講義No.04956 歯学

歯科医院だけじゃない、歯科衛生士の活躍の場

歯科医院だけじゃない、歯科衛生士の活躍の場

広がる歯科衛生士の活躍の場

予防歯科先進国と言われるアメリカやスウェーデンでは、予防処置のプロフェッショナルである歯科衛生士の活躍の場は広く、歯科衛生士が独立開業し、地域住民の口の中の健康維持・増進に大きく貢献しています。日本では、歯科衛生士は歯科医とチームで予防処置などを行っています。口の中の健康が全身の健康にも影響を与えることが認識されるようになり、歯科衛生士の活躍の場が広がっています。

歯科衛生士の主な業務

歯科衛生士の主な業務を紹介します。1つが、歯科の二大疾患である虫歯と歯周病を防ぐ予防処置(プロフェッショナルケア)です。歯垢(プラーク)や歯石などの口の中の汚れを取り除き、フッ素を塗って歯を丈夫にするのが代表例です。2つ目が、歯科診療の補助業務です。歯科診療は「チーム医療」で、歯科医と歯科衛生士が一緒に診療に取り組みます。歯科衛生士は、予防処置の専門家として歯科診療を支えるだけではなく、近年は、医療分野でも口腔ケアの重要性が認識され、医師や看護師ともチームを組む機会が増えています。3つ目は、保健指導です。虫歯や歯周病は生活習慣病で、食生活を整えたり、歯磨きを習慣づけたり、患者さん自身によるセルフケアも、予防処置と並んで重要で、その改善のための保健指導を行ったりするのも歯科衛生士の大切な業務です。保健所・保健センターでの保健指導や、学校や地域の施設を訪問して指導を行うこともあります。

高齢者の健康を支える歯科衛生士・歯科技工士

人は、年を重ねるにつれてかんで飲み込む(咀嚼嚥下:そしゃくえんげ)力が弱っていきます。口の中が清潔でないと、繁殖した細菌が誤って気管に入り、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすことがあります。高齢化の進展とともに、高齢者施設などで、歯科衛生士による口腔ケアが、歯科技工士と歯科医がチームで作製するよくかめる入れ歯とともに求められるようになってきています。世界が認める匠の技ですが、日本人の匠の技は歯科技工でも世界的に認められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 教授 品田 佳世子 先生

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 教授 品田 佳世子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

歯学、口腔保健学

先生が目指すSDGs

メッセージ

歯科衛生士の活躍の場は、歯科医院だけでなく、歯科病棟や高齢者施設などへと広がりを見せています。こうした場では、口の中のみならず、全身や社会についての幅広い知識が求められます。東京医科歯科大学では、歯科衛生士および歯科技工士を教育する数少ない国立大学の一つとして、4年間かけて幅広い分野を学ぶことができます。また、医歯学系総合大学院大学として、医学部や歯学科と合同で症例検討実習を行っています。入試も入学後も勉強は大変かもしれませんが、その分だけ力がつきます。ぜひ本学に挑戦してください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京医科歯科大学に関心を持ったあなたは

東京医科歯科大学は、医学・歯学・保健衛生・口腔保健からなる医系総合大学であり、高い倫理観を備えた医療人を養成します。社会の要請に応え得る医師、歯科医師、コ・メディカルスタッフの養成は勿論、世界の第一線で活躍し得る研究者、指導者の育成を目指しています。したがって、大学は勉強するところではなく、勉強する方法を自ら学び、自律するための場であるとの認識を学生諸君に徹底しています。