第4世代AIは「深層学習」と「クラスタリング」のいいとこどり?
人工知能イコール深層学習ではない
近年の深層学習は画像認識や自然言語処理などのタスクで人間以上の高い性能を示しており、ニュースなどで度々話題になります。しかし、AIイコール深層学習のように紹介されることが多く、誤解が生じています。深層学習は、ニューラルネットワークによる機械学習手法の一つで、「人工知能」という大きな枠組みの一部分でしかありません。実際には、人間のような意思決定を行うファジィシステムや生物の進化を模倣した進化計算、データから知識を自動的に抽出するクラスタリングなどさまざまな技術が含まれます。
クラスタリングの利点
「深層学習」でネット検索すると、丸と線で構成されるネットワーク図が出てくると思います。深層学習では、学習するデータに応じてこのネットワーク構造を決める必要があります。また、データの学習を終えたネットワークに後から新しい種類のデータを学習させると、学習済みのデータに関する知識が失われてしまう問題(破滅的忘却)があります。
一方で、データから情報を抽出する人工知能の一つに「クラスタリング」があります。クラスタリングとは、データ間の類似度に基づいて、データのグループ化やデータ間の関係性を抽出する手法です。特に、トポロジカルクラスタリングと呼ばれる手法は、ネットワーク構造を適応的に変化させることで、破滅的忘却をともなわずに情報の抽出と関係性の構築が可能である優れた手法の一つです。
第4世代のAI
現在、第4世代AIの実現をめざした研究開発が活発に行われています。探索ベースの第1世代、ルールベースの第2世代、そして、深層学習に代表される機械学習ベースの第3世代に続くものです。第4世代AIには、データから抽出した情報が持つ「意味」を状況や文脈に合わせて人工知能自身が判断し、知識として継続的に蓄積・活用する能力を求められています。第4世代AIの実現には、クラスタリングのように柔軟に情報を抽出する能力が必須であるため、今後のさらなる発展が期待されています。
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大阪公立大学 工学部 情報工学科 准教授 増山 直輝 先生
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