獣医学は、6年制のカリキュラムを基本として、産業用動物やペットの病気の診断や予防、治療を行う獣医師の養成を主目的とする学問です。BSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザなど家畜の伝染病の発生は深刻な問題で、その予防など病気への対応は、獣医師の重要な職務です。また、4年間のカリキュラムで愛玩動物看護師や認定動物看護師、介助犬の養成などをめざす獣医保健看護学を学べる学科もあります。
獣医師が活躍するフィールドは、動物の診察や治療だけにはとどまりません。獣医師の職域としては、食品の衛生検査・監督・指導、動物用・人体用の医薬品の開発研究、野生動物の生態調査やその保護、バイオテクノロジー分野の研究など、一般的な獣医師のイメージではとらえきれない活躍の場があります。
獣医師などの専門職に就く人が大半です。官公庁の公衆衛生や畜産部門、農業団体、競馬関連公的機関への就職も人気があります。民間企業では、畜産、乳業、飼料、食品メーカーでのスペシャリストとしての活躍が期待されています。
ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 動物看護学科 教授 今村 伸一郎 先生
骨は私たちにいろいろなことを語りかけてくれます。ある動物の骨を見て、さらにほかの動物と比較をして、初めてわかってくることもあります。例えば、足の先の骨を見ると、動物は人間と違い、かかとをつけず、つま先で立っていることがわかります。つま先で立つと足の親指が地面から浮きます。犬の骨を見ると後足の親指の骨はほぼ退化していますが、犬の祖先にあたるオオカミにはまだ親指があります。それは、オオカミが岩場を走るときに親指を使うためだと考えられています。逆に犬は親指を使わないので退化したのです。このような進化の過程は骨を見て、ほかの動物と比べることでわかるものなのです。
動物の足の指の数を比べると、興味深いことがわかります。つま先立ちの4本から3本、2本、1本とさらに少ない動物がいるのです。例えば馬は1本です。実は地面につく部分が少ないほど速く走れるのは力学的に証明されています。馬の足の指は速く走るために1本だけ使われるようになったのです。
ところで、猫やチーターといったネコ科の動物も走るのは速いですが、足の指は4本あります。これには別の骨の構造が関係しています。ネコ科の動物の背骨は一つひとつがとても柔らかく隙間があります。骨同士の間に隙間があると動きが滑らかになります。猫が走るときに、背中を丸めているのを見たことがあるでしょう。それは背骨の隙間を縮めて全身をバネにしてスピードを出しているのです。これも骨格からわかることなのです。
このように、動物の骨は私たちに多くのことを教えてくれますが、それは、具体的には何の役に立つのでしょうか?
例えば、骨格の成り立ち、構造の意味を理解することで、できるだけ動物に負担を掛けない看護を行うことが可能となります。動物看護の現場では、骨からのさまざまなメッセージを理解することが求められるのです。
鳥取大学 農学部 共同獣医学科 教授 伊藤 壽啓 先生
ウイルスには、ある種の動物にしか感染しないものと、インフルエンザウイルスのように人やニワトリを含むさまざまな動物に感染するものがあります。どこに違いがあるのでしょう?
インフルエンザウイルスは口から体内に入ると、まず喉の細胞に吸着します。細胞表面にはレセプター(受容体)と呼ばれる器官があり、まずそこにウイルスが結合します。ところが、この器官には鍵と鍵穴のような仕組みがあり、形が合わないと結合できません。インフルエンザウイルスの場合は、人とニワトリの両方のレセプターに結合できるウイルスが存在しているわけです。
しかし、インフルエンザウイルスは最初から人に感染するウイルスではありませんでした。起源はカモの腸内ウイルスで、そのウイルスが突然変異でニワトリに感染できるウイルスに変異し、さらに人にも感染するようになりました。感染する動物の近い場所に別の動物がいると、ウイルスと接触する機会が増えます。そして突然変異が起こり、感染できるウイルスが誕生します。人の体内で最も効率よく増殖できるウイルス、すなわち人に最適化されたウイルスがこのようにして生まれるのです。
インフルエンザウイルスが人に感染するとウイルスの遺伝子が人の細胞内に注入され、その細胞で次々と子孫ウイルスが増殖します。一方でその細胞も破壊されていきます。その結果、インフルエンザの症状である咳、熱、体や喉の痛みなどが表れます。ただし、細胞が破壊されるとウイルスも増殖できなくなるので、ウイルスにとってはよいことではありません。実は、人やニワトリにとっては有害なインフルエンザウイルスも、カモにとっては無害な場合があります。これはカモとインフルエンザウイルスが「共生」しているためです。これがウイルスにとって理想の型です。今は有害なウイルスが、遠い将来、無害なウイルスに変異し、人と共生する可能性もあるのです。
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動物学を全般的に学びたかったから
動物行動学の研究室をもつ先生がいらっしゃったから。
モデル犬制度があり、高齢動物看護学があるから
動物と向き合う仕事に適した授業内容であるため。
野生動物について学べるから
大学の環境は学びや研究がしやすい場所となっており、自分が動物の遺伝子の研究をするのに最適だと思った。
獣医師になるために、獣医学部のある学校。愛玩動物よりも大動物に強い大学。
獣医師免許取得、鳥インフルエンザ研究実績
北海道大学 獣医学部
海外協力など、国際的なレベルの教育が受けられる。野性動物学研究室がある。
動物実験施設(AAALAC完全認証取得)がある