ガーネットを解析するとプレート運動の謎が解明される!?
固体のまま数百万年かけて別の鉱物ができる変成岩
地球は岩石でできています。その岩石は大きく3種類に分けられます。砂や泥、生物が積み重なってできる「堆積岩」、マグマが固まってできる「火成岩」、そして、堆積岩や火山岩が徐々に再結晶してできる「変成岩」です。
その中の変成岩は、溶けることなく固体のまま、高圧や高温の環境下に何百万年も置かれることで、成分や原子のつながり方が変化し、異なる鉱物になったものです。鉱物の中で美しい色や硬さを持った大きな結晶は、宝石として珍重されています。
宝石「ガーネット」も変成岩にできる鉱物の一つ
変成岩の研究でよく取り上げられる鉱物が、1月の誕生石になっている「ガーネット」で、和名では「ザクロ石」と呼ばれています。ザクロ石は400度を超えるくらいの環境下でできると考えられていますが、どのように結晶が成長していくかなどは、まだ不明な点も多いのです。そこで、小さな結晶のザクロ石を調べて、再結晶プロセスを解明しようという研究が進んでいます。
地震やマグマの現象の解明にもつながる!?
埼玉県の秩父・長瀞(ながとろ)地方では、50ミクロン(0.05ミリ)前後の、顕微鏡でしか観察できない極小さなザクロ石の結晶がたくさん見つかります。これは、再結晶が始まったばかりの状態だと考えられます。この結晶の形を調べたり、結晶の中心と外側でマグネシウムや鉄などの成分量の違いを調べたりすることによって、結晶が成長する条件などを推測していきます。その過程で、水が氷の結晶になるときの過冷却、つまり0度以下でも凍らず、刺激を与えると一瞬で氷になるような現象が起きているのではないかという仮説も浮かんできました。
また、ザクロ石が再結晶する際、化学反応の過程で水(H₂O)を放出することがわかっています。地中の水分の存在は、地震やマグマのでき方などにも影響します。そのためザクロ石の研究は、ほかの分野の問題の解明に貢献することになる可能性があるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
国士舘大学 理工学部 基礎理学系 教授 乾 睦子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
地球科学、変成岩岩石学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?