謎に満ちた無限の和や素数を読み解く「ゼータ関数」
「バーゼル問題」とは
1を1²で割った数、1を2²で割った数、1を3²で割った数……と平方数の逆数を無限に足していくとどんな数になるのか、という問題を「バーゼル問題」といいます。答えはなんと円周率π²を6で割った数になります。この問題を初めて解いたのは、18世紀のスイス生まれの数学者、レオンハルト・オイラーです。さらにオイラーは、2²を2²-1で割った数、 3²を3²-1で割った数、5²を5²-1で割った数……という素数ごとに決まる数を無限にかけていくと、それが先程の無限和と等しくなることも発見しました。
素数とは、1より大きく1と自分自身でしか割り切れない整数のことです。それは2、3、5、7、11……ととても不規則に、かつ無限に連なっていきます。理論が支配している数学の世界において、素数はとても異質な存在で、多くの数学者たちを引き付けてきました。
リーマンが生み出した「ゼータ関数」
19世紀、ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンは、バーゼル問題に現れた無限和を拡張した「ゼータ関数」という関数を考えました。そしてリーマンは、オイラーの研究を複素関数論という新しい手法を用いて発展させました。
ゼータ関数は、素数の謎を解明するために研究されています。一方でゼータ関数は、難解だが美しい性質を持つということから、インターネットのセキュリティなどで用いられる暗号への応用も期待されています。
リーマンが残した大きな謎
2000年にアメリカのクレイ数学研究所は、「ミレニアム懸賞問題」と称して数学の7つの重要な未解決問題それぞれに対して100万ドルの懸賞金をかけました。その中にはリーマンが提唱した「リーマン予想」という問題も含まれています。これは「ゼータ関数の非自明な零点の実部はすべて2分の1である」というもので、世界中の数学者が長年挑戦し続けていますが現在もなお解決には至っていません。リーマン予想が解ければ数学の歴史が変わる、といっても過言ではありません。
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愛媛大学 理学部 理学科 数学・数理情報コース 教授 山﨑 義徳 先生
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