的確なシステムデザインは、自動化だけとは限らない!
自動化したのに効率化できない?
身の回りにある工業製品や、口にしている加工食品などの多くは、製造工程のかなりの部分を自動化した工場で、効率的に生産されています。しかし、自動化のためのシステムも、突然、思い通りに動かなくなることがあります。例えば、ちょっとした生産環境変化などで機械の調子が悪くなり、手作業で時間を費やしてバランス調整しなければならない場面も少なくありません。そこで現在、生産工学の分野では、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などの技術を活用して、生産現場の効率化を支援する研究が進められています。
機械同士がつながっていく
近年、「IoT」という言葉がいろいろな場面で使われるようになりました。わかりやすく言うと、あらゆる「モノ」にインターネット接続機能を持たせ、モノから得られた情報を集計したり分析したり、さらにほかのモノを制御させたりしようという技術です。例えば、機械の調子が悪くなる原因が温度変化だとわかっていれば、機械周辺に温度センサを設置し、調整が必要な温度になった時だけ担当者のスマートフォンに警報を送信するシステムが作れます。さらに、センサ側に温度によって機械を自動制御する機能を持たせれば、人間が介在しなくても、機械が安定して生産を続けてくれるでしょう。
システムをデザインすることの重要性
警報を送信するだけなら、センサにごく単純な仕組みを追加するだけで実現できます。しかし、複数の機械を協調させて自動制御できる機能を持たせようとすると、さまざまなセンサからのデータを正確に読み取り、調整範囲を人間のように加減できるシステムが必要です。とは言え、そこに莫大な開発コストが必要であれば、いくら生産効率を向上させても採算が合わなくなります。
工場によって、規模や製品の種類、効率を落としている原因などはそれぞれ異なります。そのため、それらを総合的に判断し、それぞれの生産現場にマッチしたシステムをデザインすることが必要なのです。
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広島工業大学 情報学部 情報マネジメント学科 ※2025年設置構想中 講師 神垣 太持 先生
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