建築士をめざす人も多くいます。広告や金融、不動産関連に就職する人もいます。

土木・環境工学
  • 生活基盤・ライフラインを造り・支える「土木工学」
  • 自然環境と人間の暮らしの調和を考える「環境工学」
土木・環境工学
生活基盤・ライフラインを造り・支える「土木工学」
土木工学は、社会と暮らしを支えるための学問で、道路・鉄道・橋といった交通施設、発電所などのエネルギー施設、河川海岸の堤防やダム、上下水道やガスなどのライフラインを構築する技術を研究します。建設のための技術だけではなく、その前提となる計画・調査・設計の知識や、建設後の管理・運営の技術や知識も習得します。土の力学的性質を学ぶ土質力学、水の流れに関する力学について学ぶ水理学、地盤力学などの基礎的な知識も必要とされます。
自然環境と人間の暮らしの調和を考える「環境工学」
環境工学は、自然環境と人間生活との調和を図りながら社会システムを形成することをめざす学問です。居住環境の問題から都市環境、さらに地球環境の問題までが研究対象となります。工学的な知識はもちろんのこと、社会学的な知識など幅広い視点からのアプローチが求められます。環境との調和は、今後も人類の大きな課題といえます。

ゼネコンで公共工事などに関わる人が大半です。鉄道・不動産・コンサルタントといった業種でも知識と技術を生かせます。環境工学の場合は、土木工学と同じ分野のほか、上下水道整備を請け負うコンサルタント会社などに勤める人も多くいます。

材料工学
  • 材料の研究開発はものづくりの原点
  • 可能性を秘めた新材料で社会を変えていく
材料工学
材料の研究開発はものづくりの原点
さまざまな材料について、化学の知識をベースに、その構造・機能などを工学的に研究し、新機能を発見したり、新しい材料を開発したりする学問です。対象は半導体材料やセラミックス、燃料電池や超伝導の材料、磁性材料、いろいろな機能を持つ合金、医療分野で使われる人工の骨や血管などの生体材料までと幅広く、ほかの分野の発展にも重要な役割を果たしています。
可能性を秘めた新材料で社会を変えていく
材料の開発にとどまらず、製造プロセスから加工技術の開発、実用化のための研究までが研究領域となります。航空機にも使われる軽量で強度の高い炭素繊維や、伝導性に優れ強度も高いカーボンナノチューブなどの新材料は、既存の材料と置き換えることによって新たな可能性を生み出しています。環境との調和の観点からも、高機能、省エネルギーで、環境に負荷の少ない材料の開発が求められています。

製鉄・非鉄金属会社、商社の鉄鋼貿易部門などで、従来から即戦力として期待されています。最近は多種多様な産業分野で技術の複合化が著しいことから、電気・機械・自動車・繊維・石油・化学といった業種の企業に就職する人も少なくありません。

応用物理学
  • 物理学の知識を実用に生かす
  • 未来を切り開くための技術を開発する
応用物理学
物理学の知識を実用に生かす
応用物理学は、これまでに得られた物理学の原理や理論、解明された物質の構造や性質、現象や法則を活用して、実際に社会で役立つ技術を研究・開発する学問です。物理学は理論や法則を解明するために実験や考察を行う側面が強いのに対し、応用物理学はより実用的な側面をもち、製品や技術を開発することを主目的とするので、産業や経済分野とも深く関わっています。
未来を切り開くための技術を開発する
代表的な研究分野には、超伝導や半導体などを対象とする「物性物理」、電子素子物理・電気回路について研究する「計測・エレクトロニクス」、情報理論や数理モデルに基づく「情報・制御」などがあります。応用物理学はトランジスタや半導体レーザー、高性能磁石などを生み出し、技術の未来を切り開いてきました。大学での学びは、材料、機械、情報といった領域の、工学的な科目が中心です。

理学・工学の両方を学ぶので多種多様な業種への応用が利きます。電気・電子機器、通信・コンピュータ関連、化学、鉄鋼、自動車などの製造業で活躍する一方、データ分析能力を生かして金融・保険業などで活躍する人もいます。

応用化学
  • 化学の知識で、新しい素材や物質をつくる
  • 新素材の開発から環境保全にも取り組む
応用化学
化学の知識で、新しい素材や物質をつくる
応用化学は、これまでに得られた化学の知識を活用し、生活や文化を豊かにするための素材や材料、物質を開発する学問です。化学が物質そのものの性質や構造を分析して反応や合成などの実験や理論研究を中心とするのに対して、応用化学は実際の製品やそれに用いられる技術を研究・開発することを主目的としています。
新素材の開発から環境保全にも取り組む
化学理論に工学的な要素をまじえて、物質の実用化に向けて実践的な研究を行います。電子材料、セラミックス、生体材料、高分子材料、分子設計などの分野があります。また人工物質のなかには有害物質が存在することから、物質が生体や環境に及ぼす影響と環境保全技術の研究にも取り組みます。このように、応用化学の成果は、医療、エレクトロニクス、食品、環境などの多岐にわたる分野に貢献しています。

石油、合成繊維、樹脂、電気部品などの製造業、環境保護やエネルギー関連の企業で、研究者・技術者として製品開発や生産技術開発に関わったり、化学知識を基に製品販売で手腕を発揮するなど、活躍の場は多岐にわたります。

生物工学
  • 産業や医学・薬学へ生物学の知識の応用をめざす
  • 遺伝子や細胞の謎を解明し、新技術を開発する
生物工学
産業や医学・薬学へ生物学の知識の応用をめざす
「バイオテクノロジー」とも呼ばれる生物工学は、細胞や遺伝子、生体の仕組みなどについて学び、生物学分野の基礎研究で解明された生命のメカニズムを利用して、新しい物質や技術を開発し、産業や医学・薬学への応用をめざす工学的な学問です。主な分野は「遺伝子工学」と「細胞工学」の2つです。
遺伝子や細胞の謎を解明し、新技術を開発する
「遺伝子工学」は、遺伝子の組み換え技術によって生物に新たな特徴や性質を与え、遺伝子の解析などを行うもので、作物の品種改良や人間の遺伝子治療などにも関わります。「細胞工学」は、マイクロインジェクション(細胞への遺伝子注入)の技術で特定の細胞の状態を作り出したり、がんの原因の解明をめざす研究なども行われています。生命や自然への影響に関わる研究も多く、倫理観が問われる学問分野でもあります。

多くの人は医薬品・化粧品・食品・醸造などの企業に就職しますが、厚生労働省・経済産業省・環境省などの省庁や、国立の研究所に進む人もいます。研究開発職での就職を希望し、高い専門性を身に付けるために大学院へ進学する人もいます。

資源・エネルギー工学
  • 資源の開発と有効利用を考える「資源工学」
  • 将来のエネルギーを探究する「エネルギー工学」
資源・エネルギー工学
資源の開発と有効利用を考える「資源工学」
資源工学は、石油・天然ガス・メタンハイドレートといった地球の岩石層にある地下資源が研究対象です。地盤の地質、鉱床を分析することで資源を探査・調査し、鉱物資源の開発・採掘、分離・精製などについて研究します。それに加え、資源の利用にともなう環境問題や資源のリサイクルなどを考慮して、地球と人類の未来を視野に入れた研究も行います。
将来のエネルギーを探究する「エネルギー工学」
エネルギー工学では、化石燃料を有効かつ安全に利用するための方法やそのための機器の開発、利用によって発生する環境汚染物質に対する対策を研究する分野、原子力発電の技術と安全性に関する分野、太陽光・風力・地熱・バイオマスといったクリーンエネルギーの有効利用によって地球環境を守るために、再生可能エネルギーに関する新技術を開発する分野などがあります。

資源工学は、地質学・資源工学の知識を生かせる石油、ガス、地質コンサルタント会社や、材料工学の知識を生かせる金属工業、鉱業などの分野に進む人が大半です。エネルギー工学は、電力会社、原子力関連産業、重工業や電機メーカーへ就職する人が大半です。

経営工学
  • 工学的な手法で経営の問題を解決する
  • さまざまな角度から経営をサポートする
経営工学
工学的な手法で経営の問題を解決する
経営工学は、企業経営の効率化を図るために、人材・モノ・金・情報という経営資源をどう使えばいいかを、工学的な手法を使って研究する学問です。企業の組織・生産設備・製造工程・品質管理・流通・販売などのあらゆる側面から研究を行います。現代の企業経営は経営に関する専門知識だけではなく、コンピュータを活用した情報分析や生産・販売システムの構築などに関する知識も必要で、その両方を備えた人材が求められています。
さまざまな角度から経営をサポートする
研究テーマには、生産や流通における「技術革新」、効率よく質の高い製品を製造するための「生産・品質管理」、経営上の的確な意思決定をするための「情報の活用」に関する研究、企業の経営状態の分析・評価を行う「経営管理」、事故の予防や職場環境の改善のための「人間工学」などがあります。

各種製造業、コンサルタント、シンクタンク、商社、金融・保険業、流通・サービス業など、就職先は多岐にわたります。コンピュータ技術のノウハウにより、システムエンジニアとして迎えられる人もいます。起業家や独立開業をめざす人もいます。

船舶・海洋工学
  • 船と海に関わるさまざまな知識を学ぶ
  • 「船舶系」「海上海洋系」「環境系」で学ぶ内容
船舶・海洋工学
船と海に関わるさまざまな知識を学ぶ
船舶・海洋工学は、地球規模で海と人間に関わる幅広いテーマを対象とする学問で、船舶系・海上海洋系・環境系の3つの分野に分かれています。
「船舶系」「海上海洋系」「環境系」で学ぶ内容
「船舶系」は、船舶を中心とした構造物の設計や建造、船舶の運航に関する研究を行います。船舶の構造に関しては、物理的な基礎理論を機械・電気・流体力学・制御などの工学分野から学びます。「海上海洋系」は、海洋資源の探索・開発、海底油田の石油掘削プラントや海上空港、海上リゾートなどのレジャー関連施設などの建設に加え、海上輸送システム、船舶による国際物流などについても学びます。「環境系」は、海の潮流や波など自然現象を解明し、海洋環境の保全や水域の有効利用につなげるための研究を行います。国土を海に囲まれた日本にとって、船舶と海洋の利用は非常に重要です。

造船・輸送機械、重機械工業、海運業で船舶の製造や海上輸送に関わるほか、自動車、建設、航空、運輸、倉庫、通信など、バラエティに富んだ業界での活躍が期待されています。海技士免許を取得し、世界の海で活躍する人もいます。

農・獣医・畜産系統

農学・農芸化学
  • 作物の生産から環境分野まで幅広く学ぶ「農学」
  • 化学の力を農学分野で生かす「農芸化学」
農学・農芸化学
作物の生産から環境分野まで幅広く学ぶ「農学」
農学は、作物の品質の向上や生産量の増加などに寄与してきた長い歴史を有する学問です。伝統的な品種改良だけではなく、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーの導入による農産物の生産量の拡大や品質向上の探究も行われています。研究分野は幅広く、遺伝、育種、園芸作物、果樹栽培、土壌などの基礎研究のほかに、環境保全や都市計画分野、農業関連ビジネスや農産物の流通システムの開発なども対象となります。
化学の力を農学分野で生かす「農芸化学」
農芸化学は、農学系の学問の中の一分野で、農作物の機能や栄養成分の研究、栽培土壌や肥料・農薬の研究、食品の加工技術の開発などの研究分野があります。その成果は食糧(食品)、医療、環境などの分野にも応用されています。生物学や生命科学とも関係が深く、環境保全や食糧問題に貢献できる学問です。

農業、造園、園芸・種苗のほか、農業資材や食品関連の企業に就職する人も多く、教職に就く人もいます。農芸化学系の就職先は、飲料・酒造、食品加工、医薬品分野が代表的です。バイオ産業の発展で、金融やコンサルタント業界でも需要が高まっています。

農業工学・林学
  • 効率的な農業のあり方を考える「農業工学」
  • 森林資源の保全や環境問題に取り組む「林学」
農業工学・林学
効率的な農業のあり方を考える「農業工学」
農業工学は、効率よく農産物を生産するための技術開発や農地の整備、栽培設備の改善などに取り組む学問です。農業環境の悪化、農村の過疎化などの農村地域の生活環境の問題解決も目的としています。土地の有効利用や水資源の開発を主要テーマとする「農業土木分野」、農業生産に必要な機械や設備の開発に取り組む「農業機械分野」、資源の有効利用と生態系保全を考える「環境系」の3分野があります。
森林資源の保全や環境問題に取り組む「林学」
林学は、森林資源の活用と保全を地形・地質・土壌・気象などの自然科学と、経済・経営・社会学などの社会科学の両面から学びます。森林は木材を産出するだけでなく、二酸化炭素を吸収し、雨水を貯え、生態系を維持するという環境を守る機能を果たしているので、防災や環境問題の観点からの研究も行われています。

農業工学の土木系は官公庁などの公的機関や建築業、設計コンサルタントへの就職が多く、機械系は農機・建設機械・自動車などの製造業が中心です。林学は林野庁や自治体の林務関連行政職の人気が高く、製紙会社やハウスメーカーなども対象となります。

農業経済学
  • 農業を経済・経営・社会学的な視点からとらえる
  • 農業が抱える問題の解決への道筋を探る
農業経済学
農業を経済・経営・社会学的な視点からとらえる
農業経済学は、社会科学的な視点から日本や世界の食糧問題・農業の問題を研究する応用経済学という側面があります。例えば、農業政策論では、日本や世界の農業政策の歴史を振り返ったり、現在の農業が置かれている状況、高齢化が進む地域での農地の荒廃の問題などの解決策を探ります。農業生産や所得の向上、農村地域の振興のためのブランド食材の開発や流通ルートの開拓なども研究対象となります。
農業が抱える問題の解決への道筋を探る
農業経営への株式会社の進出や、農協といった組織を研究することもできます。さらに、研究対象は日本国内の問題だけにとどまらず、重要な問題となっている農産物の貿易自由化や日本の食糧需給率の低下にともなう食糧の安全保障の問題など、国際的な視点からも、農業が抱えている課題の解決に取り組んでいきます。

農学と社会科学の両方の学問の修得により、全国農業組合連合会、農協などの農業関連団体、食品・流通・販売といった業種のアグリビジネスへ進む人が大半です。環境関連、運輸やエネルギー関連の企業に就職する人もいます。

獣医学
  • 診断・治療・予防で動物の命を守る
  • 広汎なフィールドで活躍する獣医師
獣医学
診断・治療・予防で動物の命を守る
獣医学は、6年制のカリキュラムを基本として、産業用動物やペットの病気の診断や予防、治療を行う獣医師の養成を主目的とする学問です。BSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザなど家畜の伝染病の発生は深刻な問題で、その予防など病気への対応は、獣医師の重要な職務です。また、4年間のカリキュラムで動物病院の看護師や介助犬の養成などをめざす獣医保健看護学を学べる学科もあります。
広汎なフィールドで活躍する獣医師
獣医師が活躍するフィールドは、動物の診察や治療だけにはとどまりません。獣医師の職域としては、食品の衛生検査・監督・指導、動物用・人体用の医薬品の開発研究、野生動物の生態調査やその保護、バイオテクノロジー分野の研究など、一般的な獣医師のイメージではとらえきれない活躍の場があります。

獣医師などの専門職に就く人が大半です。官公庁の公衆衛生や畜産部門、農業団体、競馬関連公的機関への就職も人気があります。民間企業では、畜産、乳業、飼料、食品メーカーでのスペシャリストとしての活躍が期待されています。

酪農・畜産学
  • 家畜を育成し乳製品や食肉加工品を生産する
  • 繁殖から生育、製品流通や経営までを学ぶ
酪農・畜産学
家畜を育成し乳製品や食肉加工品を生産する
酪農・畜産学は、牛・豚・鶏といった家畜動物の生態や遺伝、繁殖などを研究し、肉や卵、牛乳や乳製品、加工食品の生産・製造技術を向上させ、安定的に供給・流通させることをめざす学問です。
繁殖から生育、製品流通や経営までを学ぶ
「酪農学」では乳牛や羊などの育成と牛乳の生産技術、その加工技術、経営や流通について学びます。「畜産学」では、遺伝子や分子レベルの研究などから家畜動物の生育や生殖について研究し、育種・繁殖・飼育の技術開発を行います。肉、卵などの生産・製品開発・流通や家畜のための飼料開発や畜産農家の経営に関しても学びます。また、野生動物の生態系保存や新種の実験動物の開発、アニマルセラピーなどによる動物の癒やし効果なども研究テーマとなります。

食品、畜産、飼料などのメーカーで、バイオ技術や遺伝子組み換え技術を応用するエキスパートとしての活躍が期待されています。観光牧場やペット産業、農業関連団体で働く人や、アニマルセラピーの研究を生かして福祉分野に進む人もいます。

水産学
  • 貴重な水産生物資源を守り育てる
  • 資源の有効活用に関する幅広い研究
水産学
貴重な水産生物資源を守り育てる
水産学では、海や河川の有効利用および、魚介類などの水産生物資源の生産技術を学びます。特に海洋生物資源の状況は乱獲や環境の変化によって厳しい状況に追い込まれ、国際的に捕獲が禁止されたり、漁獲量制限の動きもあります。そのため、「獲る漁業」から「育て、増やす漁業」への転換を図り、魚の品種改良や海洋環境保全の研究も進んでいます。
資源の有効活用に関する幅広い研究
研究分野は、漁業・水産資源学、水産環境学、増養殖学、食品生産学などに分かれています。廃棄されたり、これまで利用されてこなかった海洋性プランクトンや魚、海藻などの水産資源の有効活用を研究する分野では、有効成分の抽出などの研究が成果を上げ、食品に限らず、化粧品や医薬品、エネルギー関連分野での資源利用も進んでいます。

水産会社、食品産業、流通業、水産科学関連企業などで、研究者や技術者としての活躍が期待されています。養殖場、海洋環境調査会社、水質検査会社、漁業組合などで働く人もいます。難関ですが、水族館への就職希望者も少なくありません。

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