電気エネルギーをより安く、安定的に供給するために!
電気を、安定供給するための技術
電気なしでは社会活動そのものが成り立たなくなるほど、現代社会は電気エネルギーに依存しています。晴れた日も、大雨の日も、年間を通じて安定的に電気が供給され、スイッチを入れたらいつでも電気製品が使える、そんな生活を守るため、電力各社は安定的で経済的な電力供給に努めています。そのための技術を研究する学問分野が、「電力システム工学」です。
常に変化し続けている「送電」の配分
我が国では、消費電力の7割強が火力、約1割が水力、残りの2割ほどが太陽光や風力による発電でまかなわれています。ただし、火力発電は、燃料に石油を使った場合は、石炭を使う場合よりコストが割高になります。また、水力発電は、タービンを回すための水を揚水している間は発電できません。太陽光発電は昼間しかできませんし、風力発電も風が止まったらストップします。もしも、日が暮れたとたんに電力が不安定になったり、電気料金が今の何倍も高くなったりしたら困るでしょう。そうならないよう電力会社は、複数の発電所の稼働率やエリアごとの電力需給状況を監視しながら、送電の配分を常にコントロールしているのです。
新しい電力供給の形「スマートグリッド」
大規模な太陽光発電設備は、陽ざしを遮る建築物が少ない海沿いや山頂などに作る必要があります。ただ、人があまり行き来しないような場所の設備ですから、遠隔監視で保守・点検できるような技術を確立しなければなりません。
一方、太陽光発電装置を備える一般家庭や地場企業などが増え、電気自動車など蓄電機能のある機器も普及し始めていることから、近い将来、町内や自治体単位で電力をやりくりする「スマートグリッド」が、本格的にスタートする見込みです。
この次世代送電網の中で、電気を上手にやり取りする制御技術の研究も急がれています。安価な電気を、安定的かつ継続的に利用できるよう、電力システム工学の研究範囲は年々広がっているのです。
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先生情報 / 大学情報
広島工業大学 工学部 電気システム工学科 ※2025年設置構想中 教授 久保川 淳司 先生
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