知の開拓者たちへ。
農業から宇宙まで
地球規模の課題に取り組もう。
SDGsの取組みで世界をリード
北海道大学は、2026年に創基150年を迎える歴史をもち、12の学部と21の研究科・学院等において、世界の課題解決に貢献する研究を推進し、国際社会の発展に寄与する人材を育成する国内最大規模の総合大学です。2023年には、大学の社会貢献の取組みをSDGsの枠組みを使い評価するTHE インパクトランキング2023で世界22位にランクインし、2020年から4年連続で国内1位を獲得しています。
本学は、創立以来、飢餓・食料問題を解決する食資源、陸域や海洋研究、健康的な生活を確保し、福祉を推進するヘルスサイエンス研究、DiversityなどSDGsの多くのテーマを取り上げてきました。SDGsは、本学が本来有している理念と合致しており、持続可能性への貢献は150年の伝統そのものと言えます。
国土の570分の1を占めるフィールド
本学の前身である「札幌農学校」は、北海道開発のための寒冷地における農業技術の開発と人材育成を趣旨として1876年に設立された、学士号を授与できるわが国最初の高等教育機関です。
札幌農学校一期生で、「北大育ての親」と称される佐藤昌介博士は、北海道帝国大学の初代総長を含め、約40年間に渡り校長や総長として、アメリカの州立大学の経営手法に習った運営を行い、教育・研究上の必要性から広大な農地や山林を附属農場や演習林として取得し、本学を総合帝国大学に発展させました。世界最大級の規模を誇る研究林(7万ha)を含む、国土の570分の1を本学が保有するのはこのためです。
一方で、札幌キャンパスは、北海道大学が設置される以前は、水や緑に恵まれた豊かな土地で、アイヌの方々が暮らす集落があり、日々の生活の糧を得ていました。この地に学ぶ私たちは、こうした歴史を学び、後世に繋ぎ、また、多様な植生と水系に希少種を育む豊かな生態環境を次の世代に引き継いでいかなければなりません。
生物多様性への貢献
現在、世界では2030年までの生物多様性に関する目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」への寄与が求められています。
本学の雨龍研究林は、長年にわたる調査研究や森林管理によって、原生的な自然生態系及び希少な動植物の生息・生育の場が保全されてきたことなどが評価され、2023年10月に、生物多様性の保全に貢献している区域として環境省から「自然共生サイト」に認定されました。また、札幌の市街地にある札幌キャンパス(177haのうち126ha)も「自然共生サイト」として2024年3月に認定されています。
北海道大学では、専門分野へと繋がる知識や方法論を学びながら、キャンパスライフを通して生物多様性保全や気候変動対策について考え、体験することができます。
世界の食料問題の解決に貢献するスマート農業
札幌農学校をはじまりとする北海道大学の特徴的な教育研究分野のひとつは食資源です。スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、人間の勘や経験によらず、データに基づいて高品質な農産物を安定的に生産する技術です。北海道大学では、自治体・企業・他大学との協働で、スマート農業の研究開発と人材育成、そして研究成果の社会実装を進めてきました。2023年8月には、スマート農業教育研究センターを開所し、世界最先端のスマート農業を実現し、北海道から日本全国、そして世界に展開して、世界の食料問題の解決に貢献することを目指しています。
超小型衛星で地球規模の課題解決に挑む
「フロンティア精神」や「実学の重視」は、北海道大学の基本理念のひとつです。北海道大学創成研究機構に設置されている宇宙ミッションセンターは、地球観測などを目的とする「ミッション」を立案し、機器開発からデータ解析までを包括する宇宙ソリューションを実現する教育と研究開発を行っています。リモートセンシング(遠隔探査)を使って、防災や環境問題、農林水産分野など地球規模の課題解決、宇宙空間というフロンティアにおける活動を通じてもたらされる経済・社会の変革を目指しています。
SDGsに関する課外活動
近年は企業や自治体と連携して気候変動やカーボンニュートラルをテーマとするワークショップなどが盛んに行われており、地域課題の解決に向けて学生がチームで提案を行っています。例えば、2023年3月に実施した、「未来志向ワークショップ~札幌の気候変動と脱炭素アクション~」では、実際にバイオマス発電所を見学し、自治体職員や企業からの参加者も加わり、「脱炭素で強靭なエネルギー利用を実現するためのアクション」と「札幌市の気候変動に関する広報力向上施策の提案」という課題にそれぞれ取り組みました。