石は地球の覗き窓

石は地球の覗き窓

地球は石でできた惑星

地球の体積の80%は石でできています。火星・金星・水星も同じく石からできていて、これらはまとめて岩石惑星と呼ばれています。地球が誕生してから約46億年、その悠久の歴史の中で地球は絶えず変化してきました。地球をつくっている石には、そんな地球の変化の歴史が刻まれています。

石の種類について

石は、「火成岩」「堆積岩」「変成岩」の3種類に分類されます。火成岩はマグマが冷え固まってできた石、堆積岩は砂や泥、生物の遺骸が海や湖の底に溜まってできた石、変成岩はもともと石として存在していたものが大きな圧力や熱によって変化した石を指します。これらの3種類の石それぞれが、地球の歴史を知る上でたいへん重要な手がかりを提供してくれます。

すべての石は地球の情報源

マグマが冷え固まってできた火成岩の多くは、マグマのできるもとになるマントル物質が上昇する場所でできています。つまり火成岩は、地球内部の物質の動きを私たちに教えてくれる覗き窓の役割を果たしています。堆積岩は地球の表層でできたもので、どんな環境で何が溜まってできたのか、そのときの気候や温度、酸素の量などの情報を知らせてくれます。さまざまな時代の堆積岩を調べることで、過去の地球の酸素濃度変化を推定することもできます。変成岩の多くは、プレート(地球の表層部を形成する厚さ約100kmの硬い岩盤)がもう1つのプレートの下へ沈み込む場所(沈み込み帯)でできます。沈み込み帯ではさまざまな地殻変動が起こっています。ということは、変成岩の分布を調べることで、過去のプレート運動や地殻変動の歴史を知ることができます。
石はどこにでもあるありふれたものですが、どの石も1つの例外もなく、過去のある時点で地球のどこかでできたものであり、その石ができたときの情報を持っています。知識をもって見れば、あなたの足下に転がっている石のすべてが、地球の内部や過去の営みを教えてくれる貴重な存在になるのです。

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京都大学 総合人間学部 地球・生命環境講座 教授 小木曽 哲 先生

京都大学 総合人間学部 地球・生命環境講座 教授 小木曽 哲 先生

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地球科学

メッセージ

地球科学は、時代が進めば進むほど幅広い知識が必要になる分野です。ですから高校生のうちは基礎的なことを幅広く勉強しておくといいと思います。例えば、地球環境問題をテーマに学ぶとき、社会学や政治学なども密接に絡んでくるなど、多様な知識が必要になります。そしてその傾向は今後ますます強くなっていくでしょう。地球科学に限らず、学問の枠組みは時代とともにどんどん変化しますから、文系だとか理系だとかの枠にとらわれないで、いろいろなことに興味を持つことが大切だと思います。

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