犬のストレスを見逃せない! そんな分野への挑戦
自分の体そのものが負担になっている犬
本来、犬はみな体重16キロ程度の柴犬のような姿をした生き物です。今日では大小さまざまな姿をした400を超える犬種が存在しますが、それらは、人間の手によって品種改良を重ねて生み出されたものがほとんどです。つまり、自然に生まれてきた姿ではないため、犬種によってはその不自然な体型や大きさ(小ささ)が原因で、呼吸器や関節などに大きな負担がかかっています。また、本来ならば季節に合わせ自然に生えかわり、長くならない毛もプードルに代表されるように伸び続け、人からのブラッシングやカットなどのケアを受けないと健康を保つことが困難な生き物となっています。
犬の「ストレス」に気づいていない飼い主
動物はしゃべって人に何かを訴えることができないので、人が知らないうちに動物に負担がかかっているケースは多くあります。例えば犬は、昔からペットとして人気のある動物ですが、飼い主が痛みのある飼い犬の「痛み」に気づいているケースは、実は50%程度という調査結果があります。このことは、犬がストレスを感じたときに出すサインについての知識を持っていない飼い主が多いことが考えられます。
犬を思いやることで生まれる学問
プードルなど毛の長い犬の毛をドライヤーを使用して乾かした場合、毛の先端の温度は67℃、毛の根元部分では62℃の空気の層が作られます。そして、62℃の空気の層が普段の温度に戻るまで10分程度時間がかかり、その間犬は過酷な熱さにさらされてしまいます。犬は暑さが苦手な生き物です。温風で乾かした後に、犬が「ハァハァ」と暑がっているようならば、冷風で毛の根元付近に溜まっている熱い空気を吹き飛ばしてあげると、犬のストレスや熱中症のリスクをすばやく下げることができます。こんな少しの犬を思いやる工夫をデータとしてまとめ、積み上げていく学問の面白さが、動物看護学にはまだまだあり醍醐味となっています。
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先生情報 / 大学情報
ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 動物看護学科 講師 福山 貴昭 先生
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