保健学は、健康の増進や、病気の予防・早期発見・治療・回復までを科学的に分析・研究する学問です。保健衛生学、保健環境学、保健栄養学の3つの分野が研究の中心となります。医療が病気そのものを扱うのに対し、保健学は「人の健康全体」を対象とし、さらに個人の心身のケアだけでなく、その対象範囲は家庭や地域社会、国際社会にまで及びます。
福祉学は、高齢者や児童、障がい者などとその家族へのサポートを、理論と法律をふまえた上で考えていく学問分野です。社会福祉施設や行政機関などで相談にのり、適切な社会サービスを提案する社会福祉士や精神保健福祉士、医療機関などで患者や家族を福祉の側面から支える医療ソーシャルワーカーなどの専門家を育成します。
保健学は、養護教諭や臨床検査技師、栄養士などの資格を取り、学校や病院、福祉関係の施設で働く人が大半です。福祉学は、ソーシャルワーカーとして自治体の福祉行政部門、保健所、福祉施設などで働く人が多くいます。
東北福祉大学 総合福祉学部 福祉行政学科 准教授 佐藤 英仁 先生
医療の価格というのは、どうやって決まるのでしょう? 例えばパソコンの値段は、同じ製品でも買う店によってかなり違います。しかし医療の価格は診療報酬という形で一律に決められているので、病院によって異なることはありません。それが基本です。
しかし、診療報酬制度はとても複雑です。あなたは、入院する病院によって入院費が違うことを知っていますか。大きい病院は小さい病院に比べて1日7000円も高い場合もあるのです。規模の大きな病院は、医療機器や設備が充実していて、医師や看護師の数も多いのですが、入院費が高くなっているのです。病院によってこれほど入院費に差があることは、あまり知られていません。また、1つの病院で、内科と外科のように複数の診療科を同じ日に受診した場合は、2つ目の診療科の初診料・再診料が半額になります。
同様の例はほかにもいろいろあります。同じ薬でも、処方せんを持っていく薬局によって支払う額が違ってきます。薬の値段は同じですが、薬局の規模によって薬事報酬が異なるからです。こちらは、大きな薬局のほうが若干安くなります。病院の前にある調剤薬局よりは、全国チェーンを展開している規模の大きな店の方が安いのです。
また、あなたが怪我や病気で月に8万円以上の医療費がかかったとしましょう。この場合、「高額医療費」として8万円を超えた分のお金が戻ってきます。しかし、これには申請が必要です。高額医療費制度を知らなければ、本来戻ってくるべきお金がもらえないのです。
こうした知識を、必要な人たちへ広く知らせるということが、医療経済学の役割の1つです。実は医療のプロでも知らない制度というのが、かなりあるのです。本来は戻ってくるべきお金が、制度を知らないために受け取れない人たちがいることは大きな問題です。そういった制度上の欠点を洗い出して、改善について提言するのも医療経済学という学問領域の役割なのです。
聖徳大学 心理・福祉学部 社会福祉学科 准教授 須田 仁 先生
「社会福祉士」とは、ソーシャルワーカーと呼ばれる社会福祉業務を専門とする人材になるための国家資格です。社会的に弱い立場にある人、困っている人が直面している問題に対して、制度や社会資源、ボランティアなど、さまざまな方法によってその問題を解決に導くのがソーシャルワーカーの仕事です。
例えば、不登校の子どもに対し、その子の心の内面をケアするのはカウンセラーの役割ですが、その子の周囲にいる友だちや先生、家族などに働きかけて不登校の原因を除去することをめざすのはソーシャルワーカーの役割です。
高齢化が進む現代の日本では、家族による高齢者への虐待が問題となっています。何らかの原因によって無職となり、親の貯金や年金で暮らしている人が、親が倒れ、高齢で身体が不自由になると介護しきれなくなり、感情的になって虐待を行ったり、必要なお金を使わせなかったりといったケースがあります。ソーシャルワーカーからの働きかけによって、被害者だけでなく、虐待をした家族も何らかの形で自分のお金を得られるようにするなどの支援が必要となります。収入を得られずに親の貯金や年金を頼っていることが、対人関係での問題や心の病の原因となっていることもあるので、解決に困難をともなうことも少なくありません。
ソーシャルワーカー自身が何か社会資源を持っているわけではありません。ソーシャルワーカーは、状況に応じてさまざまな方面に依頼して、問題を解決するためのチームを作ってマネジメント(まとめ役)を行う、一種のエージェント(代理人・代弁する人)のような役割を担う存在です。そこで大切になるのは、問題を抱える本人を決して批判することなく、話によく耳を傾け、信頼関係(ラポール)を築き、その人の力を引き出し、ともに問題解決をめざそうという姿勢です。「人が生きて自己実現をしていくための権利を守る仕事」、それがソーシャルワーカーの役割なのです。
新潟大学 創生学部 准教授 堀籠 崇 先生
医療の問題は、今や地域全体で取り組まなければならない問題となっています。かつては病院で手術・入院をし、その結果、病気が治るか残念ながら亡くなるかのどちらかでした。しかし医学の進歩により、医療を提供する事業体が、病院だけでは成り立たなくなってきています。
糖尿病など、慢性的で在宅での医療が必要な病気や、認知症などの福祉による介護が必要な病気などが増えてきたからです。これらの変化に対応するためには、地域が一体となって医療という仕組みを回し、国民一人ひとりを健康にする仕組みをつくりあげることが必要です。その仕組みを「地域包括ケアシステム」といいます。
地域包括ケアシステムは、地域全体がひとつの事業体のように機能する必要があります。地域には歴史や文化があり、それらを踏まえた仕組みとすることが重要です。例えば、統計的に県民が短命とされる県があるとします。その原因は、飲酒量の多さや喫煙率の高さにありそうです。しかし、最も根本的な要因は、それらを改善するための意識があまり高くないことであることがわかってきました。こうした生活習慣や価値観は長い歴史のなかで育まれてきたものなので、簡単に変えることはできません。健康に対する考え方を改めてもらうために、子どもの頃からの健康指導など、長い時間をかけた施策が有効かもしれません。
そこで特に必要なのが、地域のステークホルダが一丸となって課題に取り組むことです。市民一人ひとりに、国や自治体、さらには民間企業などの産業体をも巻きこむことが必要なのです。特に、金融機関を巻きこむことは欠かせません。国や自治体の補助金頼みでは、補助金が尽きてしまったときにその事業が終わってしまいますが、金融機関が関与することで資金の循環が生まれ、その地域に根づいていくからです。地域に生きるステークホルダの利害を整合化させつつ、地域産業と一体となって課題に取り組むこと、つまり地域経営の発想が肝要なのです。
関西学院大学 人間福祉学部 社会福祉学科 教授 川島 惠美 先生
福祉というと、「高齢者」「障害者」「介護」といった言葉をイメージするかもしれませんが、その対象はもっと幅広いものです。
その中で「社会福祉士」という福祉の専門職は、身体的・精神的・社会的な問題を抱えている人に対し、問題を解決することに関わっていきます。そのためには、本人、個人への直接的な援助だけではなく、家族や仕事といった生活背景まで含めて、医療などの専門家と連携したり、行政や民間などの制度や福祉サービスといった社会資源を活用したりして、包括的な支援を行います。さらに、国や地域における福祉制度の策定や、社会資源の開発など、福祉の幅広い領域を担っています。
福祉には「優しさ」といったイメージもありますが、社会福祉士には多様なスキルが求められるため、それらを養うためにさまざまな演習を行います。例えば、子どもの詩を題材に、最初は文末だけを読み、次に全体を読んで印象や感想を比較します。また、1枚の葉っぱを観察・模写した後、枝から幹や根、水や空気といった葉っぱを取り巻く環境へと視野を広げていきます。このような演習は、他者に対する共感性や感受性を高めると同時に、自分自身への理解も深め、より良い人間関係を構築していくトレーニングになります。そして、ある対象に近づいたり離れたりしながら、人や物事を理解・考察していく視点の習得にもつながるのです。
相手の思いや考えをくみ取り、引き出したニーズに対して、幅広い角度から対応方法を見出していくプロセスや対人援助の考え方は、企画、営業、サービスなどの職種や業種にも生かすことができます。また、近年は少子高齢化によって多くの企業がシニア層に注目しており、社会福祉士の知識や資格を持つ人材の要請も高まっています。また、人生で家族や友人、あなた自身が困難な問題に直面したとき、福祉の学びはそれを解決する大きな力にもなってくれるのです。
料金(送料含) : 250円
発送予定日: 本日発送発送日の3〜5日後にお届け
社会福祉分野を学び、社会福祉士の資格取得を目指している。
福祉について総合的に学べる児童や家庭について研究を行っている教授がいる設備が整っている
聖徳大学では福祉の面から資格が取れることを知り、志願しました
心理学を専攻しながら、養護教諭の免許も取得出来るから。
社会問題などに関心を持っていることもあり、新潟大学創生学部という、文理を問わない学部で学べること
創生学部の活動(フィールドスタディーズ)などに興味を持ったから
実際に起きている問題に向き合い、考え、話し合い、解決策を見つける、といった問題解決能力が高められると考えたからです。
自分のしたい学習ができる環境を素晴らしいと思ったため
送料とも無料
発送予定日: 本日発送発送日の3〜5日後にお届け
北海道大学 医学部
将来看護師として北大病院で働きたいと思いこの学校を志望しました。
全国で最も学部数が多く、保健学科は5専攻あるのでさまざまな人と高めあいながら学べると思ったから。