モノに命を吹き込む! ~未来づくりに欠かせない「制御工学」~
ロボットに必要な動きを与える
「システム制御工学」とは、モノに動きを与える、言い換えれば「モノに命を吹き込む」研究分野です。例えば、ロボットにどうやって動きを与えるのかを考え、システムを開発します。人間なら目や耳、鼻、皮膚といった感覚器から入ってくる情報を利用して、どう動くか、どれぐらいの力を入れるか、といった信号が脳から出され、骨や筋肉が動きます。ロボットを人間のように自由自在に動かすには、今どのような状態なのかを適切に把握し、それに対応して必要な動きができるようなシステムを設計しなければなりません。
人とモノが安全に協働するために
工場などでは人とロボットが一緒に作業をする機会が増えています。しかしロボットと協働する場面では、必ずロボットの動きに制約を与えなければ、作業者が危険にさらされてしまいます。例えば、「ロボットが作業者にぶつかってこないようにする」「想定した範囲内での動きにとどめる」といった「制御」が必要なのです。
モノを動かそうとするとき、事前に状態の変化や次の動作が予測できれば、その情報を利用してスムーズな動作ができます。このように予測情報を使って、モノが滑らかに動き、変化に素早く対応できるようにすることを「予測制御」といいます。また、予想外の変動に対しても、混乱することなく安定的な応答を可能にする制御のことは「ロバスト制御」といいます。ロバストとは「頑強な」という意味です。
制御の仕方でモノのキャラクターは変わる
このようにモノの「運動神経」をよくする、安定的に動くようにするなど、モノをどう制御するかによって、モノの「キャラクター」にも違いが表れます。現在、システム制御工学は、ディーゼルエンジンの排出ガス対策や、鉄鋼の製造システムのコントロールなど、さまざまな場面で応用されています。どのような制御をすれば私たちの社会に役立つモノやシステムがつくれるのかという研究は、未来を切り開いていく上で欠かせない研究なのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 システムデザイン学部 機械システム工学科 教授 児島 晃 先生
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