心理学は、心の動きを科学的に検証し、人間心理を解き明かそうとする学問。学習や記憶など脳の情報処理のメカニズムなどを研究する基礎心理学、乳幼児から心身がどのように発達するかを研究する発達心理学、集団の中で人間がどのように行動するかを研究する社会心理学、心に問題がある人の診断・治療・予防や心の健康維持を研究する臨床心理学などがあります。実験や調査で科学的データを集め、客観的な事実をもとに分析・研究を行います。
人はなぜ、そのような行動をするのか。人間のさまざまな行動を科学的に研究し、その法則性を解明しようとする学問。行動科学では行動の観察や実験などによって、コミュニケーションや意思決定メカニズムなどに焦点を当てて学びます。人間の行動特性を知れば、社会問題の解決やビジネスに生かすことができます。
公認心理師や臨床心理士、認定心理士、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を取得して心理専門職や福祉関連職・教育関連職として活躍するほか、心理学や行動科学の知識を持った人材として、公務員や一般企業への就職など、進路は多岐にわたります。
札幌学院大学 心理学部 臨床心理学科 教授 大宮 秀淑 先生
テレビや雑誌でもよくみかける「脳トレ」は、「脳力トレーニング」の意味で、本来は認知機能を改善し、記憶力や集中力などを鍛えるトレーニングのことです。主に事故や病気で脳にダメージを受けた人や精神疾患の患者さんを対象に実施されています。
人間の脳には、部位によってそれぞれ役割があります。その中でも前頭葉は、蓄積した情報や記憶を呼び起こす実行機能をつかさどり、いわば「脳の司令塔」の役割を果たしています。前頭葉を損傷したり、機能が衰えたりすると、頭の中に情報はあっても、それをうまく引き出せなかったり、言葉でうまく説明ができなくなったりします。創造性豊かに思考し、言葉を使って表現するという人間ならではの能力を発揮できるのは、この前頭葉のおかげなのです。
「FEP(前頭葉・実行機能プログラム)」は、前頭葉の働きが低下した人たちに特化した脳トレプログラムです。もともとは統合失調症の患者さんを対象にした認知機能改善療法のひとつとして、オーストラリアで開発されたものです。ほかのプログラムとの大きな違いは「言語化」を重視した点で、言葉にして表現することを繰り返し、前頭葉を刺激していきます。
日本語は世界でもまれに見る複雑な言語で、表現が多岐にわたり難しいといわれています。そこで英語用に開発されたFEPを日本語向けに翻訳・分析し、より日本人に適したプログラムとして、臨床実験も行われつつ、FEPの効果の研究が進んでいます。
前頭葉の障がいは、さまざまな症状を引き起こします。やる気や集中力の低下、会話機能の衰え、計画が立てられない、危機管理ができない、柔軟性が減少する、などがあげられます。FEPは現在、精神疾患の治療によく用いられていますが、脳を活性化させる「脳トレ」として、高齢患者さんのリハビリや、小・中・高校生など成長期の学習プログラムなどに、幅広い応用が期待されています。
東北大学 文学部 准教授 荒井 崇史 先生
人は他者に対して、暴力や攻撃といった行動を起こすことがあります。中には相手を操作するための手段として意図的に攻撃する人もいますが、多くの場合、暴力をふるってしまう背景には、「強い怒りや恨み」が潜んでいます。なんらかのきっかけに反応し、「ついカーッとなって」衝動的に行動してしまうのです。きっかけがなければ攻撃することはなかったかもしれませんし、「そんなことをする人だとは思わなかった」という声もよく聞きます。犯罪者になる可能性は誰にでもある、ということです。
怒りの感情から相手を殴りたいと思ったとき、人間には「手をあげてはいけない」と修正する能力がある、という仮説があります。これは個人の経験や社会環境から学習した結果が影響していると考えられています。たとえ修正能力が低くても、暴力という行動に移さない場合もあります。自分にとって大切な人を悲しませたくないという感情など、人とのしっかりとした絆(きずな)がストッパーになっているという、社会的絆理論の考え方です。
また、社会問題化している万引きは、店の経営に支障をきたす場合も多く、万引きをさせない環境づくりに地域で取り組む自治体も増えています。一人ひとりの自制心だけでは犯罪を止めるのが難しいことも多く、こうした社会的抑止力の重要性が指摘されています。
犯罪を完全になくすことは難しいということを前提に、犯罪に巻き込まれるリスクを下げる行動を取ることも大切です。特殊詐欺にひっかからないための効果的な情報発信の方法や、イヤホンをつけて夜道を歩くことを止めるための効果的な注意喚起の仕方など、犯罪心理学や社会心理学の観点からの、事業者や行政、警察などと連携した取り組みも進んでいます。
こうした情報を一番届けたいのは、自分は絶対に犯罪に巻き込まれないと思っている人です。しかし、こういう人ほど情報が届かないという傾向もあり、その解消も今後の大きな課題です。
同志社大学 心理学部 心理学科 教授 石川 信一 先生
不安は誰にでもある当たり前の感情です。その感情がほかの人たちと比べてとても強かったり、なかなか晴れなかったりして、日常の生活に支障をきたす場合、何らかの支援が必要です。支援が必要な不安のことを「不安症」と呼んでいます。そして、不安症の支援には「認知行動療法」が有効です。
人間の感情には形がありません。不安も手で捕まえることはできません。しかし主観的には確かに存在しています。認知行動療法では、困っていることに対して、「形を与える」努力をします。例えば、小さなミスをとても大きなものに感じてしまう場合、その傾向を児童では「おじゃまむし」などと名づけるのです。そして、子どもが心の中に飼っている「おじゃまむし」の声を小さくするにはどうしたらいいかと一緒に考えていきます。欧米と日本で比較してみると、こういったやり取りでの文化の違いがあることがわかります。欧米では正確な感情語で相手に伝えることが多いのですが、日本ではあいまいな表現を使うことがあります。そうした傾向をふまえ、子どもにとってピッタリくる言葉を使いながら支援していくことが大事なのです。
子どもが困難を乗り越えるうえで大切なこと、それは現実場面でのチャレンジです。鉄棒の逆上がりと同じように、実際の練習とその積み重ねは何よりも子どもの力になります。心理師は、不安な場面でのチャレンジを子どもと一緒に考えて、階段を上るようにスモールステップで取り組んでいきます。認知行動療法で子どもが自分の悩みを克服できると、まるでその悩みが最初からなかったかのようにふるまうことがあります。言い換えると、それはその子の考え方が変わった証拠です。ここまでくれば、その子は自分からいろいろなことにチャレンジできるようになるでしょう。認知行動療法では、子どもから感謝の言葉をもらうことはめざしません。子どもの自立性を支援することが最終的な目標になります。
臨床心理士になるためのコースがある。
社会福祉士の資格取得のための授業があり、心理学についても学ぶことのできる学科があるから。
私は心理学や行動科学に興味があり、東北大学の一年次で幅広く学習してから二年次で専攻に移る点が興味のある分野以外にも様々な教育が受けられて知見を深められると感じ興味をひかれた。
文学部に入学後、幅広い系統の学問を選択できる
興味のある心理学を幅広く学べるカリキュラムに惹かれたから。
心理学と芸術学の双方を同時に学べるから。
公認心理師の為のカリキュラムがあるから
心理学を勉強したかったことと、「女子教育」に力をいれていたこと。
札幌学院大学 心理学部
公認心理師の資格が取れるのと心理学部に力を入れており様々な専門の心理の先生方がいて、自分の学びたい心理学の部門を学ぶことが出来ると思ったので札幌学院大学に決めました。
大学院と連携して学べる