言葉の印象を、人工知能が「判断」する
「音楽」を印象で指定する
音楽を聞いたり、文章を読んだりしたときに、私たちは「楽しい」「悲しい」など、さまざまな印象を受けます。その印象というものを数値化したり、検索に利用したりできるようにしようという研究が進められています。
例えば、ネットワークを介した音楽配信サービスでは、音楽のジャンルやアーティスト名、販売時期などで検索・指定することが可能ですが、さらに、「静かで落ち着いた感じの曲」「明るくて優しい曲」など、印象で指定できるようにするのです。同じ曲でも個人によって受ける印象は異なるという問題がありますから、それには、より多くの人が受ける印象がどういうものかということを調査しなければなりません。
印象で「検索」するシステム
言葉にも、その語がはっきりと示している意味以外の印象というものがあります。例えば、「桜が満開になった」という表現は、その言葉が示す事実だけでなく、楽しいという感じやワクワク感などを伝えています。ある言葉がどのような印象を伝えるのかをコンピュータに理解させる研究も進んでいます。
つまり、人工知能が言葉の印象を判断するのです。ある言葉を目にして、多くの人が受けるであろう印象を自動的に判断することができれば、さまざまなことに利用できると考えられます。インターネットの検索システムは、特定のキーワードに合致するページを探してくれますが、それを、もっと曖昧な印象を表す言葉でも検索できるようにするのです。
気の合う人とつながる「ネットワーク」
さらに、TwitterなどのSNSにも応用できます。SNSにおける個人の発言を分析していくと、その人がどういう印象の発言をしていることが多いか、また、その人がほかの人のどういう発言をよく見ているかという、個人における印象の傾向が割り出せます。公開している本人のプロフィールだけでなく、その人の印象を把握することで、自分と気が合う人を探すことができるようになるかもしれません。
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千葉工業大学 情報変革科学部 高度応用情報科学科 教授 熊本 忠彦 先生
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