私立 桐蔭横浜大学
学生の声を重視し、
学びを止めない教育の実践
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学生目線で考えて見えた教員連携の重要性
昨年のコロナ禍の中でも、本学は、順調に学修を進めることができました。その秘訣は、学部ごとに教員同士が連携してオンライン授業のカリキュラムを設計し、ICTも活用しながら学生の1日の学習と課題の管理を学生目線で行ったことにあります。各大学でオンライン授業が導入される中、相互連携がないまま個々の教員から課題が提示され、その量の多さに疲労を見せる学生は少なくありませんでした。これは「学業のドロップアウト」にもつながりかねない深刻な問題です。その解決策として、本学はこれまで互いの授業にあまり関与することがなかった教員同士の連携を重視し授業を進めることに注力しました。
例えば、医用工学部では、学生の履修登録状況と教員のオンライン授業の方法とを調査し、その結果を教員間で共有して調整を行いました。学生からの「課題提出管理が難しい」という声にもいち早く応え、学習管理システム上で課題を調整し、各自のカレンダーで課題の数や提出期限を手軽に管理できる環境を整えました。また、1日1回はリアルタイムでコミュニケーションをとることができる同期型の授業を行っています。これは、学生の生活リズムとメンタル面を支えるためにも重要なコミュニケーションの場であるという認識から、授業形態に組み入れました。こうした大学の取り組みに、学生からの反応も良く、効果を実感しています。 -
「ブレンド型」で実技授業にも対応
実技科目では対面形式の実技授業が欠かせません。本学では、学生の利便性・安全性を第一に考えた「ブレンド型」で授業を行いました。法学部の体育実技科目「剣道基礎Ⅰ・Ⅲ」もその一つです。
まず、授業全体の前半では、受講生各自がレポート動画を作成し、少人数のLINEグループ内で動画を共有して意見交換・フィードバックをもらいつつ、学習を総括する「協働学習」を行い、「反転授業」として各受講生に合わせた課題解決型の学びに展開させました。後半は、基礎的な技術を教員の解説・指導と、「自身の動作の撮影・分析」という可視化教育教材を活用して習得する形式で対面授業を行いました。特に「可視化」は、深い理解と改善すべき課題の明確化を促し、応用度の高い試合形式の攻防を通じて、習得した技術の成功・失敗体験を積む活用学習につながりました。その後、より探究したい技術や改善すべき課題を設定し、反復練習や意見交換などを通じた探究学習を行いました。受講生からは「レポート動画で自身の姿を客観視でき、その分学びが深まった」「マスク・フェイスシールドの着用や窓を開け換気を行うなど、状況を理解した上で自分自身を守るための対策を講じて授業に取り組めた」と満足度の高い感想が聞かれました。
本学はコロナ禍をきっかけに、あらためて教育機関としての使命をいかに果たすか、という課題に向き合ってきました。重要なのは「学生のためにすべきことは何か」を常に問うということ。今後も、教員同士の連携や学生とのコミュニケーションを第一に考え、進化を続けます。