花崗岩から大陸の形成・進化を探る
大陸を作る主要な岩石の花崗岩
建築物などの石材として身近な花崗(かこう)岩は大陸を作る主要な岩石です。したがって、花崗岩の研究は大陸の形成過程や地球史46億年における大陸の進化の解明につながります。
水の惑星、地球ならではの花崗岩
花崗岩のでき方は場所によりさまざまですが、日本を例にみてみましょう。日本には海洋プレートが沈み込んでおり、このときに海水の「水分」が潜り込みます。これが重要です。水分は岩盤の融点を下げる添加剤となり、地下のマントルを溶かしてFeやMgに富む玄武岩マグマを発生します。このせいで日本は火山国なわけです。一方で、一部のマグマは噴出せずに地下30kmあたりの日本の下部に張り付きます。この張り付いた玄武岩は、マントルから追従してくる玄武岩マグマより熱と水分をもらいながら再び溶けるのです。この玄武岩の溶融でできたマグマが花崗岩になると考えられています。ただし、花崗岩は玄武岩のようにいつでも形成するわけではなく、あるとき大量に作られて大陸を生産しているようです。まだまだ謎が多いのです。
花崗岩には水分を含む鉱物(黒雲母や角閃石)が普遍的に含まれており、そのでき方に「水」が重要とわかります。地球では花崗岩が大陸の主要岩石としてどこにでもみられますが、ほかの惑星ではほとんど見つかっておらず、水の惑星にしかない特別で面白い岩石なのです。
人々に役立つ地球科学
地球科学でも特に地質学(Geology)は社会や経済にとても重要です。社会の基盤をなす道路・鉄道・電力施設・ダムの整備、人々に計り知れない大ダメージを与える土砂災害・火山噴火・地震・津波への対策、そして経済発展の鍵を握る天然資源の獲得、これらへの挑戦には最先端の地質学が欠かせません。理学分野でありながら、その知識や調査技術は、地盤調査、防災調査、資源探査に直結します。地球科学は過去を追いかけて地球の仕組みを明らかにすると同時に、その知見で人々の未来を支える学問でもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
島根大学 総合理工学部 地球科学科 教授 亀井 淳志 先生
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