地理編
1 地図上の位置、基本地名の確認
最近の入試問題では、細かい地名が問われることは少なく、基本的地名を確実に押さえておけば十分なのだが、基本的地名でも意外に正答率が低く、得点差がつくことが多い。次に挙げる地名は、白地図などを使って位置関係をしっかり確認しておきたい。また、赤道、回帰線、30度の倍数の経線・緯線の位置も具体的な地名とセットで押さえておきたい。
- ◆主要山脈、河川など基本的な自然地名、特にヨーロッパや東南アジアでは、国境を形成する山脈や河川にも注意。
- ◆手薄になりがちな東ヨーロッパ、西アジア、中央アジア、中南アフリカなどは、国の配置に注意。
- ◆アメリカ合衆国の州、中国の省・直轄市・自治区は、人口上位など主要なものを確認。
- ◆大都市(人口300万人以上)の立地は、河川交通や海上交通の拠点となる湾奥、河口、合流点などに注意。
2 地形と気候の成因と分布の確認
自然地理の分野は、成因と分布の特徴がきちんと理解できていれば確実に得点できる。演習問題は、これまでやった問題集や模試の問題が、確実に理解できているかどうかの検証が必要である。理解できているかどうかは、言葉で説明できるかどうかで判断できる。図書館や自習室では御法度だが、例えば、次の項目を誰かに教えるつもりで、実際に声を出して説明してみよう。言葉に詰まったら、再確認を。
- ◆プレート境界の種類とその分布及び形成される地形の特徴。
- ◆上流と下流における河川の働きの違いと形成される地形の特徴。
- ◆高緯度・低緯度、沿岸・内陸、東岸・西岸における気温の年較差の違いとその要因。
- ◆地域による降水量の季節変化の違いとその要因。
3 時事的話題を地理的視点でチェック
地理は、現実の世界を理解することが課題であり、現在世界で起こっている出来事については地図帳や統計資料集を使って地理的視点からのチェックが必要である。とくに次のテーマに関する近年の動向は出題される可能性が高いので、再度確認しておきたい。
- ◆自然災害
- 地震や火山災害、気象災害のメカニズムを整理し、発生しやすい地域を地図帳で確認する。
- ◆エネルギー・環境問題
- 国別のエネルギー消費構成をチェックし、パリ協定など地球温暖化問題に対する国による対応の違いを理解する。
- ◆地域紛争・民族問題
- ロシアのウクライナ侵攻とその影響、中国の少数民族問題の背景など近年の国際情勢を整理する。
- ◆貿易の動向
- 日本の貿易相手国の変化やFTA/EPA(自由貿易協定/経済連携協定)締結相手国やTPP参加国などをチェックする。
- ◆日本の人口動向
- 都道府県別の人口に関する統計を資料集で確認し、都心回帰現象や少子・高齢化の動向を理解する。
- ◆SDGs
- 持続可能な開発目標の17のゴールを確認し、相互の関係を理解する。
4 論述問題の対策
論述問題では、内容がどんなに正しくても、問われていることに答えなければ得点にならない。当たり前のことだが、実際の試験では、このことがきちんとできておらず、設問内容と関係のないことを勝手に答えた、独りよがりな答案が少なくない。まずは、問題文をしっかり読んで、何が問われているかを常に意識して解答することが大切である。論述問題の形式には、次のような形式がある。また、解答の分量は大学によって傾向が異なるので、過去問をしっかりチェックしておきたい。
- ◆資料判読
- 統計表や分布図などの資料から判読できることを述べる。
- ◆比較論述
- 地域・事象・時代などを共通点や相違点をあげて比較する。
- ◆要因説明
- 成因や因果関係を論理的に説明する。
- ◆用語解説
- 地理用語や現象を簡潔に説明する。