楽器もスマホに生まれ変わる? 資源を守るリサイクル技術
楽器にはどのような金属が使われているの?
音楽の授業やスポーツの応援などで使われている楽器は、どのような素材でできているでしょうか。例えば、大きな音を響かせるシンバルは、青銅でできています。青銅は、銅とスズとの合金で、「奈良の大仏」など昔からいろいろなものに使われてきました。シンバルの種類には「シートシンバル」と「キャストシンバル」があります。これらを工学の立場から見ると、合金の「組成」や「硬さ」が違います。シートシンバルはスズの量が数%と少なく、柔らかい合金なので、合金の板を型抜きして成形します。一方、キャストシンバルに使われる合金は、スズを約20%含みます。こちらは硬いため板からの加工が困難で、溶かした金属を鋳造(ちゅうぞう)して作ります。合金の組成によって音が変わるだけでなく、作り方も変わるのです。
鉱物資源には限りがある! じゃあどうする?
人間は昔から鉱石を製錬し、金属を作ってきました。しかし、優良な鉱石から採掘された結果、現在採掘できる鉱石は有用な金属の含有量が少なくなっています。銅の鉱石についても、昔は国内各地の銅山で採掘していましたが、今は輸入に頼っています。地球上の限られた鉱物資源を有効活用するためにはどうすればよいでしょうか。そこで重要になるのが、一度使った金属を再生するリサイクルです。現在は、鉱石と一緒にスクラップを処理する製錬技術をはじめとして、環境や資源の保護に配慮したさまざまなリサイクルの方法が研究されています。
身近な金属もリサイクルされている
私たちの身の回りで活躍する金属もリサイクルされています。例えば、信号機の柱やトタン屋根、車のボディなどをさびにくくするために鉄の表面に塗られている亜鉛です。このような部品のスクラップから鉄をリサイクルする際には高温で溶かしますが、このときに亜鉛を含む物質も一緒に発生します。これを製錬所で処理すれば、再び亜鉛として利用できます。今ある資源を、どう大切に活用していくか、金属のリサイクルはますます重要になってきます。
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先生情報 / 大学情報
愛媛大学 工学部 機能材料工学科 准教授 佐々木 秀顕 先生
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