「ものづくり」の基盤を支えている重要な学問領域で、ものをつくるための技術やその原理・方法論を系統立てて研究し、機械や生産のためのシステムを構築するためのテクノロジーを学ぶ学問です。材料の強度や特性、新素材の開発などを行う「材料系」、エンジンや発電プラントを研究する「熱・流体系」、部品の設計や製作・加工について学ぶ「設計・製作系」、機械の制御技術などを開発する「計測・制御系」の4つの分野に大別されます。
研究対象は自動車やロボット、工作機械、精密医療機器、人工臓器、マイクロマシンなど、そのスケール・種類ともに多彩なことと、異分野の研究と連携が進んでいることが特徴です。研究成果はものづくりだけでなく、医療福祉、環境問題、エネルギー分野などで幅広く活用されています。
自動車や造船、家電といった機械関連、重工業などが挙げられますが、機械工学の知識は各方面の生産技術で生かせるため、食品・繊維など多様な製造業でも活躍できます。研究開発職としての就職を希望し、大学院へ進学する人もいます。
群馬大学 次世代モビリティ社会実装センター 准教授 小木津 武樹 先生
自動運転が実装された自動車が公道を走る時代が間近に迫っています。自動運転とは、GPS(人工衛星を利用した位置情報計測システム)で自分の位置を把握して、レーザーセンサーで障害物などを検知しながらデジタル地図のデータベースと照らし合わせて走るシステムです。自動車メーカーやIT企業などでは、人間の運転をアシストする「運転支援システム」の延長線上にAI(人工知能)を導入して「あらゆる場所」を走らせることができる自家用車のイメージで開発が進められています。
一方で、あえて「限定された地域」の中でしか走れない代わりに、仕組みを単純化し、信頼性、安全性を高め、より早期に完全自動運転を実用化しようとする研究もあります。そのために必要な技術はもちろん、サービスの開発までを視野に入れて研究が進んでいます。
自動運転のニーズがどこにあるのかといえば、例えば過疎地域での、あるいは高齢者などの移動手段です。そのため、自動運転が最初に実用化されるのは、例えば路線バスのような地域内の公共交通機関になるでしょう。その場合どのようにして乗客を見つけて乗せるのか、車内の安全の確保や運賃の徴収をどうするのかということが問題となります。これらを整えなければ、無人で動く自動運転のサービスにはつながりません。
例えば道路信号は、時間帯や天候、車の向きにより見え方はさまざまです。汎用的な自動運転車は、どんな条件であろうと見落としがあってはならず、技術的なハードルは高いのです。一方、駅と病院を結ぶ固定ルートだとしたら信号機はそれほど多くないでしょうから、それを認識させるのは比較的簡単です。
今後は、物流ターミナル間の輸送トラックや高速路線バスなど、まず特定エリア、地域を走れるようになって、その後タクシーや自家用車にも広げていくという流れが最も現実的と言えるでしょう。
金沢大学 理工学域 フロンティア工学類 准教授 辻 徳生 先生
工場のベルトコンベアの前に並ぶ産業用ロボットは、決まった製品に対して、決まった動作を行います。もし形や大きさの異なる物が流れてきたら、対応できません。しかし、ロボットにルールや仕組みを覚えさせる「機械学習」により、ロボットの対応範囲が広がり、「考えて動く」という、より人間に近い対応ができるようになります。産業はもちろん、介護、家事の場における応用も可能です。
機械学習ではまず、物の形や大きさを数値にして、ロボットに搭載されるソフトに覚えさせます。「ロボットハンドでペットボトルをつかむ」という動作を例にとると、ペットボトルは商品によって形が異なり、大きさも200~2000mlと幅があるため、これらの形や大きさを数値化し、「このときにはこうつかむ」という計算式をソフトに覚えさせます。
すると機械学習によって、未知の形や大きさのペットボトルに対しても、適切な場所を、適切な強さで、落とさないようにつかめるようになるのです。機械学習を経たロボットは、ドライバーでネジを必要なだけ締める、種類の異なる衣服をきれいにたたむといったことも可能になります。
私たちが何気なく行っている動作は、さまざまな要素によって成り立っています。キッチンの上の卵を取るときも、卵との距離を目測して、手のひらを広げて手を伸ばし、指を使ってつぶれない強さで、持ち上げても落ちない場所をつかみます。そして同じ手で、卵を割ったり殻をゴミ箱に入れたりします。ロボットに人間と同じ動作をさせるための課題はたくさんありますが、距離を測るセンサーの正確性、自ら動作を修正するフィードバック機能の向上などにより、少しずつ人間の動作に近づいています。ハード面や深層学習のようなソフト面での進化によって、ロボットには今後さらに多くの分野で、より大きな貢献が期待されています。
金沢工業大学 工学部 機械工学科 ※2025年4月開設 教授 森本 喜隆 先生
工作機械とはその名の通り、ものをつくるための機械です。設計者は「CAD」を使ってコンピュータ上で設計し、製造者はそのデータを「CAM」を通して工作機械に伝えます。つまり工作機械には、設計者の意図を正しく受け取り、忠実に高精度で製作することが求められます。近年はこのことを機械工学と電子工学を合わせて「メカトロニクス」という言い方もします。ただし最新の機械であっても思い通りに動くわけではありません。作業のスピードや効率性の追求も大切ですが、実は「機械を思った通りに動かす」ことも追求され続けている課題なのです。
実は、機械は案外言うことを聞いてくれません。現実の物質を扱うわけですから、そこには摩擦、磁力、温度、また材料自体の伸び縮みなどさまざま要素がからみ、意外なところで誤差が生じます。例えば、スマートフォンに使われるレンズのような精密部品をつくるには、10万分の1ミリ以下の誤差が要求されます。しかし機械にこれをつくらせるには、実際には100万分の1ミリ以下の誤差くらいで想定しなければ部品製作時の誤差を吸収できずに失敗するのです。
かつては「ものづくり」で世界最先端を走った日本ですが、最近は白物家電や携帯電話などは中国や韓国に追い抜かれてしまいました。今も日本が優位にあるとされるのは工作機械と自動車くらいでしょう。ではなぜ、日本の工作機械が優秀なのでしょうか。それが「いかに思い通りに動かせるか」という部分です。機械はきちんと人の手を入れると途端に良い動きをするものなのです。例えば機械に、ある鋼材を90度に削れと指示します。しかし機械が部品を正確に90度に削ってくれる保証はありません。1つひとつの部品の動きを厳しくチェックし、誤差を調整して失敗となる要因を吸収する、いわば「機械を教育する」技術を持つ点で、日本メーカーには一日の長があるのです。
京都工芸繊維大学 工芸科学部 機械工学課程 教授 増田 新 先生
身の回りを見渡すと、いろいろな種類の「振動」があることに気づくでしょう。例えば車が走るときや機械が動くときなど、身近な場面で振動が発生しています。「機械力学」という学問では、こうした振動に関するさまざまな研究を行っています。その一つが振動を抑えるための研究です。電車や車などの高速化を追求したり、加工の微細化を追求したりすると、たいていは余計な振動の存在がボトルネックになってきます。そのほかにも、工事現場などの不快な振動は少ないほどいいでしょう。これらの振動を抑え、より性能の高い製品を作る取り組みが行われています。
一方で、振動を抑えるのではなく、むしろ利用するための研究もあります。例えば振動は機械などの状態を診断する際に活用できます。機械そのものの振動の状態を観察したり、機械に振動を与えて反応を見たりすることで、外部からはわからない内部の故障を調べます。
また10年ほど前から、振動のエネルギーで電気を作り出す「振動発電」というものに注目が集まるようになりました。振動発電では、機械などに小さいワイヤレスセンサーを取りつけ、センサーに伝わった振動から電気を作り出します。この技術を使えば電源や電池なしに電気が利用できるため、さまざまなものをインターネットに接続する「IoT(モノのインターネット)」や体内の臓器の振動を利用した人工臓器の駆動など、幅広い用途への応用が期待されています。
このような可能性の大きさから、一時期振動発電に関する研究は大きな盛り上がりを見せてきましたが、現在では課題も出てきています。振動発電では効率的にエネルギーを使うため、「共振」という現象を利用しています。しかし共振を使った発電は、ある一定の振動のリズムでなければ行うことができません。
この課題に対して、今世界中の研究者が解決策を探っています。課題が解決されれば、振動発電は本格的な実用化に向けて動き出すことになるでしょう。
工学を学びたいと思っており、ハードウェアとソフトウェアの両方をカリキュラムで学ぶことができるから
自分のしたいことが明確には定まっていない中で、金沢大学の3学類一括の学部を見つけ、そこなら1年間勉強してから自分の進む学部を決められるのでそこに決めた。
夢考房での研究が楽しそうで興味があるから
ロボットを作る勉強がしたくて、金沢工業大学はロボティクス学科があり、また、就職先に車の会社もあり魅力を感じたため
送料とも無料
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最先端の機械工学に興味があり、施設、教育が充実しているから
デザインについて国公立大学で学ぶことが出来、就職に有利であるから。
最新の設備が整っており、研究が捗りそうだから
工学に関する知識を身につけることができると思ったから
群馬大学 理工学部
将来福祉ロボットの開発を志しているため、それが実現できそうな学科のある
学びたい事に取り組める環境が整っていると思ったため