事例紹介 桐蔭横浜大学
入学前からキャリアを見据え
4年間の過ごし方を考える機会
入学前の期間に7回のプログラムを実施
本学では総合型選抜、学校推薦型選抜で合格した生徒を対象に「入学前キャリア教育プログラム」を実施しています。期間は入学前の1月から3月末までとし、昨年度は計7回の講座を実施しました。講義ではまず自分とはどんな人間なのかを考えてもらい、そこから自分のライフキャリア、どういう自分になりたいかを「自分軸」「空間(社会)軸」を交えながら明確にしていきます。2回目以降は反転授業形式とし、先に課題動画を配信して家庭でワークシートを仕上げてもらい、講義ではそのシートをもとに議論を行います。講義時間は1回あたり2時間ですが、教員が話す時間は半分以下に抑え、残りの時間を参加者による対話や議論に割いています。最後の6、7回目はまとめの回とし、6回目でここまでの成果をポスターにまとめ、7回目は1日をかけて成果発表会を行います。成果発表会は公開講義としており、本学の教員も見学に訪れます。また受講生にとっては高校生活の集大成でもあるため、それぞれの高校の先生方にも参加をご案内しています。
5回目までの講義は、対面とリモートを組み合わせた「ハイフレックス型」を採用しています。感染症対策という意味合いもありますが、地方・遠方から入学予定の学生も参加しやすい仕組みにしています。
全講座を修了すると入学後の単位として認定
多くの大学では、キャリア教育を入学後の必修科目に組み込んでいます。しかし自分の将来やキャリアを考え、そこから逆算して大学4年間でやるべきことをじっくり考えるためには、入学前の時間をあてる方がより有効であると考えています。また、本プログラムは入学前に実施していますが、全講座を修了することで入学後の単位として認定される点も大きな特徴です。この制度を導入したことで、ほとんどの生徒が途中で脱落することなく修了するようになり、4月からの大学生活に向けて良いスタートを切ってくれています。またプログラムには全学部・学科の学生が参加しますから、グループワークを通して友人の幅も広がります。入学前の段階でともに学び、相談できる多くの仲間を獲得できることで、より充実した大学生活が送れると考えています。
これまでの受講生を見ていると、はじめの方こそとまどう姿がみられるものの、講義を通してコミュニケーションのスキルが自然と磨かれています。受講生へのアンケートでも「自分の考えをまとめて話すこと」「相手の話をしっかり聞いて質問すること」への課題意識が強く見て取れます。入学前からこうした経験を積むことは、学生本人の財産になるだけでなく、全学的にアクティブラーニングの推進に取り組んでいる本学にとっても、重要な成果・発見をもたらしてくれると期待しています。