電気・電子工学は、エネルギーと情報伝達媒体という、電気の2つの側面を研究の軸とする学問分野です。電気工学は、電気の流れをエネルギーとしてとらえ、主に発電、電力輸送、電動機の制御などについて学びます。効率のよい発電や蓄電、輸送を研究するとともに、超伝導やプラズマ、太陽光発電や風力発電なども研究対象とします。
電子工学は、電子を情報伝達媒体として考える学問で、コンピュータや半導体、LSI(大規模集積回路)、電子機器などの製作の基礎となります。ソフト・ハードやネットワーク技術の開発といった、電子の性質の応用に関わる研究開発を行います。回路やシステムの設計から、情報通信、デバイスや材料の開発など、幅広い領域を研究します。電気・電子工学の技術を医療分野などの他分野と融合させた研究も行われています。
家電製品や情報通信機器などのエレクトロニクス関連、IT関連、エネルギー関連はもとより、通信、ソフトウェア開発、材料関連の企業などに就職する人や、金融・保険業などのシステム開発に携わる人が大半です。大学院へ進学する人も少なくありません。
信州大学 工学部 電子情報システム工学科 教授 橋本 佳男 先生
太陽電池は光からエネルギーを取り出す発電装置で、現在、一般的なビルや家屋に設置されているものであればパネル1枚(1m四方程度)で晴天時を考えると、光のエネルギー1kWを受けて150Wから180 Wの電力を作れます。つまりエネルギー効率は15~18%です。低効率とされるガソリンエンジンでさえエネルギー効率が30数%ですから、太陽電池のエネルギー効率はあまり高いとは言えず、発電効率の点から考えると、太陽電池は分が悪いと言えます。
実は太陽電池の種類により発電に利用できる「光」は異なります。太陽の光はさまざまな波長が混じり合っていて、「赤い光」ほど量が多いもののエネルギーは小さく、「青い光」ほど量は少ないのですがエネルギーは大きくなります。なお、赤外線はエネルギーが小さすぎて発電に向かず、紫外線は量が少なく発電に使うことができません。
太陽電池は少なくとも2層の構造を作り、その間で電気を生み出します。現在、一般的に利用されているものは2層ともシリコンで作られた、どちらかといえば赤い光を狙った太陽電池です。実用性を踏まえた上で優れた太陽電池を作るには、シリコンより低コストの物質で15~18%に近いエネルギー効率のものを作るか、多少のコストがかかっても18%を超えるかです。エネルギー効率を上げるには、より青い光を狙った太陽電池を組み合わせることが近道です。
青い光からエネルギーを取り出せる物質は少ないのですが、近年は「ペロブスカイト」という物質が注目され、単にシリコンと組み合わせるだけでも25%前後の効率が見込めるでしょう。ただし、ペロブスカイトは鉛系の化合物のため扱いが難しく、用途も限られます。そのため比較的低コストな物質である銅や錫(すず)、亜鉛をベースにした化合物をグラフェンなどの炭素系材料と組み合わせて、同様のものを作る道も模索されています。
豊橋技術科学大学 工学部 電気・電子情報工学系 教授 大平 孝 先生
私たちの周りには、さまざまな音や光、電波、放射線などがあふれていますが、それらはすべて波のような動きをする「波動」です。もちろん海の波も「波動」の一つです。
これまでに波動を活用した、生活を大きく変える技術革新が2回ありました。一つは、戦前・戦後から普及したラジオやテレビの「放送」です。もう一つは、2000年頃から発展した携帯電話やWi-Fiなどの「通信」です。そして、現在は波動で自動車を動かす研究が進んでいます。
波動でクルマを動かすとはどういうことでしょうか? それは鉄板を埋めた道路に周波数の高い電流を流し、道路と接するタイヤを通じてエネルギーを受けたクルマが走行する仕組みです。パンタグラフからエネルギーをもらって走る電車と原理は似ています。この給電システムなら、現在の電気自動車が抱える「長時間の充電が必要」「走る距離が限られる」「バッテリーを積んでいるので車体が重く、高額」などの課題を解決できるのです。
本来タイヤのゴムは電気を通さない絶縁体ですが、周波数の高い電流は絶縁体をつき抜ける特性があるので、タイヤを通しても電気エネルギーを伝えられるのです。通常、家庭に送られる電流の周波数は50~60ヘルツですが、この場合100万倍のメガヘルツの電流を用います。
システムを実現するには、道路に鉄板を埋めて電化道路に変えなければなりません。そこでまずは一般道路に先行して、高速道路を整備する案が考えられます。高速道路で給電すれば、高速道路を下りた一般道路では充電せずに走行ができるでしょう。当面は工場構内や倉庫などの限定したエリアで実用化すれば、産業の省エネ化に貢献できます。このように波動を利用して、ワイヤレスで給電するシステムは、電気自動車の普及や環境問題の解決に役立つと期待されています。
九州工業大学 情報工学部 物理情報工学科 准教授 河野 晴彦 先生
清涼飲料水の缶や、フォーク・スプーンなど、アルミニウムは生活に身近な金属の一つですが、ホール・エルー法という方法で製造する際に、「アルミは電気の缶詰」と言われるほど大量の電力を要します。
アルミニウムは、溶融氷晶石にアルミナを溶解して電気分解した後に、電解液との密度差を利用して取り出すのですが、その際にアルミニウムの上部に位置する電解液の厚さが非常に重要となります。電解液の厚さが足りない場合、下層の溶融アルミニウムが激しく振動して、短絡により装置が壊れてしまう可能性があります。一方、この電解液はあまり電気を通さないため、厚さが大きいと、たくさんの電力が無駄に消費されることになってしまいます。
アルミ生産現場では電解液の層を5ミリ程度でも薄くできれば、全世界で天文学的な金額の電気代を削減できると言われています。しかし、安定性の問題から、そのわずかな変化を与えることが現状では非常に困難なのです。そこで研究されているのが、直流磁場と交流磁場を組み合わせることで、溶融アルミニウムの振動を抑える技術です。つまり、性質が異なる2種類の磁場を活用し、メタルの流れを上手にコントロールして振動を最小化しようという研究です。
電磁場で流れを制御する技術は、すでに単結晶の育成や製鉄分野などで生かされています。例として、集積回路などに使われる高純度シリコンウェハーを作る際は、電磁場を併用する「チョクラルスキー法」という技術が用いられています。また、溶解した鉄を、るつぼに触れないように電磁力によって浮遊させて不純物の混入を防ぐ「コールドクルーシブル」という技術が生まれました。磁場の強さやコイルの配置など、さまざまな条件をコンピュータ上で自由に設定してシミュレーションすることにより、溶融金属の制御に関する多くの知見を蓄え、これらの技術をさらに向上させることができます。
長崎大学 工学部 工学科 電気電子工学コース 教授 阿部 貴志 先生
私たちの回りには、モーターを利用した数多くの電気製品があります。例えば、EV(電気自動車)では、バッテリーが搭載されていて直流の電気エネルギーを蓄えています。これを交流の電気エネルギーに変換して、交流モーターから駆動力を得ています。この時に、交流モーターの回転数や駆動力をバッテリーのエネルギーを無駄にしないように制御しています。このような、電気エネルギーの変換や制御を中心とした応用システムを「パワーエレクトロニクスシステム」といいます。モーターや電力変換装置、そして制御技術を高めることで、より航続距離の長い高性能なEVが実現されます。
モーターは磁束と電流の積に比例した駆動力を発生します。EVでは大きな磁束が得られる永久磁石を利用した、永久磁石交流モーターが使用されています。この永久磁石には性能を高めるためにレアアースが使用されていて、資源調達が不安視されています。また、永久磁石交流モーターの効率が最もよいのは、時速50km程度で平坦な道を走るときに限られます。実際には、車はさまざまな条件で走行しています。そこで、永久磁石を使用しないで、走行に合わせて効率がよくなる磁束の大きさと電流を制御できる、新しい交流モーターの開発が期待されています。
交流モーターを動かすためには、バッテリーの直流エネルギーを交流エネルギーに変換するインバータという電力変換装置が必要です。この装置には半導体を利用したスイッチが利用されていて、直流を交流に効率よく変換することができます。新しい交流モーターは、磁束を発生させるために電磁石の原理を利用しているため、走行に合わせて効率をよくする制御に加えて、複雑な制御方法が必要となります。
エネルギーの効率的利用は、環境を重視する次世代の大きな課題です。パワーエレクトロニクスシステムは、そのための重要な技術を提供するのです。
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電子関係の学科に進みたかったため。
理学部に行きたかったが、物作りにも関心があるためそのどちらも学ぶことができるところにしようと思ったから。
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全国や世界規模で見ても稀有な施設である研究所があり、その施設を利用した研究が盛んである事に魅力を感じたから
集積回路関係の施設が一通り揃っていて、新しいものを開発、研究できる環境が揃っているから
もともとは、情報にも薬にも関心があり、両方にかかわれると思ったから
九州内の国立大学で唯一、情報工学部があり、学びたい分野が学べ、なおかつ就職に有利な利点がある
教育カリキュラムが魅力的だったから
自分の研究したい分野の研究室があるから。
東北工業大学 工学部
工学部の電気電子工学科にあるバイオに惹かれて決めました
東北で唯一の情報系と通信系の両方を学べる学科にとても魅力を感じたからです