酪農・畜産学は、牛・豚・鶏といった家畜動物の生態や遺伝、繁殖などを研究し、肉や卵、牛乳や乳製品、加工食品の生産・製造技術を向上させ、安定的に供給・流通させることをめざす学問です。
「酪農学」では乳牛や羊などの育成と牛乳の生産技術、その加工技術、経営や流通について学びます。「畜産学」では、遺伝子や分子レベルの研究などから家畜動物の生育や生殖について研究し、育種・繁殖・飼育の技術開発を行います。肉、卵などの生産・製品開発・流通や家畜のための飼料開発や畜産農家の経営に関しても学びます。また、野生動物の生態系保存や新種の実験動物の開発、アニマルセラピーなどによる動物の癒やし効果なども研究テーマとなります。
食品、畜産、飼料などのメーカーで、バイオ技術や遺伝子組み換え技術を応用するエキスパートとしての活躍が期待されています。観光牧場やペット産業、農業関連団体で働く人や、アニマルセラピーの研究を生かして福祉分野に進む人もいます。
宮城大学 食産業学群 食資源開発学類 教授 須田 義人 先生
仙台牛や米沢牛、松阪牛などはブランド牛肉と呼ばれます。テレビ番組などで、柔らかそうな霜降りの肉を食べている映像をよく見かけます。これは、世界で唯一霜降りが多く入る黒毛和種という肉牛の肉で、日本の在来種です。さらに、ブランド牛に指定されているのは、黒毛和種の中でも厳しい基準をクリアしたごく一部なので、まさに和食材の高級霜降り牛肉は、世界文化遺産級と言っても過言ではないのです。
生物の遺伝は、肌の色などの「質的なもの」と、体重や身長、肉の柔らかさや霜降りの度合いなど「量的なもの」に分けられます。質的なものに関わる遺伝子は1つか2つですが、量的なものには数百の遺伝子が関わっていると考えられています。牛肉の場合、必要とされるのは経済効果が高い量的な遺伝ですが、関わる遺伝子が多いために、人がコントロールするのが非常に難しいのです。そこで、年月をかけて遺伝能力の高い牛同士の掛け合わせを繰り返し、現在の特質を持つ黒毛和種が誕生しました。例えば、宮城県には約10万頭の肉牛がいますが、種牛となれる候補の雄牛は、毎年400頭選抜され、それから厳しいテストを受けてたった4頭だけです。これらを父親に持つ子牛を含めて県内で生産される牛のうち、「仙台牛」と名乗れるのは生まれてくる牛の3割程度で、残りは普通の国産牛として市場に出されます。
現在のところ、どの遺伝子が霜降り度や体の大きさなどに作用しているのか特定はできていませんが、染色体レベルでこの辺の領域が関わっているらしい、ということはわかってきました。ただ、その領域には数十から数百の遺伝子が並んでいるので、遺伝子を特定することが、これからの研究課題です。また、DNA塩基配列の1塩基の違いが遺伝的表現にどう影響するのかの解析が進んでいます。これらが明らかになると、人が望む美味しい世界遺産級の最高牛肉をもっと効率的につくることができるようになるでしょう。
高知大学 農林海洋科学部 農林資源環境科学科 准教授 松川 和嗣 先生
世界には多くの動物がいるのにもかかわらず、私たちの生活に身近な「家畜」と呼ばれる動物はごくわずかです。さらに近年では、生産性を重視したほんの一部の品種が蔓延しつつあるだけでなく、伝染病による処分や大規模災害の被害などで、存続に関わるさまざまな変化が起こっています。家畜品種の多様性を守る保全研究は重要な課題ですが、これには、限られた地域で長年改良され飼育されてきた希少種も含まれます。
例えば、和牛の例を挙げてみましょう。日本独自の家畜である和牛は、4種類しかいません。その1つに高知県で改良されてきた、「土佐あかうし」という褐毛(あかげ)牛がいます。かつては農耕を手伝う役牛(えきぎゅう)でしたが、機械に取って代わられました。お肉も霜降り肉ではなく赤身肉が特徴のために市場価格が低下して、2014年頃には飼育頭数が1,600頭を切るほどに減ってしまいました。
しかし最近では、特有の肉質が見直され、ニーズが増大しており、産官学が連携して土佐あかうしの増頭に取り組んでいます。さらに大学では、代理出産による増頭だけでなく、フリーズドライ(凍結乾燥)保存した精子や体細胞による新たな再生技術の開発にも挑戦しています。また、牛肉の高付加価値化のために、地域で産出されるエコフィードなどを有効に利用できないか研究されているところです。
地域の環境や人々の好みに合った品種改良が行われてきた家畜は、地域に愛される存在です。こうした家畜の遺伝資源を保全していくことは、生物としての種の保全だけにとどまらず、歴史的・文化的背景や食文化、経済環境までも含めた保全が必要です。
家畜の遺伝資源を直接守る学問分野は、理系の家畜繁殖学やバイオテクノロジーを駆使する発生工学です。しかし、生きた家畜の飼育はもちろん、地域の文化も含めた学問領域とも関わり合う、社会的貢献にもつながる研究も必要とされます。
食に関する必要な知識を学べるだげではなく、多くの人に広めていくために必要なマーケティングや経済に関する知識も学べる為
食について様々な面から学ぶ事が出来る大学です。実習や研究、留学など将来へ繋がる経験をする事が出来るのも魅力的だと思います。
伴侶動物についてだけでなく、大学で牛や馬を飼育していることで、大動物についても実際に学ぶことができる。
最新の実習設備が整っているため、獣医学を学ぶのに適した環境だと思ったから
他の大学の農学部とは異なった教育内容があったから
2年以降の授業に、家畜飼料学がある。私はそれを学びたい
自分がやりたい事のバイオ系が充実していたから
フィールドワーク実習が多いカリキュラムに加え自然に富んだ環境だから
酪農学園大学 農食環境学群
特にチーズが好きなので乳製品に関して専門的に学ぶことができる環境だと思ったから。
座学だけでなく自分で食品を作ったりなど、実際に体験できるような授業内容が多いから