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大学受験、その前に。 今知っておきたい4つの関心ごと 大学でSDGsを学ぶ
意味って何?

「誰一人取り残さない」という理念のもと、持続可能な社会を実現するために国連で採択された、2030年までに世界が取り組むことが求められている目標「SDGs」。企業や自治体でのSDGsを意識した取り組みも目に見えて増える中、多くの大学でも、目標達成に向けた活動が本格化しています。SDGsを起点に大学をみてみると、その大学で学ぶことで、社会とどのように関わるかが明確になるはず。最新事例を追います。

事例紹介 金沢工業大学

SDGs達成の担い手を育成する
教育を推進

SDGsを学ぶための
ゲーミフィケーション教材を開発

 金沢工業大学(KIT)は、SDGs達成の担い手を育成する教育(SDGsイノベーション教育)が高く評価され、第1回ジャパンSDGsアワード推進副本部長(内閣官房長官賞)を受賞しています。全学的にSDGs達成に貢献する教育研究を推進しており、学内にSDGs推進センターを設置するとともに、SDGsを学ぶためのゲーミフィケーション教材の開発、地元自治体と連携したSDGs達成の取り組みなどを進めています。
 KITは、文部科学省の「SDGs達成の担い手育成推進事業」に5年連続で採択されました。令和4年度の採択校のうち、私立大学で採択校となっているのは金沢工業大学のみです。採択された取り組みの中で、教育委員会や自治体などと連携し、学校教師などを対象としたESD研修(持続可能な開発のための教育)の実施、その成果のフォローアップと発信を行いました。小学・中学・高校・学習塾などが持続可能な社会の担い手を育成できるよう、SDGsイノベーション教育カリキュラムをベースとして開発した教材を活用できる教員を、全国47都道府県で育成することをめざしました。

SDGs推進センター

THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)

 「私たちは私たちの未来を救うために」を理念に、SDGs達成に取り組む学生プロジェクトが、 SDGs Global Youth Innovatorsです。その想いが結実したTHE SDGs アクションカードゲームX(クロス)は、楽しみながらSDGsについて考えようというアイデアのもと、2018年に開発したものです。
 THE SDGs アクションカードゲームXは、トレードオフカードとリソースカードの二種類のカードにより構成されるゲーム。トレードオフカードはSDGsの17個の各ゴールにおけるトレードオフの課題が描かれています。その課題を、建築やアニメ、AIなどのモノや技術が描かれたリソースを使って解決策となるアイデアを出していきます。
 ゲームを通じて、トレードオフの解消に不可欠なイノベーションの創出方法を身につけることができるため、すでに教育機関や自治体、企業におけるSDGsの学習や研修等でも活用されています。
 2021年には、金沢工業大学経営情報学科の平本督太郎研究室と、神田外語大学イベロアメリカ言語学科スペイン語専攻の青砥清一教授ゼミの学生が「THE SDGs アクションカードゲーム X」の「スペイン語版:クロスをスペイン語に訳したバージョン」「スペイン語圏版:スペイン語圏諸国特有の課題や魅力をテーマにしたカスタマイズバージョン」を作成。平本研究室と青砥ゼミの学生は、SDGsをテーマとしたゼミ・研究室連携プロジェクトとして活動し、それぞれの学びの特長を生かし、プロジェクトを進めました。平本研究室の学生は、SDGsについて専門的に学んでおり、今回の制作にあたっては、主にSDGsの専門的な知見をもとにカードの文言などの考案・全体設計などを行いました。
 SDGs Global Youth Innovatorsの元メンバーの学生らは、SDGsベンチャーである株式会社LODUを2021年6月に起業。KITは株式会社LODUと協力して、SDGs教育を推進しており、2022年9月には両者が連携し、THE SDGsアクションカードゲームXのウェブブラウザ版(オンライン版)も一般公開しました。

THE SDGs アクションカードゲームX
THE SDGs アクションカードゲームX
スペイン語版

「Beyond SDGs人生ゲーム」で
理想の未来を実現

2022年8月には、株式会社タカラトミーをはじめ、国連機関など74組織との連携により「Beyond SDGs人生ゲーム」が完成しました。
 「Beyond SDGs人生ゲーム」とは、2030年を目標年としたSDGsの達成と、その先の2050年における「脱炭素社会」「循環型社会」「自然との共存社会」「ウェルビーイング社会」という4つの社会を内包した、理想の未来の実現に関する教育・学習のための『人生ゲーム』です。億万長者をめざして競い合う一般的な『人生ゲーム』とは違い、プレイヤー同士で協力することで理想の未来をめざすゲームです。SDGsの目標年である2030年以降に社会で活躍する現在の小中高生が、SDGsをポジティブにとらえ、未来への分岐点として認識し、その先の未来を楽しみながら描くきっかけを提供することを、このゲームの狙いとしています。
 完成後、KITは、全国の小中高校等の教育機関へ「BeyondSDGs人生ゲーム」の無償配布を開始。これまでに、250校以上の教育機関でゲームを活用したSDGs教育が展開されています(2023年5月現在)。
 また、地域全体におけるSDGs教育を通じた意識変容・行動変容を促すことを目的に、知事・市長・教育長にまとまった個数を提供し、地域内での教育機関が活用しやすい環境を整える取り組みも行っています。2022年9月にはKITが位置する野々市市で、2023年2月には沖縄県で贈呈式を開き「Beyond SDGs人生ゲーム」を無償提供しました。野々市市・沖縄県では、市内・県内の小中高校への配布や貸し出しが行われ、SDGs教育に活用されています。
 今後もKITは授業での活用事例の共有や、アンケート調査などを実施し、さらなる教育効果の向上策の検討を行います。
 2022年12月には、各企業のゲームの中で具体的な企業の取り組みを紹介していること、ゲームの仕組みなどが評価され、公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)より「JIDAデザインミュージアムセレクション賞」を受賞しました。

野々市市への
Beyond SDGs人生ゲームの寄贈
Beyond SDGs人生ゲーム
©1968, 2022 Hasbro.All Rights Reserved.
©TOMY

KITの学びで共にSDGsの達成に貢献しよう

 ほかにも、楽しみながら食品ロスの解決方法を学ぶ「シェア アンド サルベージ」、持続可能な社会を目指して様々な企業に投資する「ESGインベスターズ」などのゲーミフィケーション教材を開発しています。
 KITは、問題発見・解決型の授業「プロジェクトデザイン」や社会実装型研究を重視しています。この取り組みのさらなる発展にはSDGsという世界共通の目標を背景に改善していく必要があります。また、科学者・技術者をめざす学生にとって、SDGsの視点をもった発想は必要不可欠です。10年・20年後に必要なものを見据えた上で活動する力を養うために、例えば経営情報学科では「SDGs基礎」「SDGs実践」の科目を開講し、これまでとは違う価値観を身につけられる環境を用意しています。教育・地域経営・ビジネスの3つを重点領域としハブ機能を高めていくことで、日本中・世界中にSDGs教育を広め、SDGsの達成に貢献していきます。あなたも、ぜひその一員としてともに学び、活躍してみませんか。