自宅のトイレで糖尿病の検査ができる! 超高齢社会を支える研究
超高齢社会を支えるスマートセンシング
日本では少子高齢化が進んでおり、2050年には人口の約38%が高齢者になると予想されています。そのため健康寿命を伸ばして病院の手間を減らすことや、人手不足の解消などが必要です。将来的な課題に対処するために、スマートセンシングやロボット用センサの研究が行われています。
病院に行かなくても検査ができる
高齢者は治療のためだけでなく、検査のためにも頻繁に病院に通います。検査だけでも自宅でできるようになれば、高齢者も医療従事者も、その労力を削減できるでしょう。そこで自宅のトイレでも簡単に糖尿病の危険度を診断できる、光尿糖センシングを開発しています。トイレに取り付けた光センサとレーザーを使って尿に混じった糖の濃度を検出し「今日は医者に行くべき」などの判断基準にするのです。
糖には、特定の光の波長を吸収する特性があります。つまり糖が多いと尿から跳ね返ってくる光が弱くなるのです。また、液体内の糖濃度が高いと光の屈折率は大きくなります。これらの特性を利用すれば、尿に混じった糖の量をセンサで推定できます。計測結果を病院と患者のスマートフォンに送れば、毎日手軽に検査することが可能です。
人手不足を解決するために
ほかにも高齢化による労働人口不足を補うため、将来はロボットの導入がさらに進むはずです。屋外だけでなく屋内でもロボットを安全に使うためには、自己位置を正確に把握して、自在に移動できる工夫が必要です。しかしロボットに大量のセンサを取り付けると開発コストが高くなってしまい現実的ではありません。そこで建物にウルトラワイドバンド(UWB)の無線機を取り付け、ロボットには受信機だけを組み込む方法が研究されています。UWBは最近のスマートフォンにも使われており、数十センチ単位で物の位置を計測可能です。このように建物に工夫を施しロボットと共存しやすい環境を整備する研究は、今後も重要になると考えられています。
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広島工業大学 情報学部 情報工学科 教授 大谷 幸三 先生
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