固体の中をイオンが進む! 次世代を担う全固体電池の開発
固体なのにイオンが通る
充電して繰り返し使えるリチウムイオン電池は、スマホやノートパソコン、ゲーム機、電気自動車など身の回りのさまざまなものに使われています。非常に便利なリチウムイオン電池ですが、電解質として可燃性の液体が使われていることから、液漏れや発火の可能性がゼロではありません。そこでより安全な次世代の電池として注目されているのが、固体の電解質を使った「全固体電池」です。最近、電解液に匹敵する、あるいは凌ぐ速さでイオンが移動できる固体電解質材料が見つかったため、全固体電池の開発が加速しています。固体電解質の材料のひとつはガラスを結晶化させたガラスセラミックスで、外部から入ってきたリチウムイオンが通過できるような結晶構造を持っています。
全固体電池のメリット
固体電池はリチウムイオン電池に比べて燃えにくく、もちろん液漏れもしません。また、電解液の場合、リチウムイオンの移動は全体の30%程度です。それに対して固体電解質ではリチウムイオンだけが、効率よく、すばやく移動します。この特徴を最大限に引きだせれば急速充電が可能なので、電気自動車への利用が期待されています。また、全固体電池は従来とは違った構造やまったく新しい電極材料の使用が可能なので、蓄電量が大幅に増える可能性が期待されます。さらに、高温・低温など過酷な状況でも使用できるので、宇宙空間でも活躍できるでしょう。
大きな全固体電池の実用化へ向けて
小型の全固体電池は実用化されつつありますが、ためておいた電気を停電時に多くの世帯へ供給できるような大きな全固体電池の実用化はこれからです。ただしこのような大きな電池についても、安全性や長期耐久性の面から全固体電池にメリットがあります。
研究では、電池の材料を作るところからはじめ、電池を組み立てて性能を評価し、課題があればそれを解決するというサイクルを繰り返しながら、全固体電池の実用化をめざしています。
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