波や風があっても大丈夫! 海上でロボットを制御する方法とは
揺れる海の上でのロボット制御
ロボットや機械の多くは地上で使われます。海上で使うロボットを制御するシステムはまだ発展途上にあります。例えば海底油田の採掘といった海洋開発を行う際、作業現場として「海洋プラットフォーム」という構造物を設営します。海には波があり、海洋プラットフォームは常に揺れています。加えて、海上は強風が吹くこともあります。前後左右上下に揺れ動くこうした場所でのロボットの制御は、格段に難しいのです。
問題によって座標軸は変わる
揺れる海上でロボットを制御する際、問題によって設定する座標軸は変わります。海洋プラットフォーム上での作業を行う場合は、プラットフォームに固定した座標軸を基準に、海洋観測機器の海中での深度などを制御する場合には、座標軸を海底、つまり地球に設定する問題として制御することになります。
波や風は、大きさも向きも常に変化します。その不確かさを含めてどのような動きになるかを大きく想定し、多少異なっても対応できるようにします。これを「ロバスト制御」といいます。あるいは、状況に応じてその場で制御方法を変える「適応制御」という方法もあります。ロボットの形状や仕組み、使用する場所によってこうした制御を使い分けるのです。制御方法を考え、それを数学的に検証したうえでシミュレーションし、実験できるものは実験を行い、その設定で安定するかどうかを確かめていきます。
増加する海洋開発で求められる技術
今、海洋資源採掘や洋上風力発電といった、海洋開発の現場は増えつつあります。制御が難しいため、アームロボットやクレーン、水中ドローンなどの操作は、オペレーターという技術職、つまり人間が行っています。もし無人でロボットや機械が作業を行うようになれば、より安全な現場となり、生産性や作業効率も向上するでしょう。そのためにも、海上での制御システムの確立が求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
東京海洋大学 海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授 戸田 勝善 先生
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