本学は全国的にも数少ない工科系の公立大学です。まちづくりや地元産業の発展を目指し、多くの教員と学生が様々な取り組みに参加しています。地域に密着した取り組みは、「中小企業と積極的に協力する大学」全国一位として、紹介されました(日本政策金融公庫論集第44号)。例えば学生が中心となって「昭和村(群馬県)」と「群馬トヨペット(株)」と連携し、農産物の価値向上や人的交流の促進、雇用促進など「農村×都市」のつながり促進に取り組んでいます。
ほかにも「子ども×科学」「学生×地域」をつなげる取り組みなども行っています。地域に根差す公立大学として、地域の人々や産業界と連携を取り、様々な活動に力を注いでいます。
多様化する現代社会では、起こる問題も複雑化しています。現在ではそうした問題を解決できる「幅広い知識・俯瞰的視野を持つ人材」が求められています。本学では社会のニーズに応え、2022年度から、これまでの6学科を2学群へ再編します。2学群は「建築・都市・環境工学群」と「情報・生命工学群」で構成されます。さらに建築・都市・環境工学群は「建築都市プログラム」「土木・環境プログラム」「工学デザインプログラム」、情報・生命工学群は「情報システムプログラム」「医工学プログラム」「生物応用プログラム」にわかれており、学生は2年次に進む段階で、専門とするプログラムが決まります。6学科体制で培った専門性を生かしながら、学修の幅を広げる教育を実施します。
2学群への再編に伴い、4つの大きな変革を起こします。1つ目は「工学基礎教育の充実」です。すべての学生が各学群に入学後1年間かけて、「教養基礎科目」「工学基礎科目」「学群共通科目」を学びます。工学基礎科目では、工学教育の基本を、構成力育成のための「デザイン」と分析力育成のための「データ」と考え、デザイン分野と情報学分野に関する基礎的な科目を用意しています。具体的には、公共を意識しながら社会づくりができる技術者になるための「技術者倫理」、人々の暮らしとエネルギーの間の問題を検証して工学のあり方を考える「環境エネルギー概論」、地域の文化や産業を学ぶことで世界に飛躍できる人材を育成する「地域文化論」、工学におけるものづくりの意味と意義をあきらかにする「ものつくり概論」、未来創造に不可欠なデータへの理解と利活用力を身につける「データサイエンス概論」の5つの科目を学びます。
2つ目は「幅広い学修の提供」です。2年次に決まった専門プログラムの履修を基本としながら、希望に応じてほかのプログラムの科目履修も可能になります。自身の興味や目指す目標に合う科目を受講でき、幅広い知識を身につけることができます。
3つ目は「柔軟な教育組織」です。社会を取り巻く環境や学生のニーズは変化するもの。それに応じて、常に本学はプログラムの新設・廃止、規模の適正化を迅速かつ柔軟に図っていきます。
最後に「学部での夜間開講の廃止」です。総合デザイン工学科は夜間開講を実施していましたが、再編後の学部の教育はすべて昼間開講とします。
演習実習では、実験授業やワークショップ授業などがあり、実体験を通して学ぶことができます。例えば「土木・環境プログラム」では、材料実験として、コンクリートの主要材料であるセメントの性質を分析した後、鉄筋とコンクリートを用いて部材を製造し、載荷試験機で破壊します。製造・破壊を体感し、得られたデータは講義で学んだ理論により解析します。
1年次で基礎を学び、年次が進むにつれ応用を学び、研究室に所属することでさらに高度で実践的な研究に取り組むことができます。学群での幅広い工学学修とプログラムでの専門性の高い学修を進め、幅広い知識・俯瞰的視野を持つ専門技術者の養成を目指します。
また、小規模校のメリットを活かし少人数できめ細かな教育を行います。専門教育はもちろん基礎教育においても、一部の科目を除き少人数で実施します。