高圧状態でできる軽くて強いマグネシウム合金の可能性は?

高圧状態でできる軽くて強いマグネシウム合金の可能性は?

身の回りの「機械」を支える物質科学

「機械」は、エンジンや、コンピュータでの制御、形をデザインするために必要な材料の力学といった幅広い分野の知識と技術をもとにつくられています。そのうちの一つが、機械にとって、優れた機能を持つ物質を探究する「物質科学」です。機械の実力の向上には、使われている物質(材料)の性能をどこまで上げられるかにかかっています。

高圧下で新しい構造を持った材料をつくる!

新しい材料をつくる方法の一つに、材料に高い圧力をかける方法があります。1気圧の状態から圧力を加えていくと、密度が高くなり、結晶構造が変わります。代表的な例がダイヤモンドです。ダイヤモンドはいわば炭素の塊であり、木炭と同様ですが、見た目は大きく異なります。炭素は高温・高圧状態でダイヤモンドへと変わります。つまり地中の深いところで形成され、そこからものすごいスピードで地上に上がってくることで、結晶構造を保ち、あの輝きと硬さを得ます。このように、それまでとは違った環境に置かれることで、機能や構造、強度が違う材料ができるのです。

強いマグネシウムや割れにくいセラミックス

物事は一長一短あるのが普通です。軽ければ強度が低い、硬いものはもろい、これが常識です。この常識を覆す研究をしています。注目している材料に、「マグネシウム合金」があります。マグネシウムはプラスチック並みに軽い金属です。軽いけれど強度が低くて、機械には使われてきませんでした。しかし近年、開発が進み、海外では車に使われはじめ、飛行機への利用も視野に入れた研究が進められています。高圧を利用して、これまでの限界を超える高強度マグネシウム合金をつくる研究を進めています。また、硬さと割れにくさを両立するセラミックスの開発が高圧を利用して行われています。このような材料の進化が、機械の進化を支えています。

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先生情報 / 大学情報

愛媛大学 工学部 機械工学科 教授 松下 正史 先生

愛媛大学 工学部 機械工学科 教授 松下 正史 先生

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材料工学、機械工学、物質科学

メッセージ

機械工学科は、飛行機からロボットまで、さまざまな機械をつくるために必要な知識を総合的に学ぶことができる学科です。産業の基盤となる学問分野のため、卒業後も勉強したことを生かせる専門職に多くの学生が就職しています。高校の科目で置き換えるならば、物理や数学の延長です。どちらかというと物理や数学が好きな人、自動車、航空宇宙やロボット産業に携わりたいという人は、ぜひ、機械工学について調べてみてください。カバーする範囲が広い学科のため、自分に合った分野を見つけられるかもしれません。

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愛媛大学は、「学生中心の大学」の実現をめざして、学生の視点に立った改革を進めています。そして、すべての学生が入学から卒業までの過程で、自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得することをめざしています。そのため本学では、正課教育のほか、正課外のサークル活動(正課外活動)やボランティア活動、留学、下級生への学習支援(準正課教育)等を通じ、その能力を磨くための多くの機会を設けています。あなたの可能性が広がる学び舎、それが愛媛大学です。