キッチンから宇宙まで、この世は鉱物に溢れている
「石」や「砂」の名称や区別
日常的に目にする「石」や「砂」、これらは厳密に言うと「鉱物」「結晶」「鉱石」に区別されています。鉱物は天然でできた固体、結晶は原子配列がきちんと並んでいる物質、鉱石は資源となる鉱石鉱物でできた岩石のことを指しています。また岩石を構成している色の違う粒や、私たちが「砂」と認識しているものも一粒一粒が鉱物なのです。
遠いようで近い存在
「鉱物」「結晶」「鉱石」は、ゲームやアニメなどにも頻繁に登場します。あるオンラインゲームでは獲得アイテムの名称に、実在する鉱物の名前が使われています。アニメで言えばジブリ作品などで、製鉄場や鉱石の採掘場が描かれていることがあります。
さらに家庭のキッチンにも鉱物や結晶は存在しており、その代表格が「塩」や「砂糖」、「うま味調味料」です。薬も有効成分を結晶化したものです。鉱石鉱物は金属や非金属の資源として、スマートフォンなどの部品、パソコン、化粧品やお皿などに使用されています。
鉱物は年に100種類以上新たに発見されています。そうした新しい鉱物、あるいは昔から存在を知られていた鉱物の性質や構造をひも解くことで、新たな材料としての可能性が見つかることもあります。
鉱物を通して地球と宇宙を知る
現在認められている鉱物種は6,000種程度あります。一人の研究者がそれらすべてを追うことは不可能なため、それぞれがテーマを持って研究を進めています。例えば、鉱物は存在できる圧力や温度条件が決まっているので、鉱物を使って岩石や惑星の形成条件を知るための温度・圧力計が開発されています。さらに地球上に存在する鉱物だけでなく、隕石(いんせき)から発見される鉱物なども研究対象となっています。隕石中に存在する鉱物を丁寧に観察・記録することで、地球に「ある」と予測されていたけれど見つかっていなかった鉱物が発見されることもあります。このように、私たちが「石」「砂」と認識している「鉱物」は、実はとても広い世界を持っているのです。
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金沢大学 理工学域 地球社会基盤学類 助教 濵田 麻希 先生
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