農業工学は、効率よく農産物を生産するための技術開発や農地の整備、栽培設備の改善などに取り組む学問です。農業環境の悪化、農村の過疎化などの農村地域の生活環境の問題解決も目的としています。土地の有効利用や水資源の開発を主要テーマとする「農業土木分野」、農業生産に必要な機械や設備の開発に取り組む「農業機械分野」、資源の有効利用と生態系保全を考える「環境系」の3分野があります。
林学は、森林資源の活用と保全を地形・地質・土壌・気象などの自然科学と、経済・経営・社会学などの社会科学の両面から学びます。森林は木材を産出するだけでなく、二酸化炭素を吸収し、雨水を貯え、生態系を維持するという環境を守る機能を果たしているので、防災や環境問題の観点からの研究も行われています。
農業工学の土木系は官公庁などの公的機関や建築業、設計コンサルタントへの就職が多く、機械系は農機・建設機械・自動車などの製造業が中心です。林学は林野庁や自治体の林務関連行政職の人気が高く、製紙会社やハウスメーカーなども対象となります。
秋田県立大学 生物資源科学部 アグリビジネス学科 准教授 山本 聡史 先生
電子機器やソフトウェア、インターネットの環境は目覚ましい勢いで進歩していますが、それは農業機械の分野にも広がり始めています。自動操舵で畑に種をまいたり、田んぼの代かきをしたりする「耕うんロボット」に、イチゴを自動で収穫したりパック詰めを行う機械、ホウレンソウの下葉や根をきれいに取り除く機械や、傾斜地の多い果樹園でいろいろな作業に使用できるモノレールなど、さまざまな研究と開発が進んでいます。実際に使用できる段階にあっても、コスト面など課題も多く、実用化に向けた取り組みが求められています。
人口減少や高齢化社会の到来は、農業の分野にも深刻な影響を及ぼしています。耕作放棄地が増え、例えばホウレンソウの栽培は海外からの研修生頼みという地域もあります。産地を維持するためにも、少人数で効率的な農業にシフトしていくことが必要となり、ロボットの導入に期待が高まっています。イチゴのパック詰めは作業全体の3割を占めています。手間がかかる上に、品質を保つために寒い部屋で続く作業も大変です。農業ロボットの実用化は、作業の省力化というメリットも得られるのです。
農業に関心を持ち就農を希望する若者も増えていますが、ベテランと同じように農作業をすることはできませんし、教えるのが苦手なベテランもいます。もし熟練者と同じレベルで作業ができる機械や、手作業に頼っていた農作業を自動化するロボットがあれば、農業の未来はきっと明るくなるはずです。「ロボットが雇用を奪うのでは」という懸念もありますが、ロボットが人をサポートすると考えれば共存は十分可能です。
安全安心な食べ物を安定供給できる農業が成り立つことはもちろん、環境負荷が少ないことも大切です。より高度に、スマートに、低コストに、を実現した最先端技術の本格導入が可能になれば、農業が再び地域の基幹産業になることも夢ではありません。
山形大学 農学部 食料生命環境学科 准教授 吉村 謙一 先生
植物の研究の中でも、樹木の命のあり方や、生態などを研究する学問が、「樹木生理生態学」です。木がどのように生きて死ぬのか、木の健康状態は何によって決まるのか、といった疑問を解き明かすとともに、「樹木の町医者」となって樹木とその周辺環境との関係性についても深く突き詰めていく学問です。
野菜や稲などの研究は1900年代から行われてきましたが、樹木の研究はまだ歴史が浅く、1980年以降に本格化しました。北欧や北米など、気温の低い地域での研究が盛んですが、南北に長い日本は樹木の種類が多いことから、さらにさまざまな研究が行われています。
一見シンプルに見える樹木ですが、その機能や生態には解明されていないことが数多く残っています。例えば、これまで、幹の中を通る管に空気が入ると、木は枯れてしまうと考えられてきました。近年の研究で、その管の中から空気を追い出して、なんとか生き延びようとする力をもっていることがわかってきました。樹木は動物と違って、栄養を求めて移動することができないので、周辺の気温や日光の当たり方、土壌など、環境に合わせて変化することで生き延びてきました。その工夫の数々が、驚くほど多様な樹木の生態をつくりあげてきたのです。
二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化が進む昨今では、環境問題の分野でも樹木生理生態学への注目が高まっています。温暖化がより進行した未来に生きる樹木の生態はどのように変わるのか、また、光合成のために二酸化炭素を吸収する森林の機能は、地球温暖化によってこの先どう変化するのか、といった問いに答えることも、樹木生理生態学の大きな役割の一つです。多様性と不思議に満ちた樹木の生態や、変化し続ける環境との関係性を解き明かすことで、地球環境の未来に貢献する樹木生理生態学が果たすべき役割は、今後ますます大きくなっていきます。
高崎健康福祉大学 農学部 生物生産学科 教授 大政 謙次 先生
日本の国土はその多くを山林が占め、農地の面積は広くありません。北海道を除くと、農家1戸あたりの農地もほかの国々に比べて桁違いに小さいのが実情です。日本の限られた農地で競争力のある農作物を生産し、なおかつ収益性を高めるためには、情報ネットワークやロボットなどのテクノロジーを活用して、高度な自動化と高品質生産を実現する「スマート農業」の導入が不可欠なのです。
オランダの国土は、日本の九州とほぼ同じ広さしかなく、国土の約44%を農地が占めますが、それでも農地は日本の半分以下です。しかし実は、オランダは農産物輸出額では米国に次ぐ世界第2位の輸出大国なのです。それを可能にしている一つの例が、グリーンハウスと呼ばれる巨大な温室群で行われているスマート農業です。育てられているのは、トマト、キュウリ、パプリカなどの収益性の高い野菜と、観賞用の花卉(かき)などが中心です。グリーンハウス内では、温度などの環境制御はもちろん、作物の成育状況もセンサーで常時モニタリングされていて、最適な状態で出荷できるようにコントロールされています。例えば、ポット植えの花卉生産では、人間による作業が加わるのは、最初に種苗を植える時と出荷の際に搬出する時くらいで、栽培に関わる作業の約90%が自動化されています。
ほかの国々の場合、例えば台湾では、蘭の花の栽培農家などで、組織培養の段階から出荷に至るまで高度に管理された栽培方法が導入されています。中国でも近年、各地でスマート農業の導入が急ピッチで進められています。日本でも、グリーンハウスでの栽培システムの検討のほか、ドローンを活用して、稲などの成育状況を離れたところから調べるリモートセンシングを行ったり、ピンポイントでの農薬散布を行ったりする研究が進められています。日本のみならず、地球全体の未来を切り拓くための重要な手がかり、それがスマート農業なのです。
信州大学 工学部 機械システム工学科 准教授 山崎 公俊 先生
知能ロボットとは、まわりの状況を適切に理解し、適切に行動できるロボットです。例えば、タオルやTシャツなどを自動で畳むロボットがあります。このロボットは、センサを使って対象物の位置・形・大きさを認識し、つかむ位置や持ち方、作業手順を決めることができます。タオルの場合は、二等分線を両手でつまんで持ち上げる動作を二回繰り返すと四つ折りになります。ところが、つまむ位置や方向を変えると均等な四つ折りではなくなります。つまり、どう操作するかによって布の形はさまざまに変わります。そこで、さまざまな形から別の形を自在に作ることができるように、「ある形の布にある操作を加えると、どんな形になるか」を予測できる能力を実現しました。これには、AI技術の一つであるディープラーニング(深層学習)を利用しています。
衣類をたたむロボットは、生活支援や介護の現場で活躍することが期待されますが、シチュエーションや対象物が変われば、知能ロボットは別の役割を果たします。災害現場ならば、ロボットは倒壊した建築物の中に入って負傷者を捜索できます。農場であれば、野菜の収穫を行います。ホウレンソウやキャベツ、レタスなどの産地である長野県では、地元のニーズに応えた農業ロボットが開発されています。いずれのロボットも、センサでまわりを観測し、理解して動きます。つまり、認識・判断・行動を自己決定するという一連の流れは変わりません。
人間は、認識・判断・行動の速さや正確性を「学び」によって高めていくことができる賢い生き物です。同様の賢さをロボットにもたらすことができれば、ロボットの存在意義は高まります。人が一回やってみせれば、ロボットも同じ作業をできるようになることが一つの理想です。衣類をたたむ知能ロボットはまだ単純な作業しかできませんが、学習能力が高まれば、そう遠くない将来、ボタンはめなどのもっと複雑な作業もできるようになるでしょう。
水稲についての研究
農業を社会面から学べることに魅力を感じた。農業経営や政策などを学んだ上で集落営農や企業化など
新しく出来た学科で最先端の知識や設備で学べると思ったから。
高校で学んできた農業がまた学べるということに魅力を感じました。
送料とも無料
発送予定日: 本日発送発送日の3〜5日後にお届け
公園や庭のデザインをするランドスケープアーキテクトという仕事に就きたいと思っています。その夢を叶えるための教育環境が東京農業大学にありました。
農業という大きなくくりの中に細かくより専門的な内容に学科が分かれており、自分が学びたい内容を濃く学ぶことが出来ると考えたから。
将来自分の仕事に係る研究をしているから
自分が将来研究したい水環境の改善に関わる学科がある
料金(送料含) : 215円
発送予定日: 本日発送発送日の3〜5日後にお届け
秋田県立大学 生物資源科学部
高校で農業を学んで、農家を支える仕事や6次産業化について、更に深く学びたいと思ったから
最新の設備が整っていて、フィールドワークが多いことに魅力を感じたから