27数学

数や図形の性質・関係を研究して、公式・証明などの法則化を図る論理的思考の学問です。純粋数学と応用数学に大別されます。純粋数学は抽象的な概念を論理的に考える理論体系を主とし、数の性質や関係、定理や方程式の解法などを研究する「代数学」、図形や空間の性質を研究する「幾何学」、微分・積分をベースに物理学とも関わる「解析学」などがあります。
応用数学は、コンピュータを積極的に活用してさまざまな問題を数値化するなど、自然科学、社会科学や工業分野と関連しています。プログラム理論や確率論、社会科学系の分野でも応用されるゲーム理論なども応用数学の領域です。プログラミング理論や計算法のアルゴリズム、情報通信に欠かせない暗号理論、社会科学の諸問題の効率を最大限に高めるオペレーションズ・リサーチなども研究対象となります。
製造業やIT関連企業、金融・保険業などに就職する人や、システムエンジニア、プログラマーなどの専門職として活躍する人、教員免許を取得して数学の教員になる人が大半です。大学院へ進学する人も比較的多くいます。
東京海洋大学 海洋資源環境学部 海洋環境科学科 教授 中島 主恵 先生
ビーカーの中の水に、黒いインクを1滴落とすとします。インクはだんだん水中に広がっていき、最後には全体が薄いグレーの水となります。この時、ビーカーの中では、インクが全体に広がる「拡散」という現象と、各所で水の分子とインクの分子が化学反応を起こす「反応」現象が同時に起こっています。こうした現象を反応拡散系と呼び、その変化は反応拡散方程式で表すことができます。物質がどう動いているのかを数理モデル化し、微分方程式として記述するのです。
反応拡散系の現象は一般的に、上記のインクの例のように、時間が経つにつれて均質化、一様化するものであると考えられています。しかし、実はある状況下では、反応拡散系でも一様化が起こらないことがわかっています。
1952年にチューリングという数学者は、ヒョウやシマウマなど、表皮に模様を持つ動物の模様のパターンが、反応拡散方程式で説明できることに気づきました。動物の模様は一様化しない反応拡散系の一例であり、このメカニズムを解析していくことで、生物の形態形成を解明できることになります。
一様化しない反応拡散系は、表皮の模様以外にもさまざまな分野で見ることができます。物理学における相転移問題がそうです。水はセ氏0度以下で氷になりますが、ちょうど0度の時には氷の箇所と水の箇所がまばらに存在しています。また、発生学では、遺伝的に赤い花と白い花が咲く植物の、赤と白の存在する確率のモデルとなります。これらも、反応拡散方程式で説明できるのです。
このように、一見まったく違う現象に思えるものも、反応拡散系の数学として扱うと、同じもののように見えてきます。つまり、一方の現象について解くことができれば、もう一つの現象を解く鍵になるということです。この考え方は、生態学のような自然現象、渋滞のような社会現象にも応用が可能となるものです。
龍谷大学 先端理工学部 数理・情報科学課程 准教授 山岸 義和 先生
世の中に存在するさまざまな「らせん」模様は、建築物や工芸品などで表現されるほか、植物の種の配列など自然界にも無数に見られ、人びとはそれらの形を独創的なものや神秘的なものとしてとらえてきました。模様を数学的に分析する幾何学の世界では、模様の裏に隠されたメカニズムがどのようにして作られているのか、さまざまな研究が行われています。
自然界の対称性や規則性を幾何学的に読み解く方法の一つに、「群論」という数学の概念があります。さらにこの群の構造を図に描く「ケイリーグラフ」を用いることで、その規則性を視覚的にとらえることができます。例えば、「1・2・3」の3つの数字を並べたとき、6通りの数列が存在します。「123」「231」「312」と、左端の数字を右端に入れ替えるルール、「123」を「213」とするように左と真ん中の数字を入れ替えるルールを設け、6通りの数列同士をルールに沿って線で結ぶと、2つの三角形の頂点同士がつながった形になります。6つの数列の配置によって、大小の三角形が重なった平面グラフや、三角柱のような立体が現れます。これを3次対称群のケイリーグラフと言いますが、つまり3つの数字を使った6通りの数列が、たった2つのルールの範疇(はんちゅう)にあるということが視覚的にわかります。
自然界の例として、ひまわりの種を数列に置き換えて見てみると、「直前の2つの数の和が、次の数になる」という「フィボナッチ数列」とよばれる規則に沿って並んでいます。ひまわりがきれいに見えるように、このフィボナッチ数列のケイリーグラフは、「黄金比」という古くから美しいとされる形と深い関係があることがわかっています。自然の中に存在するものの形や並び方が、数列やグラフで表すことができるのは不思議に思えるかもしれませんが、いつもと違う、数学的発想でものごとを見つめると思いがけない発見があるのです。
大阪府立大学 生命環境科学域 理学類 数理科学課程 教授 松永 秀章 先生
数学は、大きく3つの分野に分かれます。代数学と幾何学、解析学です。難しそうな名前ですが、あなたが中学で学んだ一次方程式や二次方程式は、代数方程式と呼ばれるもので、代数学の分野に入ります。それに対して関数方程式は、数ではなく関数がみたす「方程式」のことで、同じ方程式でも解析学の分野に入ります。微分を含む関数方程式を「微分方程式」、積分を含む関数方程式を「積分方程式」といいます。また数列を定める「漸化式」も関数方程式の1つです。
関数方程式を用いると未来が予測できます。例えば高校では物理で運動方程式を学びますが、その原理は位置と速度の微小変化の関数を表す微分方程式です。惑星運動の美しい性質も、リンゴが木の枝から落下する現象も、ニュートンが発見したたった1つの微分方程式から導かれます。すなわち、現象を微分方程式でモデル化し、その微分方程式を解くことで、物体の運動が予測できるのです。これが関数方程式のすごいところです。またロケットの軌道も微分方程式を用いて計算されています。つまり、微分方程式がなければロケットを正確に飛ばせないのです。
大学受験までに勉強するような、解が明確な形で求まる微分方程式というのは、数学では初歩的なレベルに過ぎません。実際は、自然界の複雑な現象を表す非線形微分方程式の解は求まらない場合がほとんどです。ではどうするのかというと、解を求めずに、別の方法で解の性質を調べて証明します。微分方程式の解を、コンピュータを使って数値シミュレーションで予測し、それをヒントにしながら解の性質を証明することもあります。数学の分野では、最後に証明まですることで初めて研究成果として認められます。関数方程式は自然科学だけでなく工学・経済学など、広く応用されています。これからも関数方程式によるさまざまな分野の新しい発見や発展の可能性は、大いにあるのです。
岡山大学 環境理工学部 環境数理学科 准教授 石岡 文生 先生
統計学の目的は、数字の羅列であるデータの中から規則性の有無を見極め、可視化できる情報を抽出することです。近年、地理情報システム(GIS)の高度化で地理情報データの収集・整備が進んでいて、そのデータを有効活用する手法として注目されているのが「空間統計学」です。
空間統計学では「そのデータがどこで記録されたか」という位置情報が座標や緯度経度などの数値として付加されているデータを扱い、規則性などを見出したり、必要な値を予測したりといった分析を行います。
位置情報を持つデータには、経済指標や地理情報、地球の自然科学系データ、病気や犯罪の発生分布などがあります。例えば、インフルエンザはどの市区町村で多く発生していて、特に多発している地域(ホットスポット)があるのか、それがどの範囲と断定できるのかなどを、数学を用いて客観的に分析します。
空間統計学を使ってホットスポットを検出する手法はこれまでにさまざまなものが考案されてきましたが、同定されるホットスポットの形状に制約をともなうものであったり、何千~何万といった領域からなる大規模な空間データの場合は、非常に時間と手間がかかることがネックでした。
しかし、「エシェロン解析」という手法を応用すると、ホットスポット抽出のためのスキャン(解析のためにどういう領域をとるかを探すこと)が非常に効率化します。エシェロン解析とは、データの空間的な位置を表面上のデータの高低と隣接情報に基づき分割し、空間データの位相的な構造を系統的かつ客観的に見つける解析法です。
エシェロン解析はさまざまなデータに適用できるため、例えば遺伝子同士の位置情報を解析して、特定の病気との関連性を統計学的に導くこともできます。空間統計学の面白さは、どんどん応用範囲が広がっていく点にあります。ビッグデータの時代、空間統計学の可能性は無限大です。
福岡大学 理学部 応用数学科 教授 佐野 友二 先生
物の形を調べるとき、その物を外から眺めます。例えば、地球が丸いことは地球から離れてみてわかることでしょう。
では、地球の外側、つまり宇宙の形を調べたいときはどうしたらよいでしょうか? 宇宙はどこまでも広がっているのか? 古代の人々は地球の形についても同じ疑問をもっていたのではないでしょうか。では蟻になったつもりで地球が丸いということをどうやって調べたらよいでしょうか?
地表の世界しか知らない蟻はその外(宇宙)の存在はわからないかもしれません。それでも形を測ることができます。矢印を持って、その方向が変わらないように動いてみましょう。次に矢印の方向が変わらないように矢印と垂直の方向(横)に進んでみましょう。最後に矢印とは逆の方向に進んでみましょう。すると初めの位置に戻ってきます。さらに矢印の方向が初めの方向とは異なっていることがわかります。これは初めの位置の近くが平らではないことを意味しています。これを量として表したものを「曲率」と呼びます。この方法に従えば、外側の世界がなくても世界の形を調べることができます。このような幾何学を「微分幾何学」と呼びます。
「幾何学」は空間を根源的に理解しようとします。その世界観は数学の世界だけのものではなくなってきています。例えば、曲がった空間の中での幾何学(非ユークリッド幾何学)は当初数学の中の仮想の話と思われていました。しかし時空は曲がっていると主張するアインシュタインの相対性理論は、微分幾何学の言葉を用いて記述されています。さらには複素数を用いた空間でアインシュタイン方程式を満たす空間が万物の理論の候補として考えられている超弦理論で注目を集めています。
今も幾何学は新しい空間概念を生み出そうとしています。それは受け入れられるのに時間がかかるものですが、100年後の人類の空間に対する直感を大きく変える発見になるかもしれません。
数学の勉強ができる学科があり、かつ中高の数学教師の免許が取れるから
機械工学を専攻のため
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オープンキャンパスに参加して自分に興味ある環境研究だったので
校舎が綺麗であることと、入りたい研究室があったことです。
都市計画に興味があり、それにつながる研究ぐしたいから
環境問題に興味があり、その学部があり私の好きな数学の奥深さを学びたかったから
学びたいと思っていた内容であったことと、研究をする上で環境や設備が整っていて充実した学校生活が送れると思い
自分の夢を目指せるカリキュラムがある!
東京海洋大学 海洋資源環境学部
海洋資源開発について専門の学科を持ち、さらにその分野において優れた研究者も多数在籍するため
極地学研究に興味を持ちそのような学問に力を入れている学校だったから