2022年度 入試直前激励号!
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日本史編

1 基礎知識の精度を高める

この時期、過去問などに取り組んでいると、ついつい未知の事項にばかり気を取られがちだが、それは本末転倒というもの。特に知っているはずの用語でできなかった問題に注意したい。日本史入試では出題頻度の低い設問を「難問」という。これらは無視して、既習の事項のうち、忘れかけているもの、類似項目との区別が曖昧になっているものなどを洗い出し、基礎知識を問う設問で失点をしないように準備したい。そこで、基本知識を確認する問題集を短期間で仕上げるといった、シンプルな学習も有効。その際、記述式の出題形式を採る大学・学部の志望者は、歴史名辞を正確な漢字で書けるかどうかもチェックする。

2 合理的な傾向分析を行う

過去問の傾向分析は間違いなく有効。とかく、受験生の関心は「何」が出題されるかに向かいがちだが、「どう」出題されるのかにも注意。

出題形式の研究

すなわち史料問題の有無、出題されるとすればそれは頻出史料問題・未見史料問題のいずれなのか、あるいは正誤問題の有無、出題されるとすればその誤文の作られかたにどのような特徴があるのかなどを割り出してみる。

出題スタイルの特定

大問は時代別に割り振られるのか、それとも複数の時代にまたがるテーマ史のスタイルを採るのか、そして、出題される時代や出題分野に片寄りが見えないかなどを探ってみる。「何」が出るかの特定は難しくても、出題されていない範囲や分野を潰していくことは、実は存外に容易である(例えば、長年にわたって考古学範囲の出題実績がない、あるいは、文化史の出題が必ずあり、仏教史などの思想史からの出題が多いなどの分析が可能な大学・学部は多数存在する)。

難易度の把握

合格ラインを見定めることも忘れてはならない。当たり前のことだが、難問率が高ければ合格ラインは下がり、難問率が低ければ合格ラインは上がる。最後に、このような傾向分析を行うに際しての留意点を一言書き添えておく。入試問題は、大学の入試を統括するセクションが各学部分を一括して作成するケースがあるので、近年の他学部の入試問題も分析対象にすること。数年前のある学部の出題内容と類似する問題に、別の学部で出くわすことも少なくない。

3 有効な学習対策を講じる

的確な傾向分析ができれば、もはや試験日までに準備すべきことは明らか。

出題形式別の対策

頻出史料問題の割合が高いのなら、コンパクトな史料問題集などを用いて設問パタ-ンを再度確認。
未見史料問題が出題されているのなら、過去問などでその解法の訓練を行う。
正誤問題が多出するなら、正誤問題集や過去問などを解くことで訓練を積む。

出題スタイル別の対策

特定の時代・分野に出題実績の片寄りを見いだせればそこを重点的に復習すればいいし、テーマ史の出題が見られるなら、頻出の分野を特定した上で近接するテーマの対策を講じればよい(例えば、日中関係史の出題実績を確認したなら、日朝関係史や日露関係史をチェックする、農業・農村史の出題実績を確認したなら、商工業史や貨幣・金融史をチェックするなど)。

合格ラインのクリアが目標

合格ラインのクリアを目標とした学習に専念すること。入試の目標は満点の獲得ではなく、合格点の確保であることは、今更言うまでもなかろう。現実的な目標に向けて、効果的な学力の上積みをはかること。