数学編
1 過去問を俯瞰する
過去問を解いてももう一度出るわけではないのだから…という受験生の声を聞いたことがある。しかし、その大学の試験の傾向を知るためには、本番と同じ時間で解いてみることが重要である。ただ解くだけではなく、その全体を俯瞰して、傾向を押さえる。そのポイントを挙げておく。
【視点1】 どのようなレベルの問題構成になっているか
- Lv1
- 単純計算、ぜひとも得点したい基本レベル
- Lv2
- 合格するためにぜひとも得点したい標準レベル
- Lv3
- もっと上の力を測る、やや難しいレベル
- Lv4
- 時間内に解くのが難しいか、手のつかないレベル
この場合、合格に必要なのは、
を得点することである。言い換えると、(Lv1)、(Lv2)は失点しないようにして、(Lv3)に力を入れ、(Lv4)にあまり深入りをしない、ということである。大学によって、レベルの構成には差があるので、どの問題を失点しないようにして、どの問題に力点を置くのがよいかをシミュレーションしながら解いてみよう。
【視点2】 どのような出題傾向があるか
例えば、
●空欄補充の問題があり、配点が多いとか
●意外に易しい問題があるとか
●計算量は概して多いとか
●出題分野の特徴 (整数問題が出題されている、数学Ⅲの配点が多い)とか
●融合問題が出題されるとか
…などに着目して過去問を見てみよう。
2 問題を解くときの姿勢
合格するためには 誰もが解けなくてはならない基本問題を確実に解く、標準問題を丁寧に解く、 難しい問題には早く見切りをつける のである。この中でできるようでできないのは難しい問題に見切りをつけることである。
【姿勢1】 難しい問題にいたずらに時間を使わない
入試問題の大問は、1題20分から25分で解くようになっている。それに40分かけてしまえば、他の問題で不利になる。本番では限られた時間で解くのであるから、普段から時間配分に注意する。
【姿勢2】 解けなかったもので重要な問題は、解ききる
時間内でできなかった問題は、解答を見て納得するだけでなく自分の手でもう一度答案を書いてみる。解答を見てわかったつもりでも、いざ書き出してみるとあちらこちらでつまずくのが普通である。できた気にならないで自分の手で解ききることが重要である。
【姿勢3】 得点になるものは確実に手に入れる
- 1
- 問題文には、冒頭に大切な条件を書いていることがある。例えば「aは正の数とする」とあれば、それを忘れると致命的である。最初にある条件は見逃さないようにしよう。
- 2
- 段階的な設問があるとき、(1)ができなくても(2)に手がつくときがある。(2)は独自に採点するのだから、最初でつまずいても諦めずに次の設問にも目を通してみること。
【姿勢4】 単純な計算を軽視しない
単純な計算ミスは命取りになる。途中まで解いて部分点を取るとよく言われるが、大筋で正しい解答であっても初期で計算ミスがあれば点数にならない。再度計算を確かめるようにしたい。
3 これからの効果的な学習のために
- 合格する可能性を高めるために、これから何ができるか、何が足りないかを逆算する。何をすれば効果的かを考える。例えば、それがベクトルの習熟であるならば、残された時間の多くをベクトルの学習に割こう。
- 数学は暗記する部分も多い。量をこなすよりも典型的な問題を確実に習得しよう。
- 理系の場合は、数学Ⅲで差が開くことが多い。特に理系の高校3年生は数学Ⅲに力を入れよう。