講義No.04975 歯学

治療から予防へ~歯を失わないために~

治療から予防へ~歯を失わないために~

歯を削ることは歯を失うことにつながりかねない

歯は、削らないのが一番です。虫歯になると、歯を削って詰め物をしますが、詰め物は、時間の経過とともに劣化していきます。詰め物の劣化に気づかずにいると、そこに歯垢(プラーク)がたまって虫歯がひどくなり、神経をとらなければならなくなるかもしれません。神経をとったあとに冠を被せても、隙間から虫歯菌が入り込むことがあります。そうすると、冠の下で歯が虫歯菌に侵蝕され、歯は根っこの部分だけになってしまいます。ここまでくると、歯を抜くしかありません。このように、歯を削ることは、いずれは歯を失うことにつながりかねません。歯を削らないようにするには、虫歯にならないようにするしかありません。治療から予防へ、歯も、体と同じく、病気にならないようにすることが大切なのです。

プロフェッショナルケアとセルフケア

予防には大きく2つの種類があります。1つが、予防処置の専門家、歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアです。歯垢や歯石などの汚れを取り除き、フッ素を塗って歯を丈夫にするのが代表例ですが、それだけではじゅうぶんな予防とは言えません。口の中の健康は、生活習慣に大きく左右されるからです。食生活を整え、正しい方法で歯を磨く習慣を身につける、日々のセルフケアも必要です。この両輪が、歯と口の中の健康を保ちます。なお、歯科衛生士はセルフケアの改善指導も行っています。

幼少期の予防が肝心

予防は最初が肝心です。幼少期の予防が、大人になってからの口の中の健康を左右します。歯磨きや食生活についてじゅうぶんに指導すること、それを、保護者にも理解してもらうことが大切です。
よくかめることは健康や生きがいのもとです。一生、なんでも食べたいものをおいしく食べられることは、幸せです。自分の歯でかめることが一番ですが、歯科技工士の作る入れ歯でよくかめることも大切です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 教授 品田 佳世子 先生

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 教授 品田 佳世子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

歯学、口腔保健学

先生が目指すSDGs

メッセージ

歯科衛生士の活躍の場は、歯科医院だけでなく、歯科病棟や高齢者施設などへと広がりを見せています。こうした場では、口の中のみならず、全身や社会についての幅広い知識が求められます。東京医科歯科大学では、歯科衛生士および歯科技工士を教育する数少ない国立大学の一つとして、4年間かけて幅広い分野を学ぶことができます。また、医歯学系総合大学院大学として、医学部や歯学科と合同で症例検討実習を行っています。入試も入学後も勉強は大変かもしれませんが、その分だけ力がつきます。ぜひ本学に挑戦してください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京医科歯科大学に関心を持ったあなたは

東京医科歯科大学は、医学・歯学・保健衛生・口腔保健からなる医系総合大学であり、高い倫理観を備えた医療人を養成します。社会の要請に応え得る医師、歯科医師、コ・メディカルスタッフの養成は勿論、世界の第一線で活躍し得る研究者、指導者の育成を目指しています。したがって、大学は勉強するところではなく、勉強する方法を自ら学び、自律するための場であるとの認識を学生諸君に徹底しています。