歯科矯正で「食べる」や「話す」の機能を回復!
体調不良は歯並びのせいかも
歯科矯正の目的は歯並びを良くすることです。歯並びが悪いと上手に歯磨きできず、虫歯になる確率が高くなるほか、咬み合わせの悪さが正しい咀嚼(そしゃく)を阻み、体の不調を引き起こす原因にもなるのです。歯の矯正は子どもの頃に行うものというイメージがありますが、大人の歯科矯正も一般的になりました。また、口唇裂(こうしんれつ)・口蓋裂(こうがいれつ)という疾患のある場合は、個人の発育状況を考慮しながら、最適な時期に最適な治療が、生後すぐから成人するまで続きます。
口の機能改善でQOLは向上する
日本では500~600人に1人の割合で口唇裂・口蓋裂の患者さんがいます。口や歯に異常があるため、「食べる」や「話す」といった日常生活に欠かせない機能が十分に果たせません。また口元の変形は見た目にも影響を及ぼし、コンプレックスになってしまうこともあります。裂の場所によって必要な治療法は変わりますが、こうした問題を解決するために、歯の矯正はもちろん、口腔外科や形成外科などとチームを組んで、歯を支えるあごの骨や、顔そのものの歪みを改善する手術なども行います。食べたり話したりする機能の改善は、患者さんのQOL(生活の質)を向上させ、見た目という心理社会的(サイコソーシャル)な問題解決にもつながります。
遺伝子レベルで発症を防げ!
口唇裂・口蓋裂が発症する詳しい原因はまだわかっていませんが、口や歯の成り立ちや、成長に関与する遺伝子が影響していると考えられています。また、妊娠中のアルコールやタバコの摂取といった環境要因も可能性として挙げられています。動物実験による基礎研究では、細胞を変異させる原因遺伝子がたくさんあることはわかっています。臨床における治療法の進歩は目覚ましいものがあります。今後、遺伝子のゲノム解析や分子経路の研究が進み、原因遺伝子を特定できれば、変異する前に投薬し、発症そのものを未然に防げるようになるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
大阪大学 歯学部 顎顔面口腔矯正学講座 教授 山城 隆 先生
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