15政治学

政治とは、公共的な問題の利害調整や意思決定の過程のことで、社会の秩序や枠組み、制度をつくり、問題を解決しながら維持していくためのものです。政治学が扱う領域は、政治の動向、地方自治、公共政策、選挙や住民投票、国際関係などと幅広く、国家や権力、政治行動や政治過程など政治を行う概念や作用を研究することが基本となります。
政治制度などの歴史を学ぶ「政治史」、政治思想の流れを研究する「政治思想史」、さらに、外交や国際関係を扱う「国際政治学」や、ある国や地域の政治制度を研究・比較する「地域研究・比較政治学」という分野もあります。また、「行政学」の分野では、国や地方自治体のあり方やその政策の立案、実施などについて研究していきます。法律や社会学、経済学など、関連する学問についても幅広く学ぶのが一般的です。
公務員になる人や、金融・保険業、流通・サービス業、各種製造業など、進路は多岐にわたります。政策面への理解が必要な報道機関や新聞社では、政治学を専攻していた人が比較的多く活躍しています。社会経験を経た後、政治に携わる職業をめざす人もいます。
関西学院大学 法学部 政治学科 教授 北山 俊哉 先生
政治は、国民にとって大事なことが決まる場所です。なぜなら、国民の「安心・安全・自由・平等(公平)・効率性」を実現するための政策や法律が決まるところだからです。しかし、安全を優先し過ぎると自由が奪われ、自由を優先し過ぎると公平さが失われます。
例えば、一部の自治体で、中学生以下が自転車に乗るときにヘルメット着用を義務づける条例が施行されています。これで子どもの安全性は高まりますが、スタイルの自由は部分的に奪われたと言えます。このように政治には、「あちらを立てれば、こちらが立たない」というトレードオフの状態がつきものなのです。
政治では「パターナリズム(paternalism)」が問題視されます。パターナリズムとは、「保護者が子を思うように、強い立場の者が弱い立場の者の利益のためだとして、弱い立場側の意思とは関係なく、干渉や支援を行うこと」です。日本では飲酒や喫煙に法律上の年齢制限があります。海外には、保護者が決めることとして法律上の制約がない国もあります。監視カメラの設置についても、国によってプライバシー保護と安全性の優先順位が違います。このように国や地域によって考え方が異なるのは、政治によって法律が決定されているからです。
政治について、興味をもてない、怒りを感じるなど、受け止め方はさまざまでしょう。ただ、日本において確かなのは、政治は国民が選挙で選んだ人が行うということです。政治におけるアジェンダ(議題)には、世論調査やマスメディアなどで挙がる「公衆アジェンダ」、政府や官僚が提案する「政策アジェンダ」などがあります。政治学では、アジェンダの選択から政策が決定する流れ、選挙に行く人・行かない人の行動などについて、研究されています。政治学のテーマは、身近なものからグローバルなものまで多彩であり、自分なりに見つけて研究する面白さがあるのです。
広島修道大学 国際コミュニティ学部 地域行政学科 教授 篠原 新 先生
投票に行かない若者が増えています。支持政党もなく、無党派層がほとんどです。なぜでしょうか? 高度成長期の日本は、政策によって国民の生活レベルが上がっていきました。政治に参加することは、「当然のこと」だったのです。
しかし、現在は低成長時代で、給与も増えません。年金もきちんともらえるかどうかわからず、政治の成果が見えないのです。しかも、変化を期待しても高齢者が多く、若い人の意見は反映しにくい状況にあります。若い人が政治に興味がなくなり、自分の身を守る方向に走るのはある意味当然なのかもしれません。
ただ、政治はすぐに成果が出るわけではありません。時間がかかります。これは、世の中にはいろいろな考え方の人がいるからです。現状を守りたい保守的な考えの人もいれば、変革を望む人もいます。例えば、1994年に衆議院の選挙制度が中選挙区制から現在の小選挙区比例代表並立制に変わりました。これは2大政党制をめざす制度です。野党であった民主党が政権を取った時期もありましたが、当時の目標とされたような2大政党制はいまだに実現していません。急激に変化しないことが民主政治の特色でもあるのです。
では、政治家はよくなるための努力をしているのでしょうか。政治家に聞けば「もちろん!」と言うでしょう。しかし、若い人はその言葉に納得するほど政治家を知っているのでしょうか? 政治家が不祥事を起こすとワイドショーのネタになります。マスコミに同調して政治家を批判するだけでは政治家は成長しません。
よりよい政治を行うためには、市民が政治家を育てる必要があります。それは、政治家を長い目で見守り、お互い勉強することで実現します。現代の政治課題は、「保守か革新か」という簡単なものではありません。政治家に任せておくだけでは、政治がよくなるわけはないのです。
徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 准教授 小田切 康彦 先生
近年、地方自治体の公共政策に市民が参加する、「市民参加」が進んでいます。例えば、行政の制度づくりに個々の市民が参加したり、さまざまな公共サービスの提供にNPO(Non-Profit Organization)や住民組織が関わったりしています。地方分権、地方自治などの動きが進む中で、自治体だけで公共的な問題を解決することは難しくなっており、市民参加のあり方が重要になっているのです。
公共政策への市民参加によって、多くのメリットが生まれます。例えば、地域の強みや問題点を日ごろから肌で感じている市民がその声を直接行政へ届けることで、より市民のニーズを反映した政策をつくることができます。また、法律や制度に縛られない柔軟なNPOや住民組織が公共サービスの担い手となることで、よりきめ細かく的確なサービスを提供できるようになります。
しかし一方で、そうした市民の活動の多くは、ボランティアなど個々の人々の善意によって支えられています。そのため、人手や資金が不足して活動が長続きしないことや、さまざまな意見や考え方があり、合意できないことなどがよく問題となります。公共政策に参加する市民としての組織力が問われているのです。
また、市民参加型の公共政策を考えるうえでは、市民の代表である自治体議会のあり方も問題になります。本来、議会には、市民全体の代表として自治体の意思決定を行ったり、行政をチェックしたりする役割があります。しかし、これまで、市民のニーズをきちんと政策に反映できていないことや、そうした政策をつくる能力が不足していることなど、数々の問題が指摘されてきました。現在、全国で議会を改革していこうとする動きが進んでいます。市民、行政、議会を含め、地域を担う多様な主体の協働・連携によって、よりよい公共政策をつくり実施していくことが望まれています。
長崎大学 多文化社会学部 多文化社会学科 准教授 コンペル ラドミール 先生
米軍基地は沖縄本島の2割近くの面積を占めます。これは東京の山手線の内側の面積の4倍くらいに相当します。沖縄の基地問題はテレビや新聞の紙面を賑わせ、安全保障上、米軍基地は必要という説明がなされてきましたが、戦前の沖縄は軍隊とはほぼ無縁でした。基地の歴史的な起源を探ると、沖縄戦にたどり着きます。戦争準備として、日本軍が建設した沖縄基地が終戦後に米軍のものとなり、戦後体制の「要石」とされたのです。日本にとって沖縄の基地問題とは、今日まで継続する沖縄戦の記憶そのものと言えるでしょう。
メディアが沖縄を取り上げる際、日本の境界をめぐる議論とも関連づけられることがあります。歴史的にも、また現在も国と国との「境界線」を引く場合、さまざまな紛争が生じています。国境問題を平和的に解決する手段としてまず国際法があります。国境の起源や帰属を歴史的にさかのぼることも必要ですが、やはり終戦後の取り決めが重要な根拠となります。サンフランシスコ講和条約によって解決されたと考えるかもしれませんが、この講話条約は「パンドラの箱」だったのです。「独立」を引き換えに、日本は沖縄を切り離したのです。基地問題を議論するにあたり、日本が沖縄を切り離したという事実も忘れてはならないでしょう。
「沖縄の問題だから、沖縄で議論すればいい」、「政府が金で解決すればよい」などの意見に惑わされてはいけません。また、テレビや新聞、インターネットなどから得られる情報がすべてではなく、誤った事実が伝えられることもあります。
沖縄の人口は日本全体の100分の1程度で、確かに「少数派」です。民主主義的な政治体制であっても、少数派の意見を政策に反映させることは難しく、沖縄の住民の声が国会には届かないのが現状です。沖縄問題の解決への糸口は、沖縄を「要塞」や「不動産」としてとらえることをやめることであり、私たち自身が「島んちゅう」になることです。
国連外交プログラムや、国連ユースボランティアなど私にとって最適の環境、カリキュラムだと思ったからです。
国際政治についての教育がしっかりしている。外国語教育も盛んである。
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地域行政学と政策学が学べる数少ない学部があるから。
英語も学べ国際関係(異文化、国際政治)についても学べるので決めました。
全国的に見て数が少ない総合科学部(社会総合科学科)があるから。
1年次では豊富な学科の中から好きな学科を選択することができ幅広い知識を得ることができる
国際的な環境で国際的分野の勉強もできるので、私にとって大変魅力的であるので、進学を決めました。
1年次には、寮で、留学生とルームシェアで国際交流ができる。
専修大学 法学部
法学部だけのキャンパスで法律についてしっかり勉強できる。
2年次からコースに分かれ、さらに学びたいことが具体的にしぼれるので。