研究者としての臨床検査技師~微生物検査の最先端を科学する~
検査を担当する専門医療人
臨床検査技師は、病院で患者さんと直に接する検査や患者さんから採取された血液や尿などの検体を検査し、分析する仕事をしています。また、患者さんの感染症予防に関わる感染制御チームや、栄養管理に関わる栄養サポートチームなどで、医師、看護師、薬剤師などと一緒にチーム医療の一端を担っています。このほか、専門的知識と技術を生かし不妊治療や医薬品の治験に関わる臨床検査技師もいます。
遺伝子検査で大幅に検査時間を短縮
臨床検査技師がおこなう検査の1つに、感染症を疑う患者さんに対してどのような病原体がいるかを明らかにする「微生物検査」があります。例えば結核か否かを検査したい場合、検体に結核菌の遺伝子が含まれているかどうかを分析する「遺伝子検査」が用いられます。結核菌の遺伝子が見つかれば結核と診断されるわけです。
この検査法は3時間程度で結果がわかります。従来の結核菌を培地で発育させる培養法では、2週間以上かけて菌を発育させなければ判定できないところ、この検査法を用いれば結核と診断されるまでの時間を大幅に短縮することができます。このように「遺伝子検査」は迅速性に非常に優れています。加えて検出感度も高く、これまで培養法では見つけられなかった病原体についても検出できる手法として注目されています。
臨床検査の研究で医療に貢献
臨床検査技師は検査をおこなうだけでなく、検査方法や病原体について研究をおこない、新しい検査法を提案することもあります。治療薬が効かない病原体の検出法、病原体の発生が同じか否かを検査する方法など、「微生物検査」に関わるものだけでもさまざまなことが研究されています。より迅速に、あるいは新しい方向性で結果がわかる方法が開発された場合、医師の患者さんに対する治療のスピードや質を上げることに貢献できるわけです。臨床検査技師には研究者としての役割も求められています。
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