医学の歩みを進める原動力「研究マインド」を身につけよう
すでにある知識を疑え!
医学とは、病気の診断や治療、予防を行い、人々の健康を守るための学問です。医師をめざす学生にとって、医学は医師免許を取得するための学問に見えるかもしれませんが、決してそれだけではありません。もし医学・医療をすでにある知識だけで行っていたら、今以上の進歩は永遠に望めないでしょう。医学は常に、現状の知識を「本当にそうだろうか」と疑い、より正しいと思われる仮説を立て、検証することによって進歩を続けているのです。
研究は「基礎医学」の研究者だけが行うもの?
この「現状を疑う」「より正しいと思われる仮説を立てる」「検証する」という行為は、研究活動そのものにあたります。医学の分野は、実験や調査などで基礎となる知見を得る「基礎医学」と、患者さんの診療にあたる「臨床医学」に大きく分けられますが、研究は基礎医学だけで行うものではありません。
例えば、新しい薬ができたとき、それを患者さんにどのように投与すれば効果が上がるのか、副作用をいかに抑えるのか、これらを研究するのは臨床医です。また患者さんを診断し、名前のなかった病気に新たに名前を付け、研究するきっかけをつくるのも臨床医なのです。
明日の医療のために
赤血球は、中央がくぼんだ円盤のような形をしていますが、かつて臨床の現場で貧血の患者さんの赤血球を調べることで、球状や金平糖(こんぺいとう)状など赤血球の形の異常が病気と関係していることがわかり、基礎医学の分野で研究されるようになりました。またiPS細胞のように、基礎医学の研究成果を患者さんの治療に役立てようと、臨床応用が、盛んに研究されています。
つまり研究とは、基礎医学と臨床医学のいずれでも行われ、相互に影響を与え合いながら進歩しているものなのです。このことは、医師一人ひとりが、明日の医療のために真理を探究し続ける「研究マインド」を持ってこそ成り立ちます。研究マインドこそが、医学の歩みを進める原動力になっているのです。
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先生情報 / 大学情報
愛媛大学 医学部 医学科 教授 小林 直人 先生
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