家電や自動車、鉄道システムを変革する「パワーエレクトロニクス」
電気を効率的に供給するパワーエレクトロニクス
冷蔵庫やエアコンなどの家電製品は、昔のものに比べて最近の製品の方が、消費電力が少なくなっています。こうした家電製品の省エネを可能にしているのが「パワーエレクトロニクス」という技術です。パワーエレクトロニクスは、半導体を用いて電圧や電流、周波数を自在に制御する技術です。
電気製品は、電力でモーターを回すことで作動しますが、古い製品は、電源とモーターを直接つないでいるだけなので、モーターの回転数を制御することはできませんでした。一方、最近の製品は、電源とモーターの間に半導体を使った回路をつけ、環境に応じてモーターの回転数を自由自在に変えることができるため、電気をより効率的に使えるのです。
自動車や鉄道など、あらゆる分野に浸透
パワーエレクトロニクスは、家電製品のほか、自動車や鉄道、産業機器など、あらゆる分野で利用されています。例えば、ハイブリッド車は、減速時のエネルギーを利用してモーターで発電しますが、アクセルやブレーキの踏み方でモーターの回転を自由にコントロールする部分に、パワーエレクトロニクスが使われています。また同様に、鉄道でも、電車のブレーキをかけた際にモーターを発電機として作動させ、発生した電力を架線に戻し、ほかの電車で使う仕組みが採用されています。これを可能にしているのも、パワーエレクトロニクスの技術です。
技術の進化には、半導体以外の要素の改良も必要
このようにパワーエレクトロニクスは、電気エネルギーの効率的な利用に欠かせない技術で、その要となるのが半導体であることから、新しい半導体の開発が積極的に進められています。しかし、技術の向上には、半導体以外の要素の改良も欠かせません。パワーエレクトロニクスの回路には、コイルやコンデンサも大量に使うことから、コイルの巻き方や使い方の見直し、コンデンサの長寿命化なども取り組むべき重要な課題となっているのです。
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