物理編
1 基本事項の確認
一度覚えたはずの法則や公式も、しばらく使っていなければ忘れてしまうものだ。また、そのときは、深く考える暇もなく、目先の定期試験のために丸暗記して使ってきた公式もあるだろう。そのようなあやふやな知識で入試に臨むことは避けたい。
- 物理基礎および物理の教科書にざっと目を通し、特に気になる分野、弱点分野、よく理解できていない分野の説明を読み、例題をやってみよう。
- 原理・法則はその意味するところをしっかりイメージして、典型問題で使い方を確認しよう。その際、どのような条件の下で使えるかに十分注意しよう。
- 導出可能な公式は必ず導出できるようにしておこう。面倒に思うかもしれないが、公式の導出方法が大事な物理の考え方、目の付け所に繋がることがあり、応用力の源になる可能性がある。
2 繰り返し練習
この時期になって、問題集で新しい問題演習をするのはやめよう。
今までやってきた勉強の総復習をすべきである。
- 今までに自分の受けた模試の総復習をしよう。ただ単に問題と解説を眺めるのではなく、時間を決めて、試験のつもりでまず解いてみよう。前には解けなかった問題も今では解けるようになっているはずだ。それはただ単に解き方を覚えてしまったからだと思うかもしれないが、そうではない。解き方を覚えたということは、無意識のうちにその現象の特徴、立式のポイントなどが記憶され、その記憶が結局は解く力に変わっているのだ。
- 今までに使ってきた問題集の総復習をしよう。解けなかった問題、よく理解できなかった問題を中心にもう一度解いてみよう。
3 重要頻出テーマをチェックしよう
入試本番直前には、出題率の高い分野、テーマ、問題を重点的に勉強しておくことを薦める。
各大学の出題範囲もしっかり確認しておこう。
【力学】
①2物体の運動:運動量保存則と力学的エネルギー保存則を組み合わせて解く問題。それぞれの物体について運動方程式を立てることもできるようにしておこう。
②2物体の衝突:運動量保存則と反発係数を連立させて解く問題。
③鉛直面内円運動:円運動の運動方程式と力学的エネルギー保存則を組み合わせて解く問題。
④単振動:鉛直ばね振り子、斜面上のばね振り子。きちんと運動方程式を書けるようにしておこう。速度のグラフや座標のグラフを要求される場合も多い。
【電磁気】
①コンデンサー:極板移動、極板間への誘電体の挿入、抵抗やコイルと組み合わせた回路すなわち振動回路。特に、エネルギー保存則を正しく使えるようにしておきたい。
②電磁誘導:平行2本レール上を動く導体棒に生じる誘導起電力についての問題。レールが斜面になっている場合や回路に電池やコンデンサーが接続されている問題に注意しよう。エネルギー保存の観点から立式できるようにしておこう。
【波動】
①ドップラー効果:波源が動く場合、観測者が動く場合、そのいずれかが斜め方向に動く場合。
②光の干渉:ヤングの実験、回折格子、薄膜による干渉。
【熱】
①気体の状態変化:定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化。p-V図を使って熱効率を求める問題。
②2室気体の変化、混合:条件の把握が難しくなるので図を描き、圧力・体積・温度を書き込みながら考えていこう。
【原子】
①光電効果:光電子の最大運動エネルギーのグラフと光電流のグラフの特徴を確認しておこう。
②水素原子の構造:量子条件、振動数条件などを頭に入れておこう。
4 過去問研究
自分の受ける大学の過去問は必ずチェックしよう。
複数校を受験する場合はたいへんだが、きちんとやっておくべきである。
- 満点を目標にするのではなく、むしろ、捨てる問題をイメージしよう。多くの大学は7割程度正解すれば合格圏に入るので、過去に難問が出題されていたからといって、その問題を解けるようになろうなどとは考えないこと。
- 時間配分のイメージトレーニングをしておくべきだ。第1問の力学で何分、第2問の電磁気で何分・・・という具合に。
- 解答形式を確認しよう。答えのみの記述なのか、それとも途中の式、説明も書かなければいけないのか。途中の式、説明を要求される大学を受験するのであれば、それなりの心構えをしておかなければいけない。説明の言葉を簡潔に書く練習をして、きちんと見やすい式、文字を書く意識を持つことが重要になる。