史学は、文献や史料をもとに、さまざまな時代を立体的に再現する学問。歴史的な文献や史料を解読分析し、過去に起こった社会・文化的な人間の営みや社会構造を探究します。事実を多彩な切り口から検証し、研究成果を現代社会の状況理解や問題解決に生かすことで、社会に還元することも目標の一つと言えます。日本史、東洋史、西洋史に大別されています。
地理学は、地形・気候・風土・産業・交通などのさまざまな条件が人間の暮らしや社会に与える影響を考察し、現在・未来に役立てようとする学問。人口や生活様式などから地域の特色を探る「人文地理」、地形や気候などの自然条件が人間の暮らしに与える影響を探る「自然地理」、特定の地域の産業や文化を研究する「地誌」などの分野があります。環境問題や防災計画などにアプローチする実践的な研究も行われています。
競争率は高くなりますが、専門知識を生かせる博物館などの学芸員や地歴の教員になるには有利な学問です。マスコミ・出版関係や公務員などでも専門知識を生かせます。また、旅行業や企業の海外進出を助けるコンサルタントや気象予報士などになる人もいます。
東北大学 文学部 人文社会学科 准教授 籠橋 俊光 先生
日本史という学問分野は「古代」「中世」「近世」「近現代」と、大きく4つの年代に分けることができ、これらの歴史を学ぶには、さまざまな史料を分析することが必要です。文字のない時代は遺跡や遺物などから歴史を探り、漢字が伝来してからの史実は、さまざまな文献からも知ることができます。
江戸時代は、現代のような公的教育はなかったものの識字率が高く、手紙、あいさつ、問い合わせや日記など、文書でやり取りが行われていました。「古文書」も膨大に残っており、それらを読み解くことで史実に近づくことができるのです。1つの事実を解明するには、たくさんの裏付けが必要なので、文書=情報量が多い江戸時代は歴史を学ぶ確かな手応えを感じることができる時代と言えます。
身分社会であった江戸時代、その様子は古文書のなかにも見ることができます。例えば、徳川将軍が使用したのは厚みのある大高檀紙(おおたかだんし)という高級和紙で、大きさも見た目も手触りもほかの紙とは明らかに違っていました。一方、庶民の使った文書では、相手の身分や立場に応じて、相手を敬う表現が使い分けられていました。たった一枚の紙の違い、一文字の言葉遣いの違いから、数多くの歴史的事実を解明していくことができるのです。
今、高校の教科書に載っていることが、すべて不変の事実とは限りません。以前の研究に対して新たな見解が出されたり、新たな史料が発見されたりして、後に修正が加えられることはよくあることで、そうやって歴史はどんどん変わっていくのです。
江戸時代の古文書として見つかっているのは氷山の一角で、まだ見つかっていないものもたくさんあるはずです。誰も読んだことのない当時の文書を、あなたが最初に読むことになる可能性も十分にあります。先入観にとらわれず、1枚の古文書が語ってくれるたくさんの情報を読み解くことで、新しい日本史を生み出していくことができるのです。
茨城大学 理学部 理学科 教授 岡田 誠 先生
地層とは、そこに残された化石や岩石を分析することにより、地球の過去の姿を知ることができる貴重な資料です。地層を調べるには、海底をボーリングして堆積物を円柱状に取り出すという方法が一般的ですが、地上にも、かつての海底が隆起して地層が見える場所があります。
千葉県市原(いちはら)市には、約77万年前の地層が観察できる崖面があります。これがその時代の地層であると世界的に認められれば、この地がGSSP(国際標準模式地)として登録され、約77万年前~12万6千年前の地質時代が「チバニアン」と名付けられる可能性があります。
77万年より前は、地球の地磁気が現在とは逆だったことがわかっています。現在の地球は、S極が北極、N極が南極(それゆえ磁石のN極が北極を、S極が南極を指す)という地磁気を持っていますが、地球の歴史の中では、何百回もN極とS極が入れ替わってきました。地磁気の逆転の原因はまだわかっていませんが、地球中心核の流体鉄の流れの変化に関係していると考えられています。原因究明には地層中の磁鉄鉱が記録した磁気を測定する必要があるのですが、千葉の地層に、この地磁気の逆転を示す痕跡がはっきりと残されていたのです。
地上で見られる地層は、隆起や沈降によって断片的になっていることが多いのですが、海底の地層よりも精度の高い分析ができます。また大洋の真ん中よりも堆積物が積もりやすいので、同じ年数でもより厚い地層ができています。例えば千葉の地層では、平均して1000年で2m堆積しています。つまり、50年で10cmですから、気候変動などの情報も、人間の生活感覚に近いレベルで得られるのです。
77万年前という時代は、植生などの生物相が現在の地球とよく似ていました。それゆえ千葉の地層を研究することが、現在や未来の気候変動予測に役立つのではないかと期待されています。
京都女子大学 発達教育学部 教育学科 教授 松岡 靖 先生
社会科は小学校から中学・高校と進むにつれ歴史、地理、公民などに分かれ、ほとんどが暗記科目のようにとらえられていますが、本来の社会科教育の目的は、知識量を増やすことではありません。地球規模で広く社会を見渡す視野をもち、時代とともに変化する社会環境や新たに発生する社会的課題に対応できる「社会的な見方・考え方」を育成するための教科です。
近年の学習指導要領では、「持続可能な開発のための教育(ESD)」を基盤とする理念が明確に位置づけられています。ESDの目標は、環境、エネルギー、防災、世界遺産や地域の文化財、生物や気候変動など、関連する多様な分野を「持続性」の観点からとらえ直し、より良い社会を次の世代につなげるための資質や能力、そして持続可能な社会づくりに参画しようとする価値観や態度を育てることです。
例えば、ユネスコの世界文化遺産を永く未来へつないでいくにはどうしたらいいでしょうか。単に対象の歴史的価値を知るだけでなく、文化遺産が長い間維持されてきた社会的背景や地域との関係性、交通・観光などの要素にも目を向け、「持続性」の観点から考えることが必要です。
島全体が修道院であるフランスのモンサンミッセルは、潮の満ち引きで島へ渡る道筋が現れる世界文化遺産です。中世から巡礼地として多くの人々を集め、19世紀には堤防道路が造られて陸続きになりました。しかし、それが原因で地形の変化から景観が失われましたが、現在、再び海に浮かぶ景観を取り戻しています。また、19世紀から続く宿泊施設や名物オムレツなどのサービスが大きな観光資源でもあります。
これらの例のように、「文化遺産を持続する」というのは、景観・交通・サービスといった多面的な視点から、時代に応じた形で維持していくことです。既成概念に縛られず、地球上の価値あるさまざまな遺産を将来の世代につなげていく視点の育成が、これからの社会科教育の重要なキーワードです。
九州大学 共創学部 共創学科 教授 溝口 孝司 先生
過去の遺物や痕跡から当時の暮らしぶりを復元することだけが、考古学の役割ではありません。人間は、社会や自然環境の変化に適応して、暮らしを変えながら生きてきました。その変化にはあるパターンがあります。それを明らかにするのも、考古学の役割です。もし同じような社会や自然環境が未来に出現すれば、それにどのように適応すればよいか、過去の人間のやり方から学ぶことができます。加えて考古学は、人々の対応の意味やそれに関わる世界観、また人々の感情も明らかにする術を発展させてきました。
例えば、紀元前2000年頃から現在のメキシコを中心に誕生したマヤ文明は、干ばつによって滅びたといわれてきました。しかし、詳細な研究の進展を通じて、都市ネットワークの衰退後も人口はそれほど減っていなかったことが明らかになりました。マヤの人々は、環境変化に適応しつつ、高度な身分社会から比較的単純で平等な社会組織へと移行することで、社会として生き延びたことがわかってきたのです。
環境の激変があっても、したたかに生き方を変え社会として生き延びることが人間にできるなら、仮に現在の利便性の高い都市文明が危機にひんしても、これに立ち向かうことができるでしょう。
文明、特に科学技術は右肩上がりで進歩していると考えがちですが、長い歴史をみると、それは短期間の現象で、実際は波のように変化しています。また、世界各地の過去の社会は想像以上に多種多様であり、そこには、西欧文明の拡張がなければ展開していたかもしれない、産業化・都市化以外のさまざまな可能性、潜在力があったこともわかってきました。このように考えると、古い時代だけが考古学の対象ではありません。例えば、2011年の東日本大震災に対して人間がどう対応したかを記録することも、考古学の対象です。文明の持続可能性を維持していくという命題に対して、さまざまな可能性を提示することが考古学の役割と言えます。
私はGIS(地理情報システム)を用いた地理学を大学で学びたいと思っており、筑波大学はそれを利用するための設備や、教育制度が整っています。
大学での地理の学びについて調べていたところ、歴史地理という分野があることを知り学びたいと思った。筑波大学ではこの歴史地理を専攻して学べるので、志望した。
私の行く史学科はコース選択も充実していて、史籍講読という授業もあるので志望しました。
文学部史学科で歴史の専門的知識と幅広い教養を身に付けられる教育環境で、将来地理歴史の高校教諭になるため帝京大学で学習したいと考え帝京大学に決めました
研究テーマに沿って自分でカリキュラムを組むことができ、文理問わず様々な学問を学ぶことができるから。
文理関係なく自分の学びたいことを学ぶことが出来る学部の特色に魅力を感じたから。
歴史について詳しく学べるから
九州で唯一文化財について科学的に勉強できると言うところに惹かれたから。
東北大学 文学部
文学部に入学後、幅広い系統の学問を選択できる
多くの文学部系コースがあり、文化比較という自分のやりたいことに近い学科があること。