資源工学は、石油・天然ガス・メタンハイドレートといった地球の岩石層にある地下資源が研究対象です。地盤の地質、鉱床を分析することで資源を探査・調査し、鉱物資源の開発・採掘、分離・精製などについて研究します。それに加え、資源の利用にともなう環境問題や資源のリサイクルなどを考慮して、地球と人類の未来を視野に入れた研究も行います。
エネルギー工学では、化石燃料を有効かつ安全に利用するための方法やそのための機器の開発、利用によって発生する環境汚染物質に対する対策を研究する分野、原子力発電の技術と安全性に関する分野、太陽光・風力・地熱・バイオマスといったクリーンエネルギーの有効利用によって地球環境を守るために、再生可能エネルギーに関する新技術を開発する分野などがあります。
資源工学は、地質学・資源工学の知識を生かせる石油、ガス、地質コンサルタント会社や、材料工学の知識を生かせる金属工業、鉱業などの分野に進む人が大半です。エネルギー工学は、電力会社、原子力関連産業、重工業や電機メーカーへ就職する人が大半です。
北見工業大学 工学部 地球環境工学科 教授 南 尚嗣 先生
「都市ガス」は、一般に国外などから調達した天然ガスから製造されます。その主成分のメタンが、メタンハイドレートの形で海底や湖底の堆積物の中にもあることがわかりつつあります。現在、世界中でこの物質についての調査・研究が行われています。
日本でも、メタンハイドレートの調査が行われています。この物質は、水分子が水素結合でつながってナノスケールのカゴを形成し、そこにメタンが取り込まれているのです。メタンハイドレートを温めたり圧力を低くして分解させ、メタンを得ることが期待されています。
メタンハイドレートは、低温・高圧下で水とメタンから人工的に作ることができます。北海道沖のオホーツク海の場合は、水深500メートルあたりの圧力と水温で作られています。メタンハイドレートが存在する堆積物の硬さや特徴も調べられています。また、メタンは、海や湖の底にたまったプランクトンなどの有機物が、主として微生物や地熱によって分解されて発生することが明らかになっています。さらに、ロシアのバイカル湖の調査で水分子を分析したところ、湖の水ではなく、地底から沸き上がっている水が使われていることが確認されました。
メタンを多く得るには、水分子のカゴに取り込まれるガスがメタンである必要があります。メタンと一緒にほかのガスが取り込まれると結晶構造が変わるので、メタンのカゴへの取り込まれ方が変わります。また、カゴの空き部屋が多いと多くのメタンを得ることはできません。そこで、どれくらいカゴが埋まっているかも評価します。
メタンハイドレートは将来の貴重なエネルギー資源として期待されています。この研究は、将来新しい産業に結びつくかもしれません。メタンやメタン以外のガスハイドレートの工学的な利用も期待されています。また、エネルギーの地産地消など、これまでと違うエネルギー循環も期待できるでしょう。
東京科学大学 理工学系(旧・東京工業大学) 工学院 システム制御系 教授 井村 順一 先生
電力は、その発電量と消費量が、同じくらいになるように常に予測し、制御される必要があります。バランスが崩れると停電の原因となったり、電化製品に不具合が生じたりする可能性があるからです。日本では、消費電力が日中にピークになるとき、晴天ならそのおよそ4分の1を太陽光発電でまかなっています。そのため、太陽光発電量の予測が外れると大規模停電などの問題が起きてしまいます。予測は、うす曇りのときや梅雨、台風のときは難しくなります。そういう場合は、事前に火力発電の準備をしてリスクに備えます。太陽光での発電量が少ないからといって、急に火力発電の出力を上げることはできないからです。
太陽光発電量が2018年現在、世界第3位の日本では、日中に電気が余ってしまうことがあります。例えば九州では2018年に発電量と消費量のバランスを保つため、一部の太陽光発電施設に発電を止めてもらう「出力抑制」を行いました。こうした問題の解決のためには余った電気を貯め、足りないときに放電する仕組みが必要です。
一つの方策として、VtoGという、車を電力系統とつなげる技術を実用化し、全国にある電気自動車を蓄電池として使う研究が進められています。車は平均すると1日に30分しか動いていないといわれています。止まっている時間を蓄電池として利用できれば、太陽光発電によってつくられた電気を、生活により役立てることができるでしょう。
日本の電力供給システムは世界から見ても非常に安定していました。特定の電力会社の厳密な管理のもと、常に電気が消費者に一方向に流れていたからです。しかしCO?を放出しない環境にやさしい太陽光発電を普及させると、消費者も電力を生産する立場になり、電力は双方向に流れるようになりました。太陽光発電を含めて、従来のように安定した供給ができるような電力ネットワークのシステムづくりが重要になってきているのです。
新潟大学 工学部 工学科 化学システム工学プログラム 准教授 郷右近 展之 先生
集光した太陽光で熱した水やオイルをエネルギー源に発電するのが「太陽熱発電」です。スペインのプラントを例にあげると、広大な土地に鏡を敷き詰め、中心にあるタワーに光を集めます。タワー上部には溶融塩というオイルがくみ上げられていて、太陽熱により温められます。一定温度まで達したらオイルをタワー下部に戻し、このオイルの熱を使ってタービンを回します。太陽電池を使う太陽光発電と比べるとなじみの薄い太陽熱発電ですが、アメリカやアフリカなど世界各地で実用化されています。
熱を電気に変えると長期の貯蔵が難しいため、オイルは高温状態のままタンクに入れて保存します。電気の代わりに熱を貯めたバッテリーと考えるとわかりやすいでしょう。できるだけ高温で貯めたほうが使うとき便利なため、より高温に耐えうる溶融塩の開発や低コストの合成油を使う方法、高密度の熱貯蔵の方法などが考えられています。
最先端の研究が、空気や溶融塩で高温熱を運び、熱伝導の良い金属材料に熱貯蔵する方法です。高温で分解しない溶融塩の開発や熱の出し入れに優れた金属系の熱貯蔵材料の開発はヨーロッパやアメリカで活発に研究されています。
太陽熱を化学反応に使い、水素を製造する方法があります。熱で水を分解しようとすると4000℃の高温が必要になるため、化学反応を複数回に分けます。例えば酸化還元反応を使うと、金属酸化物の酸素を抜いて水蒸気と反応することで抜けた部分に酸素が取り込まれ、水素だけを取り出せます。水蒸気の代わりに二酸化炭素を使えば、一酸化炭素を得ることもできます。水素と一酸化炭素は化学合成の基本原料のため、飛行機のジェット燃料はもちろん服の繊維なども作ることができます。多少のコストがかかっても再生可能エネルギーだけで水素が作れて、一酸化炭素も得られると考えれば、人工油田と考えることもできるでしょう。
広島工業大学 工学部 電気システム工学科 ※2025年設置構想中 教授 吉田 憲司 先生
省エネルギーや環境保護の観点から、燃費性能の向上と排出ガスのクリーン化が、エンジンの大きな課題となっています。軽油を燃料とするディーゼルエンジンの場合、排出ガスの通り道に触媒やフィルターを装着することで、大気汚染物質を減らす技術が採用されています。ただ、それらを機能させるためには余分な燃料が必要なので、排出ガスのクリーン化のために燃費を犠牲にしているのが現状です。一方、ガソリンエンジンの排出ガスは比較的クリーンですが、燃費はディーゼルほど良好ではありません。
燃費性能とクリーンな排出ガスを両立させるため、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの「いいとこ取り」である「HCCI(予混合圧縮着火)」という燃焼方式が研究されています。
ディーゼルエンジンはエンジン内に吸い込んだ空気をピストンで圧縮し、高圧・高温の空気の中で軽油を噴射し自然着火させます。一方のガソリンエンジンは、ガソリンと空気を混ぜた混合気にスパークプラグで着火しますが、ディーゼルの半分ほどしか混合気を圧縮しません。この「圧縮比」の違いが燃費性能の差につながっているので、ガソリンエンジンの圧縮比を高めれば、ディーゼルエンジン並みの低燃費が実現するはず、というのがHCCIの考え方です。
ただ、ガソリンエンジンの圧縮比を高め過ぎると、混合気が自然着火しノッキングと呼ばれる異常燃焼が生じます。そんな中、国内の自動車メーカーが、スパークプラグの火花と圧縮による自然着火の両方を利用する高度な燃焼制御技術を開発し、燃費性能が約30%向上すると見込まれています。
「内燃機関」のエンジンは、トラックやバス、建設用機械などにも使われています。また、発電用タービンなどの「外燃機関」もエンジンの一種です。ですから、それらのメカニズムについて研究する「熱流動工学」は、世の中を支える学問だと言えます。
世界的な研究を推進している大学であると理解しているから。
自分の興味のある宇宙工学や人工知能の分野における研究内容が非常に興味深く、また実績もかなりあったから。
料金(送料含) : 215円
発送予定日: 本日発送発送日の3〜5日後にお届け
授業のスタイルと、ものづくりプロジェクトというシステムが魅力的だった
一年から研究ができたり、他の学部の授業もとれるから。
環境問題について勉強したいと思っていた
全国でも有数の研究施設を持つ大学である事。
最新の機器なども設備されていたり、実技がとても身につくことが沢山あったから
県内であり志望していた機械工学を学ぶことができるためです。
北見工業大学 工学部
地球環境を見据えた学習と研究ができると思ったから
メタンハイドレートの研究に興味を持ったから。