「スマートシティ」実現の鍵を握る、電力の制御技術

「スマートシティ」実現の鍵を握る、電力の制御技術

電力の有効活用で環境にやさしい街をつくる

「スマートシティ」という言葉を聞いたことがありますか。スマートシティとは、ITや環境技術を駆使し、地域全体で電力を有効利用することで、環境負荷の少ない都市を意味します。具体的には、地域内で発電した太陽光や風力などの再生可能エネルギーを電気自動車や蓄電池に貯め、使う場合は省エネ家電などで無駄なく使うことで、エネルギー効率のよい生活を実現し、温暖化ガスの排出を抑える都市のことです。

電力の流れを制御するパワーエレクトロニクス

スマートシティを実現する上で大きな役割を期待されているのが「パワーエレクトロニクス」です。パワーエレクトロニクスとは、半導体を用いて電圧や電流、周波数を自在に制御する技術のことで、電気の効率的な利用を可能にするものとして、すでに、鉄道やハイブリッド自動車、家電、産業機器など、さまざまな分野で利用されています。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、発電量が天候に左右されるため、その出力の制御が難しく、電力網に組み入れると、電力供給の不安定化につながると危惧されています。しかし、パワーエレクトロニクスを使えば、電圧や電流、周波数を自由に変えることができるため、不安定な再生可能エネルギーを制御することで、地域内での電力流通をより安定的かつ効率的に行うことができるのです。

新しい半導体や回路の開発が課題に

期待が集まるパワーエレクトロニクスですが、その活用にはまだ課題もあります。まず、パワーエレクトロニクスの要となる新しい半導体は開発されたばかりで、まだまだ改良の余地がたくさんあります。また、新しい半導体の性能を生かせる新しい電気電子回路の設計も必要になります。したがって、この技術を使いさまざまなタイプの電力をコントロールできるようになるまでには、もうしばらく時間がかかりそうです。しかし、いずれこうした技術が開発されれば、電力供給の在り方は、これまでと大きく変わることでしょう。

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東京都立大学 システムデザイン学部 電子情報システム工学科 准教授 和田 圭二 先生

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電気電子工学

メッセージ

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