電子機器を、電源の制約から自由にする技術とは
年々集積度が上がるLSI
パソコンやスマホには、「LSI」と呼ばれるチップが入っています。数ミリ角のチップ中には何万、何百万ものトランジスタという半導体部品が組み込まれています。このLSIは年々トランジスタが微細化され、集積度が上がっています。電子機器が小さく薄くなり、さらに性能が上がるのはそのためです。LSIの集積度が上がることで、スマホやタブレット型パソコンが小型化され、どこでも使用できるようになってきました。
消費電力を抑えて使用時間を延ばす
電子機器がどこでも使用できるようになると問題になるのが電源です。便利な機器も使用時間が限られると魅力半減です。使用時間を延ばすための技術が必要になってくるわけです。トランジスタの微細化はそれだけでも消費電力の低下につながりますが、集積される回路の構成を工夫することでさらに消費電力を下げることができます。消費電力を下げることは熱の問題も解決します。昔のノートパソコンはファンが付いていましたが、最近では消費電力が少ないためその必要がなくなりつつあります。ファンを必要としないことも、薄く、静かなモバイル端末を実現するうえで非常に役に立っています。
環境エネルギーを電気に変える
さらに先進的な技術として、自ら発電し、独立して動くモバイル端末も開発されています。音や光、振動などの環境エネルギーを取り込み、電源として使用します。この技術は「エネルギーハーベスト」と呼ばれ、実用化が進めばあらゆる電子機器から電源配線が無くなり、モバイル端末を充電する必要がなくなります。しかしまだまだ利用できるエネルギーは小さいため、小さな電力で動作するLSIが必要になります。エネルギーハーベストやLSIの低消費電力化といったさまざまな技術により、電子機器は今後ますます場所や時間の制約から自由になっていきます。場所や時間の制約から解き放たれた電子機器が人々の生活をより幸せで豊かにしていくことは言うまでもありません。
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先生情報 / 大学情報
広島工業大学 工学部 電子情報工学科 電子情報工学コース ※2025年設置構想中 教授 升井 義博 先生
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